頭皮にニキビができる原因|治すための習慣とやってはいけない注意事項

頭皮は身体の中でも皮脂腺が多く、ニキビができやすい要因がそろった場所です。

ニキビといえば顔のイメージですが、頭皮にニキビができることは少なくありません。特にオイリー肌の人は、1日経つと皮脂で髪の根元がべったりしやすいですよね。

頭皮ニキビは髪の毛に隠れて見えにくいため、シャンプー時やブラッシング時にあたり、痛みや違和感から気付くことが多いです。

頭皮ニキビを治すには、原因をキャッチして対策することが必要です。知らず知らずにおこなっていることが頭皮ニキビの悪化につながる場合があるため、まずは原因からチェックしていきましょう。

原因から治すまでの方法をくわしく解説するので、最後まで読み進めてくださいね。

【監修】STスキンクリニック青山院長 田澤しおり

アラガン・ジャパン株式会社認定 ボトックスビスタ®認定医
アラガン・ジャパン株式会社認定 ジュビダームビスタ®認定医

田澤しおりのプロフィール

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1.頭皮にニキビができる原因

頭皮にニキビができる原因は、主に下記の8つがあります。頭皮ニキビは、複数の原因が絡んでいる場合もあるため原因を特定し、頭皮ニキビの予防につなげましょう。

1-1.シャンプーのすすぎ残し

シャンプーのすすぎ残しは、シャンプー剤が頭皮に付着したままになると、皮脂や角質とともに毛穴詰まりを起こしやすくなります

毛穴が塞がった毛穴内部にアクネ菌が増殖するとニキビ発生につながります。

1-2.トリートメントやコンディショナーの付着

トリートメントやコンディショナーが頭皮に付着すると、ニキビや肌荒れの原因になります。界面活性剤は4種類に分けられ、シャンプーやトリートメントにも使われています。

界面活性剤の種類主な効果
陰イオン界面活性剤シャンプーや石けんの主成分として使われる。
脱脂力が強いものからマイルドなアミノ酸系まであり、
多くのシャンプーに配合されている。
両性イオン界面活性剤洗浄力がマイルドで低刺激。
シャンプーやベビーソープにも使われている。
非イオン界面活性剤低刺激でシャンプーの洗浄補助剤やクレンジング、
スキンケアにも使われている
陽イオン界面活性剤トリートメントやコンディショナー、柔軟剤に使われている。
防腐効果や殺菌効果がある。肌への残留性が高く、
刺激になりやすい。

シャンプーは、陰イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤が使われています。トリートメントやコンディショナーには、陽イオン界面活性剤が使われており、髪をスムーズに整えてくれる反面、頭皮や肌に付くと刺激やニキビの原因になりやすいです。

また、トリートメントやコンディショナーは、油分が多く頭皮の毛穴詰まりを引き起こします。

トリートメントやコンディショナーは、地肌へ絶対に付けないようにしましょう。流すときも背中や皮膚に付着すると、残留性が高く頭皮ニキビや背中ニキビになりやすいため要注意です。

田澤先生
田澤先生

トリートメントやコンディショナーは地肌ではなく毛先を中心に塗布して、しっかりとすすぎましょう。うなじ・背中はすすぎ残しによるニキビが出やすい部分なので、十分にすすいで下さいね。

