「国宝」という言葉が誕生したのは、今からちょうど120年前の明治30年(1897)のこと。「すべてが国宝、数十年に一度というレベルの展覧会」と、大きな話題を集めている「国宝展」(場所/京都国立博物館)が開かれるなど、今、国宝への関心が高まっている。
9月25日発売の『日本の宝』(KKベストセラーズ)から、「国宝びっくり豆知識」を紹介する。 

国宝のお値段、なんと3億1000万円!

 値段が付けられないほどに価値あるものがほとんどの国宝だが、売買にあたって実際に値段がつけられたものもある。

『漢書楊雄伝 第五十七』は2015 年に京都国立博物館が購入し、その額は3 億1000 万円(国立文化財機構HP より)。

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 また、上杉謙信の愛刀として知られる『太刀 無銘一文字号山鳥毛 』(個人蔵)は、現在新潟県上越市が420 年ぶりの里帰りを目指し、購入を検討している。その評価額は、3 億2000 万円で、市が購入資金の寄付を募っている(2017年8 月現在)。

Q国宝は売買できる?

 国宝が私有財産(法人・個人所有など)の場合は、所有者の意思で売買することができる。

ただし、売り主は譲渡先や売却価格などを記載した書類を文化庁に届け出なければならない。

「文化財保護法 第46 条」に「売渡しの申出のあった後30 日以内に文化庁長官が当該重要文化財を国において買い取るべき旨の通知をしたときは、申出書に記載された予定対価の額に相当する代金で、売買が成立したものとみなす」とあり、国宝や重要文化財に関しては、国に優先買取権があるため、文化財保護の観点から国が買い取る場合もある。

Q秘仏などの非公開の国宝は、どうやって国宝になった?

 博物館などによる社寺調査で秘仏が発見され、国宝指定されることが多い。19 世紀初め、美術史家のアーネスト・フェノロサと岡倉天心による社寺調査によって、数々の秘仏や貴重な宝物が姿を現し、「古社寺保存法」のもと国宝指定された。

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 また、京都国立博物館も社寺調査を行っており、仁和寺の『薬師如来坐像』は、昭和61(1986)年に社寺調査の際に発見され、その後、国宝指定された秘仏だ。

監修:京都国立博物館
〈『日本の宝』より構成〉