〈プーチンが金正恩に“全力土下座”か〉「3倍強力の新型ミサイル」「最大5万人の追加派兵」も要求…ウクライナ戦争が北朝鮮の“現代戦の学校”に
〈プーチンが金正恩に“全力土下座”か〉「3倍強力の新型ミサイル」「最大5万人の追加派兵」も要求…ウクライナ戦争が北朝鮮の“現代戦の学校”に

ウクライナ侵攻の長期化で、ロシアと北朝鮮の軍事的な結びつきがかつてないほど深まっている。北朝鮮はこれまでに152ミリ弾換算で1500万発超の砲弾をロシアに供給したとされ、現在も約8500人の北朝鮮兵がロシア領内に配備されているという。

さらにウクライナ情報当局は、ロシアが北朝鮮に対し、従来型より「3倍強力」とされる新型弾道ミサイルKN-30や、最大5万人規模の追加派兵を求める可能性があるとみている。一方、北朝鮮にとってウクライナの戦場は、ミサイルや無人機などの実戦データとノウハウを得る“現代戦の学校”にもなりつつある。急速に深化する露朝の軍事協力は、日本を含む東アジアの安全保障に何をもたらすのか。

近づきまくる露朝…それぞれの思惑

ロシアと北朝鮮の接近が加速したのは2023年秋だった。

金正恩朝鮮労働党総書記は同年9月、ロシア極東を訪れ、ボストーチヌイ宇宙基地でプーチン大統領と会談。北朝鮮製弾薬の海上輸送が本格化したのも、この頃とされる。

24年6月にはプーチン氏が平壌を訪れ、どちらか一方が武力侵攻を受けた場合の相互支援を盛り込んだ包括的戦略パートナーシップ条約に署名した。弾薬や兵員、軍事技術、石油をやりとりする現在の枠組みが制度化された。

ロシアはかつて、北朝鮮の核・ミサイル開発を制限する国連安全保障理事会決議に賛成し、制裁体制を支えた側だった。だがウクライナ侵攻の長期化と国際的孤立が深まるにつれ、北朝鮮を制裁対象ではなく、自国の戦争遂行を支える協力国として扱うように。

一方、北朝鮮にとっては、中国への依存を和らげ、軍事・エネルギー面で新たな後ろ盾を得る機会となった。

北朝鮮のミサイルがほしいプーチン

協力の柱は砲弾と弾道ミサイルだ。日米韓など11カ国でつくる多国間制裁監視チーム(MSMT)によると、北朝鮮は23年9月以降、弾薬や関連物資を積んだコンテナ2万個超をロシアへ送った。

24年にはロシア船が49回にわたり、砲弾や多連装ロケット弾を最大900万発運んだとされる。

韓国国防省は26年8月、北朝鮮がこれまでにロシアへ供給した砲弾は152ミリ弾換算で1500万発を超えたと推定した。ロシアは大量の砲弾を消費する消耗戦を維持し、北朝鮮は備蓄を外貨や石油、軍事技術に換えてきたとみられる。

3倍強力!ロシアが北朝鮮に求める「KN-30」

北朝鮮製の短距離弾道ミサイルKN-23、KN-24は、既にウクライナへの攻撃に使われている。英国の非政府組織「紛争兵器研究所」(CAR)は、ウクライナ各地で回収されたミサイル残骸を調べた。

噴射方向を制御する部品や点火装置のボルト配置、気圧計に記されたハングルなどから、火星11Aまたは11Bと呼ばれる系列と特定した。

24年製とみられる刻印や、製造直前に生産された外国製電子部品も見つかった。製造からロシアへの移送、実戦投入までの期間が短かったことがうかがえる。

そして、ウクライナ国防省情報総局は最近、ロシアが北朝鮮に対し、KN-23、KN-24より「3倍強力」とする新型弾道ミサイルKN30を求めていると明らかにした。秋冬のウクライナ攻撃をにらんだ軍事支援交渉の一環とされる。

情報総局によると、ロシアが求める支援には最大120発の弾道ミサイルと発射機6基、約90人のミサイル部隊が含まれる。このうちKN-23、KN-24計40発が既に引き渡され、少なくとも2発が最近の攻撃で使われたという。

北朝鮮のミサイル部隊はロシア西部ボロネジ州に配備され、ロシア軍第112ミサイル旅団の一部として運用される計画とされる。米政府も配備情報を把握しているという。

北朝鮮の部隊が発射機を伴ってロシア軍の指揮系統に入れば、協力は兵器の売買から共同運用へと踏み込む。北朝鮮軍は実戦で弾道ミサイルを扱い、ロシアの衛星・偵察情報や標的選定、攻撃結果の分析に直接接する可能性がある。

ロシアに配備された8500人の北朝鮮兵

兵員協力も新たな段階に入っている。ウクライナ軍筋によると、現在ロシアに配備されている北朝鮮兵は約8500人。

主にロシア西部クルスク州に分散し、約千人の工兵・地雷除去要員と約400人の無人機操縦士が含まれるという。操縦士は無人機による偵察や、ウクライナ領内への攻撃を担う可能性がある。

