14年ぶりに来日したフェルメールの名画《真珠の耳飾りの少女》。大阪中之島美術館で開催中の展覧会には多くの人が詰めかけ、SNSでは混雑を訴える声が相次いでいる。
14年ぶりの《真珠の耳飾りの少女》に人が殺到
8月21日、大阪中之島美術館で「フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展 17世紀オランダ絵画の名品、奇跡の再来日」が開幕した。
最大の目玉は、オランダ・ハーグのマウリッツハイス美術館が所蔵するヨハネス・フェルメールの代表作《真珠の耳飾りの少女》だ。
日本で展示されるのは、約120万人が来場した2012年の「マウリッツハイス美術館展」以来、14年ぶり。本展は大阪中之島美術館のみで開催され、ほかの地域への巡回も予定されていない。
開催前から注目度は高く、チケットの先行販売ではアクセスが集中。一般販売は、当初予定されていた先着販売から抽選制へ変更された。
そしていざ開幕すると、日時指定制の展覧会にもかかわらず、SNSには混雑をめぐる悲鳴が相次いだ。
「部屋に入ってから坂を下りながら3往復、1時間くらい遠くからじっくり見られるので、絵の前に来た頃には結構おなかいっぱい」
「会場内酸素薄い 待機列で『頭痛してきた』をよく聞いた」
「待ち時間の間に体調が悪くなってしまい全てをショートカットさせてもらって退室。何をしに行ったのやら…」
「見終わって1番の感想が『行かなくてもよかったな』だったことが本当に悔しい」
さらに初日の8月21日には、会場内で「土下座せえへんかい!」などと叫ぶ男性がいたとの投稿も、複数の来場者からあがっていた。
では、実際の会場はどのような状況だったのか。
初日の朝から会場を訪れ、当時の様子をXで詳しく発信していたトコさん(@qen000)に話を聞いた。
トコさんが大阪中之島美術館に到着したのは午前8時55分ごろ。
館内に案内されたのは午前9時過ぎ。《真珠の耳飾りの少女》の展示室に着いたのが午前10時30分ごろで、実際に作品の前まで進み、鑑賞や写真撮影ができたのは午前10時50分ごろだった。
補充したそばからグッズがなくなる
「印象的だったのは『想像以上に人が多い』ということでした。キャパいっぱいまで枠を設けていたのかもしれません」
ただ、人の多さに反して、展示室内で大きな混乱が起きていたわけではなかった。
「展示室に入ってからはスムーズで、人は多いものの、作品やキャプションを一つ一つ見ていても特に急かされることはありませんでした」
《真珠の耳飾りの少女》の展示室に入ってからは列の進みがゆっくりとなり、作品の前までは約20分。それでも、待っている間に作品の説明や見どころを読むことができ、「苦ではなかった」という。
作品の前でも来場者同士が譲り合い、比較的ゆっくりと鑑賞・撮影できたそうだ。一方、展示を見終えたあとのミュージアムショップは、まったく様子が違った。
「売り場自体が広いとは言えず、入場制限をしていても歩くのも困難で、グッズをゆっくり見るというのは正直難しい状況でした」
特に気になったのが、買い物かごの少なさ。入場者数に対してかごが足りず、ショップの入口付近では、スタッフにかごがないか尋ねたり、補充を待ったりする人が滞留。かごを確保できず、両手で商品を抱えて買い物をする人も多かったという。
「レジ待ち中に何度も商品を落としてしまっている人などもいて、この点はかなり悪い印象として残っています」
さらに、コラボ商品の周辺でも人の流れが止まった。
レジ待ちの列はその後も伸び、5階から階段を下り、4階にも折り返しの列ができていた。トコさん自身も、レジを終えるまでに約1時間かかった。
「買ったグッズ自体はどれも満足のいくものでしたが、買い物の経験としては疲れてしまうものではありました」
では、こうした混雑を主催者側はどう受け止めているのか。
「ここまでの混雑を想定していたのか」「来場者からはどのような声が届いているのか」などについて、フェルメール展広報事務局を通じて主催者に質問した。
混雑に対して、主催者の反応は?
主催者は、「事前に混雑を見込み、日時指定券の導入や会場内の誘導体制の整備などを行ってまいりましたが、来場状況や作品前の滞留時間によっては待ち時間が発生する場合があります」と説明。混雑そのものは事前に見込んでいたという。
また、来場者からは、「会場内での混雑状況や作品鑑賞時の待ち時間、ミュージアムショップの混雑などに関するご意見・ご要望」が寄せられているという。
そのうえで現在は、会場内での誘導や案内の強化、ショップ運営の見直しなど、その時々の状況に応じた対応を行なっているそうだ。
実際、開幕から数日たつと、SNSには変化を感じたとの声も出ている。
8月26日に訪れた人からは、「阿鼻叫喚の地獄絵図…かと思いきや随分オペレーションも改善されたのか快適に鑑賞できた」との声が。ほかにも、「覚悟していたほどではなかった」という感想がちらほらあがっている。
しかしその一方、同じ26日でも、違う時間帯に入場した人からは、80分ほど列に並んで入場できたという声もあがっていた。日や時間帯によって、混雑の程度にはかなり差があるようだ。
ただ、混雑しているからといって、展示そのものが不評というわけではない。トコさんも、「改善点はたくさんあったと感じましたが、展示されている作品自体はどれも記憶に残る素晴らしいものばかりで、鑑賞できたことは素直に嬉しい経験になりました」と話しており、ほかの鑑賞者からも「万博並みの人の多さだったけど観終わった後の幸福感すごい」という声があがっている。
14年ぶりに日本へやってきた《真珠の耳飾りの少女》。貴重な名画を目の前で鑑賞できる喜びを、混雑による疲労が上回ることのないよう、残りの会期でのさらなる改善が望まれる。
取材・文/集英社オンライン編集部

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