
『HUNGRY DAYS ハイジ 篇』公式サイトより
日清食品「カップヌードル」の、アニメ『アルプスの少女ハイジ』をモチーフにした新CMが9月14日よりオンエアされている。『魔女の宅急便』に続くプロジェクト第2弾ではあるが、ネット上では「誰得」との批判も多い。
悩むハイジに突然キスするペーター
「2017年のカップヌードルのテーマは『青春』。すべての人に青春はある。青春と書いて“アオハル”。それは青くて、熱くて、ハングリーな日々。そんな日々を、カップヌードルは応援したい」
こちらは公式サイトにも明記されている、プロジェクト全体のコンセプトだ。9月14日より全国でオンエアされている新CM『HUNGRY DAYS ハイジ 篇』は、『アルプスの少女ハイジ』の登場キャラクターたちの青春を描いたもの。ハイジやクララ、ペーターたちが“現代”で“高校生活を送る”パラレル・ワールドを舞台としている。
人気読者モデルとして活躍するクララを見て、16歳のハイジは、「どうして私はクララじゃないんだろう」と悩む。しかし、幼なじみのペーターは、「俺は今のハイジが好きだよ」とハイジにキスするのだった――。
ハイジ役の声優を、E-girlsのパフォーマーで女優の石井杏奈さんが担当。クララ役には雨宮天さん、ペーター役には神谷浩史さんと人気キャストがそろっており、さらに音楽はBUMP OF CHICKENの楽曲「記念撮影」が起用されている。キャラクターデザインは窪之内英策さん、アニメーション制作はタツノコプロが手がけており、映像作品としてのクオリティ自体は非常に高い。
そこまで無理に“アルプス”要素を入れなくても
……しかし、このストーリーは『アルプスの少女ハイジ』である必要があるのか!? キャラクターの大まかなビジュアルと、ハイジは活発、クララは大人しげという以上に『アルプスの少女ハイジ』との共通点は見つからない。公式サイトではキャラクターの詳しいプロフィールも確認することができるが、「ハイジの好物はパンとチーズ」というのは理解できるとしても、「クララの好きな色は、アルプスの空のようなブルー」、「ペーターは野球部員で、いつか満席のアルプススタンドにホームランを打ち込むのが夢」と来ると、そこまで無理に“アルプス”と絡めようとしなくても……というのが正直な印象。ペーター、それはただのダジャレだろう。
ネット上では、「誰得」「作品の世界観を壊している」「名前を借りた別物」「コレジャナイ感」といった厳しい声が上がっている。「不快」と激しい拒否反応を示すTwitterユーザーも少なくない。
腐女子たちのルールを見習うべき!?
6月にオンエアされた『HUNGRY DAYS 魔女の宅急便 篇』も、横浜を舞台に高校生になったキキととんぼの姿を描き、やはり賛否両論を巻き起こした。とはいえ、この『HUNGRY DAYS』シリーズに対しては、「胸キュンした」という感想も多い。なにより良くも悪くも大きく話題になっている時点で、広告としては大成功なのかもしれないが……。
ところで、いわゆる“腐女子”の間では、原作と異なるパラレル・ワールド的なシチュエーションの二次創作を公開するときは、たとえば「現代が舞台になっています」「キャラクターたちの成長後を描いています」「性格がツンデレに変わっています」のように始めに注意書きを入れることがマナーとして推奨されている。
確かにときめく人だって多いけれど、原作を大幅に改変したパラレル設定を苦手とする人も少なくないから……という腐女子たちの気遣いが生んだルールなのだが、『HUNGRY DAYS』シリーズのCMは、パラレル設定をふんだんに盛り込んだ二次創作を注意書きなしで全国にオンエアしている状態と言えるのかもしれない。
(HEW)
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