北朝鮮兵の任務は当初、クルスク州に越境したウクライナ軍と直接戦う歩兵部隊が中心だった。MSMTによると、北朝鮮は24年末までに1万1千人超を派遣。ロシア軍から砲撃、無人機操作、塹壕の掃討などの訓練を受けた。25年初めにも3千人超が追加派遣されたと推定されている。

25年4月、両国は北朝鮮軍の参戦を初めて公式に認めた。

次回会談で3万~5万人規模の追加派兵を求める可能性

プーチン氏は北朝鮮兵がクルスク州で「高い専門性と勇気」を示したと称賛した。北朝鮮側も金氏の命令による派遣だったと発表し、包括的戦略パートナーシップ条約の相互支援条項を根拠とした。

北朝鮮兵がウクライナ領内で直接戦わなくても、ロシア軍への効果は小さくない。

工兵が地雷除去や陣地構築を担い、別の部隊が国境警備を引き受ければ、その分だけロシア兵をウクライナ東部の攻撃へ回せるからだ。

情報総局は、プーチン氏が金氏との次回会談で3万~5万人規模の追加派兵を求める可能性があるとみている。一方、金氏の妹、金与正党副部長は、追加派兵情報について「根拠がない」と否定している。

発言の真意は不明だが、北朝鮮にはロシアとの軍事協力をどこまで拡大するかを明確にせず、外交上の選択肢を残しておく利点がある。

トランプ米政権が金氏との首脳会談の時期を模索する中、追加派兵を含む対ロ協力を米国との交渉材料として利用する可能性もある。追加派兵が実現した場合も、戦況への影響は人数だけでなく配置と任務によって決まる。

ロシア領内にとどまる間接支援と、ウクライナ領内へ入る直接参戦では、軍事的、外交的な意味が大きく異なってくるだろう。

戦場が実験場に…北朝鮮製ミサイルの精度が向上した可能性

ロシアにとって北朝鮮製ミサイルは、国産ミサイルを補い、ウクライナの防空網へ圧力をかける手段となる。ウクライナは弾道ミサイルを迎撃できる高性能防空システムと迎撃弾が不足しており、北朝鮮製であっても攻撃を継続できる効果は大きい。

北朝鮮にとっては、自国では得られない実戦データを集める機会だ。MSMTは、ロシアが発射結果を北朝鮮側に伝え、誘導性能の改善を支援したと指摘した。

韓国情報当局も、実戦データとロシアの技術助言や部品供給によって、北朝鮮製ミサイルの精度が向上した可能性があると分析している。

技術の流れは一方向ではない。

ロシアが弾道ミサイル「イスカンデルM」の生産や改良に、北朝鮮製KN-23の設計や製造方法を取り入れたとのウクライナ側分析も出ている。

一方、米国の北朝鮮分析サイト「38ノース」は、北朝鮮の大量生産手法がロシア側の参考になった可能性はあるものの、北朝鮮の技術によってイスカンデルの防空網突破能力まで向上したとの見方には慎重だ。

それでも確実なのは、両国の間に兵器を実戦で改良する循環が生まれていることだ。

北朝鮮はもはやロシアの「弾薬庫」にとどまらず

ロシアは北朝鮮兵を訓練し、北朝鮮製ミサイルを戦場で使う。北朝鮮は攻撃結果を製造現場へ戻し、次の兵器を改良する。制裁下で大量生産を続けてきた北朝鮮の製造能力も、ロシアにとって無視できない資源となっている。

見返りにロシアは、24年11月以降、北朝鮮へ短距離防空システムや高度な電子戦装置を提供し、少なくとも1両のパンツィリ型防空車両を引き渡したとMSMTは報告した。

ウクライナ情報筋は、北朝鮮がさらに射程の長いS-400防空システムを要求していると指摘する。

北朝鮮の空軍は、比較的新しい機体でも基本設計が冷戦期にさかのぼるミグ29などが中心だ。新鋭戦闘機を多数導入するより、平壌や核・ミサイル施設、軍指揮部の周辺に強力な地対空ミサイル網を築く方が現実的な選択となる。

S400が供与されれば、米韓軍は北朝鮮の防空網を制圧するため、より多くの航空機や電子戦装備、精密誘導兵器を投入しなければならない。北朝鮮が航空戦で勝たなくても、米韓側の作戦を難しくするだけで軍事的な意味がある。

ウクライナ侵攻から4年半。北朝鮮がウクライナ戦争を“現代戦の学校”として利用し、ロシアとの相互依存関係を深めていることは、日本を含む東アジアの安全保障環境に大きな影響を与えている。

北朝鮮兵は無人機の操縦だけでなく、標的の捜索、攻撃部隊との連携、電子妨害への対処、攻撃結果の分析まで学ぶ。

弾道ミサイル、防空、電子戦などの実戦経験はいずれ朝鮮半島へ持ち帰られる。北朝鮮はもはやロシアの「弾薬庫」にとどまらず、戦争を共に遂行し、兵器と部隊を改良する協力国へと変わりつつある。

文/東銀座コンフィデンシャル

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