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絶滅危惧種なのに普通にウナギ食べてる問題に向き合う。近大発ナマズがウナギより美味いというので食べる

2018年7月20日 09時45分 ライター情報:柿田太郎
土用丑の日が来る。今年の初め、ウナギ(ニホンウナギ)の稚魚(シラスウナギ)が前年比の1パーセントしか採れない異常事態だったことは記憶に新しい。しかし、当初それを伝える報道の多くは「ウナギ高騰の恐れ」「ウナギが食卓から遠ざかる」など、経済目線でしか触れられていないことに違和感を覚えた。

まず大前提として、ニホンウナギはとっくに絶滅危惧種である。2014年に国際自然保護連合(IUCN)から「絶滅する危険性が高い絶滅危惧種」のレッドリストに指定されているし、さらに2019年に開催されるワシントン条約の締約国会議ではニホンウナギを含む全19種のウナギすべてが国際取引の規制対象になる可能性もある。

そんな危機的状況の中「ウナギの代わりになる魚はないか?」と「ウナギ味のナマズ」の開発に着手したのは、近畿大学・有路昌彦教授。近畿大学はクロマグロの完全養殖を成功させ、かの「近大マグロ」を世に送り出したことでも有名な大学で、市場に即した研究をしている印象が強い。
『なぜ「近大発のナマズ」はウナギより美味(うま)いのか? “新しい魚”開発の舞台裏』山下柚実/光文社

1年前に刊行された『なぜ「近大発のナマズ」はウナギより美味いのか?』(2017年7月19日発売)は「ウナギ味のナマズ」開発の舞台裏はもちろん、ウナギとナマズ、双方の生態や食の歴史を紹介するのと同時に、我々が囚われがちな食の常識についても疑問を投げかける。
肝心の「ウナギ味のナマズ」開発についてもっと読みたかった感はあるものの、学術書のような小難しさもなく、ウナギ問題の入門書としても読みやすい。本書の内容からいくつか紹介したい。

コウノトリやパンダを食べているような状態


人間の手でウナギの卵を孵化させることは難しく、ここ数年人口孵化成功の報告は増えているものの、コスト的な面など採算の取れる実用化レベルにはまだ到達していない。
なので、親ウナギが延々海を南下しグアム島付近で産卵、そこで孵化した稚魚が台湾方面に泳ぎ着き、さらに黒潮に乗って日本沿岸に上がってくるのを捕まえ、大きく育てる。これが現状の日本でのウナギの「養殖」だ。
この「養殖」は、人工的に産卵や孵化させられないという点において完全な養殖とは言えず、天然資源に依る部分がとても大きい。そして、我々が口にする9割以上はこの「養殖」ウナギだ。
つまり「養殖」で成長させてから食べているとは言っても、結局我々は絶滅危惧種の「天然」ニホンウナギの稚魚を採って食べてしまっていることに変わりない。
筆者の山下柚美は、「ウナギの蒲焼を食べる行為は『コウノトリを食べる』とか『パンダを食べる』といった出来事と同じ次元になりつつある」と表現しているが、本書の発売から1年経ってさらにリアリティを増している。

ライター情報

柿田太郎

男40代。バラエティやドキュメンタリー中心に書いてます。食べ物全般にも興味あります。よろしくお願いします。

URL:Twitter:@kakitataro

「絶滅危惧種なのに普通にウナギ食べてる問題に向き合う。近大発ナマズがウナギより美味いというので食べる」のコメント一覧 5

  • 匿名さん 通報

    ナマズの蒲焼きが、旨いのなら、必ずしも鰻の蒲焼きである必要はありませんよ❗

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  • 匿名さん 通報

    絶滅の危機だというのに鈍感な日本人は土用の必需品とか言って食べる食べる。 完全に平賀源内に騙されてる。 売るほうも食べるほうも(鰻食べさせる店も)危機感なさ過ぎ。

    4
  • 匿名さん 通報

    マグロの説得力も無くすよ マグロ漁獲量減らされて 守らなかったら 世界中敵に回るよ

    1
  • 匿名さん 通報

    日本人「ウナギが絶滅するだって?じゃあ食えるうちに食っちゃわないといけないな」、だもんな。まあ、そんな俺も昨日食ったけどさw

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  • 匿名さん 通報

    あんな素性も分かってないもの食うのはやめろ

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