1-3.不衛生な枕やシーツ

枕カバーやシーツは、寝ている間の汗や皮脂が付着し、雑菌が繁殖しやすくなっています。

特に頭皮は寝ているときに汗や皮脂を分泌するため、枕カバーや寝具が不衛生だと頭皮ニキビが発生しやすくなります。

1-4.長時間の帽子着用

帽子を長時間着用すると、頭皮が蒸れやすく雑菌が繁殖しやすくなります。紫外線を予防するには、帽子よりも日傘の使用がおすすめです。

どうしても長時間着用しないといけないときは、1時間に1回程度外し、風通しを良くさせて頭皮がじめじめするのを防ぎましょう。

1-5.ターンオーバーの乱れ

頭皮も顔と同じようにターンオーバーを繰り返しています。頭皮ケアの仕方や生活習慣などの影響により、頭皮のターンオーバーが乱れると、老化角質が蓄積しやすくなります

また、洗浄力が強すぎるシャンプーでゴシゴシ洗うことでも、頭皮の角質層が荒れてしまいます。

このようなターンオーバーの乱れは、頭皮ニキビができる原因になりやすいです。

1-6.食生活の乱れ

偏った食生活、炭水化物や乳製品の摂りすぎは、頭皮ニキビの悪化原因になります。炭水化物の摂りすぎや高GIの食品、乳製品の摂取は、皮脂分泌の増加につながってしまいます。

「パスタ+パン」や「うどん+おにぎり」などの組み合わせは血糖値が上昇しやすくなるため、炭水化物は控えめを心がけてみてください。

また、乳製品を日常的に摂取する人はニキビになりやすい傾向があり、関連性が指摘されています。特にホエイプロテインやスキムミルクは、頭皮ニキビの悪化につながる可能性が高いため注意しましょう。

1-7.睡眠不足

睡眠不足は、肌の修復を促す「成長ホルモン」の分泌を妨げます。就寝中に肌が修復されず、ターンオーバーが乱れて頭皮にニキビが発生しやすくなります。

1-8.ストレス

頭皮や髪はストレスの影響を受けやすく、ストレスによる円形脱毛症を引き起こすことは広く知られています。

頭皮は体の中でも血管が多い場所になり、ストレスにより血管が収縮すると頭皮に栄養が行き渡りません。その結果ターンオーバーが乱れ、頭皮ニキビへとつながります。

2.頭皮ニキビを治すには

頭皮ニキビは、炎症しやすく痛みが伴うことが多いため、早めに治したいものです。

ここからは、頭皮ニキビを治すために気をつけたいことや、おすすめの方法をお伝えしていきます。

2-1.規則正しい生活を送る

生活習慣が乱れると睡眠のサイクルも乱れてしまうものです。

例えば、「週末に夜更かし→日曜日は昼に起きる→夜寝られず寝不足のまま月曜日がスタート」してしまった経験はありませんか?

生活リズムを一度崩すと、元のサイクルに戻すのに時間がかかります。頭皮環境を悪化させないように、睡眠時間や食事の時間を規則正しくし、適度な運動を取り入れながら規則正しい生活を送りましょう。

2-2.食生活を整える

外食やコンビニご飯が多い人は、カロリー過多や栄養バランスが崩れやすくなります。

ビタミンB2やビタミンB6は、皮脂分泌を抑える働きがある栄養素のため、普段の食事で積極的に摂り入れましょう。

ビタミンB群は、レバー、鶏ささみ、魚、うなぎなどに多く含まれています。

田澤先生
田澤先生

頭皮環境が悪く、外食やコンビニごはんが多い方は積極的に食生活の改善を行いましょう。すぐに改善するのが難しい方はビタミンB2、B6を中心としたサプリメントの摂取を検討しましょう。

2-3.シャンプーの仕方を見直す

頭皮ニキビに悩む人は「洗浄力の強いシャンプーのほうがいい」と思っている人もいるかもしれませんが、できるだけマイルドな洗浄成分がおすすめです。

500円以下のシャンプーには、洗浄力が高めのラウレス硫酸Naが配合されていることが多いです。ラウレス硫酸Naは「高級アルコール」と呼ばれる陰イオン界面活性剤で、泡立ちや洗浄力が高くリーズナブルな価格で販売されている主流のシャンプーになります。

大人女子の頭皮には洗浄力が高く、頭皮の乾燥を招き皮脂分泌が増加する場合があります。おすすめはアミノ酸系のシャンプーで、洗浄力がマイルドで頭皮の乾燥を予防できます。

