妖怪というと、人を驚かしたり危害を加えるものもいますが、中にはそうでないものもいるようです。
山梨の妖怪、覚(さとり)は人の心を読み、次々と考えていることを言い当てます。
鳥山石燕『今昔画図続百鬼』より「覚」(さとり)
主に山形に棲息した天邪鬼(あまのじゃく)は、害はないけれど人の意に逆らったり口真似や物真似をして、人のことをからかいます。小さな鬼の姿をしているそう。転じて現代では、人の言うことやることにわざと逆らう、ひねくれ者の意味としても使われます。
■名前から見た目が想像できない妖怪たち
アイヌ伝承のイペカリオヤシは、食べ物をねだる妖怪です。木の根元に座ってお弁当を食べていると、後ろから手だけ出して食べ物をねだるのが特徴。一度与えてしまうと「もっともっと」とずっとねだってくるので、焼けた炭を手にのせれば慌てて逃げていくそう。
年に一度だけ現れる妖怪もおり、姫路城の天守閣に住む女神といわれる長壁もそうです。年に一度、城主の前に姿を現して、城の運命を告げるとか。こうもりを召使いにして、12単衣姿の美女の姿という説もあれば、老婆の姿という説も。ミステリアスですね。

鳥山石燕『今昔画図続百鬼』より「長壁」(おさかべ)
岩手県に出没した細手(ほそで)も、特に何をするというわけでもなく害はありません。
こわいといえば、センポクカンポク。富山に出没し、死人が出た家につり下げられるむしろにいる妖怪です。人の死後、3週間はその家にいるそう。顔は人間に似ていて、蛙ぐらいの大きさ。特に何かするわけではなく大人しい性格ですが、なんとなく不吉な感じがしますから、できれば遭遇したくないですね。
■あのコスメブランドの名前は妖怪が由来?
かたや会ってみたい妖怪は、ケサランパサラン!化粧品のブランド名にも使われていますね、この妖怪は、白い綿毛や毛玉のような外見で、持ち主に幸せを運んでくれるのです。春先に現れることが多く、ふわふわと空中を浮遊し、おしろいが大好物。ケサランパサランとおしろいを一緒に入れて飼育すると、どんどん増えていくとか。幸せを運んでくれる妖怪なら、大歓迎したいですね。
参考文献:水木しげる(2001)『水木しげるの日本妖怪めぐり』JTB、小松和彦(2015)『知識ゼロからの妖怪入門』幻冬舎、善養寺ススム(2015)『絵でみる江戸の妖怪図巻』廣済堂出版
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