世界第3位の経済大国でありながら、消費税増税をはじめとしてなんだか負担増ばかりで、お先真っ暗な日本。こんな国、さっさとオサラバして海外へ移住するほうが賢明なのだろうか。


ヨーロッパの先進国と比べて日本の消費税率は低い。だが、それはあくまで消費税率のみを比べた場合の話だ。

日本の消費税率5%のうち国の財源となるのは4%で、国税に占める割合は22%。ジャーナリスト・斎藤貴男氏の『消費税のカラクリ』(講談社現代新書)によれば、イギリスやドイツ、イタリア、スウェーデンは付加価値税(日本の消費税にあたる)が高いものの、国税に占める割合は日本とそれほど変わらない。

その理由は、そうした国々では食料品や生活必需品に軽減税率を適用しているため。例えば、付加価値税20%のイギリスでは食料品や水道水、書籍は税率0%。
19・6%の付加価値税がかかるフランスでも、医薬品や新聞は税率2.1%まで下げられている。実質的には日本もヨーロッパ各国も国民の負担はほぼ同じだが、これから消費増税となれば日本の負担は一気に増してくるのだ。

低所得者対策として自民党や公明党は軽減税率の導入を主張しているが、日本の消費税制度は世界の主流であるインボイス(伝票)方式ではなく、消費税を価格に上乗せする帳簿方式を採用しているため、実現は難しいとみられる。

今後さらに重税の苦しみが増すとなれば、海外に脱出するのも手だろう。

ヨーロッパ各国の消費税率は高いが、社会保障システムは日本と比べはるかに充実している。多くの場合、サービスは外国人にも適用され、日本人が移住しても安心して暮らすことができる。


近場なら、オススメは韓国だ。日本より所得税率が低く、さらに「カード減税」が存在する。クレジットカードでの使用額が年間給与所得の10%を超えた場合、超過額の10%が課税所得から控除される。クレジットカード利用控えに記された番号を対象にした宝くじ制度もあり、韓国人は抽選会のテレビ中継を見て大いに盛り上がる。

海外移住はハードルが高いというなら、買い物だけする手もある。世界では節税対策の“越境買い物ツアー”がすでに常識だ。


フランスとスペインの間にあるアンドラはショッピングに税金のかからない“免税天国”。電気製品やたばこ、酒、ガソリンを求めて近隣の国々から人々が押し寄せる。物価の高さで知られるスイスでは、日用品を買いに隣接するオーストリア、フランス、イタリアに出かける人も珍しくない。アメリカでは州によって消費税や酒税の税率が異なるため、州境を越えて大量に買い出しに行く。

デフレから脱却できず、世界一のスピードで超高齢化社会へ向けて突き進む日本では、消費税はどこまでも上がり続けるだろう。そうなれば、日本を脱出して住みやすい海外の国で暮らすのもひとつの選択肢。
さもないと、国民はいくら汗水たらして働いても、片っ端から搾り取られるばかりだ。

(取材・文/宮崎俊哉 山田美恵 中島大輔)

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