雑談ができない...。そんな理由で恋愛から遠のいてしまっていたり、人間関係に疲れてしまうあなた。
もしかしたらアスペルガーかも? そこで「雑談が苦手なのはスキルが不足してるだけなんです」と語るのは、自身も自閉症アスペルガーの症状に悩んだ経験を持つ、発達障害カウンセラーの吉濱ツトム氏。同氏・著『隠れアスペルガーでもできる幸せな恋愛』では具体的な改善方法も紹介している。目的のない雑談ができない...。

 頑張って異性にアプローチしてもなかなか会話がはずまず、気まずい沈黙が続く……こんな経験のある人も多いでしょう。これは、雑談のスキルが不足しているだけです。

「目的のない雑談」が苦手な人に足りない、ワーキングメモリーと...の画像はこちら >>

 恋愛における会話は、ほとんどが目的のない雑談です。恋愛に限らず、すべての会話の9割くらいが実は雑談なのですが、それでも仕事上の打ち合わせなどであればまだマシです。話す内容や目的がだいたい決まっていて、自分の経験や専門知識を使って答えることができるからです。

 実際、僕の来談者の中には、電話オペレーターをしているアスペルガーの女性が何人もいます。顧客からの質問やクレームに応える仕事ですが、その内容はパターンがだいたい決まっており、回答はすべてマニュアル化されています。話すべき内容と目的がきっちり決まっている場合は、アスペルガーであろうとソツなく会話できるのです。

 数少ない友達との会話も同じです。

アスペルガーの人は、共通のマニアックな趣味を持っているアスペルガー同士で友達になることが多いものです。

興味のある話題だけではうまくいかない恋愛

 アスペルガー人は、自分の興味のあることについては異常なほどのめりこみます。たとえば韓流アイドルグループが好きなら、メンバー全員のプロフィールを丸暗記しているのはもちろん、「○○くんが日本のテレビ番組に出演するのは、今日で18回目よ。あの服は、○月○日のブログで着ていたやつだよね」とまで語れます。こういった好きなこと、興味のあることに関してなら、何時間でも語り合えるのがアスペルガー同士です。

 しかし、恋愛に関してはそうはいきません。目的もなく共通の話題もない初対面の異性と何を話せばいいのかというのは、アスペルガーにとってかなり頭を悩ませる問題です。

 これは、異性だけでなく、同性との会話にも当てはまります。ですから、アスペルガーの人は友達じたいが少ない傾向にあります。

 なぜアスペルガーの人は雑談ができないのか。理由のひとつに、ワーキングメモリーが弱いということがあげられます。

ワーキングメモリは鍛えられる

 ワーキングメモリーについては、本書においては「短期記憶」くらいの意味でとらえておいてください。

人と会話をするときは、少し前に聞いた話を覚えていて、今聞いたばかりの話とつなげることで意味を理解しています。ほんの数分前、数秒前の記憶が積み重なっていくことで、初めて相手の言っていることが理解できるのです。

 アスペルガーの多くはこのワーキングメモリーが非常に弱っていて、相手が言ったそばから話を忘れてしまいます。1時間も話しているのに、「あれ? この人、名前なんだっけ?」「どういう流れでこの話になったんだっけ?」と、途中までの記憶がすっかり抜け落ちていたりするのです。

 実際、アスペルガーの人は、耳で聞いて物事を理解するのが苦手です。先にも述べましたが、学校では先生の言うことがなかなか理解できず、授業についていくことが困難です。

 その代わり、視覚情報にはとても強く、大量の情報を長期的に記憶することができます。だから、先生の話を聞かなくても、参考書で勉強すれば、内容がしっかり頭に入っていきます。

 アスペルガーの中には、文章を書くのがうまく、メールのやり取りで異性の心をつかめる人もいます。しかし、いざ会ってみると、メールとは打って変わって全く会話がはずみません。ワーキングメモリーが弱いせいで話を理解できず、見当違いな返事をしたり、同じ質問を何度も繰り返したりして、相手をうんざりさせてしまうのです。

 とはいえ、ワーキングメモリーは訓練によって鍛えることができます。

恋愛だけでなく、仕事にも日常生活にも関わる能力なので、僕はよくその訓練法を指導しています。

〈『隠れアスペルガーでもできる幸せな恋愛』より構成〉

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