シャンプー時には、予洗いをしっかりして直接頭皮に付けず、少し泡立ててから頭皮に付けると残留しにくくなります。トリートメントやコンディショナーは、頭皮に付かないように毛先を中心になじませてくださいね。

2-4.シャンプー後に髪をドライヤーで完全に乾かす

シャンプー後に濡れたまま放置したり、自然乾燥をしたりすると頭皮に雑菌が繁殖しやすくなるため、なるべく早めにドライヤーで乾かしましょう。

濡れたまま眠ると頭皮や枕に雑菌が繁殖してしまうため、頭皮ニキビを予防したい人は絶対に避けてくださいね。

お風呂上がりは、時間を置かずドライヤーで完全に乾かすことで頭皮ニキビを予防できます。

2-5.枕カバーを洗濯する

髪を乾かして寝ても、就寝中の汗や皮脂分泌は防げませんので、枕カバーは小まめに洗濯しましょう。

頭皮ニキビの予防には、水分を吸収しやすい綿素材がおすすめ。洗い替えに2〜3枚揃えておくと毎日交換できます

2-6.しっかり睡眠をとる

しっかり睡眠をとることは、頭皮ニキビには非常に効果的です。

睡眠時に分泌される成長ホルモンは、就寝後3〜4時間の間に多く分泌されます。細切れで睡眠をとったり途中で目が覚めてしまうと、分泌量が少なくなる可能性があります。

生活リズムを整えて睡眠時間を確保し、成長ホルモンがしっかり分泌される環境を作りましょう。

2-7.ストレスを溜め込まない

ストレスは頭皮に悪影響を与えるため、頭皮ニキビの予防にストレスは溜め込まないようにしたいものです。

しかしストレスというのは、度合いが目に見えないため、自分では気付かないこともあります。自分の心が無理をしすぎていないか、頑張りすぎていないかを自分で判断できるようになるとストレスは溜まりにくくなります。

「つらいことや悲しいときでも笑顔で過ごす」「つらくても涙は見せず笑顔で吹き飛ばす」なんて言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、このような方法は全くおすすめしません。

つらいときや悲しいときは、しっかり泣くこと。悲しいときに無理に笑顔を作らないこと。これが自分の心を大切にして、ストレスを溜めない方法のひとつです。

しかし、会社で泣いたり、不機嫌でいることはできないため、家に帰ってから心の思うままに自分の心に忠実になれる時間を作りましょう。

ストレスでニキビができる原因とは?できやすい箇所やストレス解消法も
繰り返すニキビの原因は、ストレスが溜まっているからかもしれません。この記事では、ストレスでニキビができてしまう理由や原因を詳しく解説していきます。記事の最後には、すぐにできるストレス解消方法までを説明しているので、参考にしてみてくださいね。

2-8.帽子の着用は短時間にする

ニキビを早く治すためには、頭皮が蒸れないように帽子の着用は短時間にしましょう。

特に夏場の帽子着用は、頭皮ニキビが悪化しやすいため、帽子の代わりに日傘を使用することをおすすめします。

3.治らない場合は皮膚科に相談

頭皮ニキビはたまに1つできる程度で自然に治る人はいいですが、いつも頭皮にニキビができている人やなかなか治らない人は皮膚科の受診をおすすめします。

頭皮は顔のようにレーザーやピーリング治療ができないため、主に内服薬や外用薬による治療になります。内服薬や外用薬は、一般皮膚科の保険診療で処方してもらえるため、非常にハードルが低くなりますよね。

美容皮膚科は、保険診療外の薬や治療も可能ですが、まずは保険診療で診てもらえる皮膚科から行ってみましょう。

3-1.内服薬を処方してもらう

内服薬は、抗菌効果のある薬剤や漢方の処方が可能です。ニキビは「ニキビ治療ガイドライン」に沿った処方になり、ニキビの状態を診て医師が判断します。

抗菌効果のある内服薬は、ニキビの炎症による毛包脂腺の破壊を予防します。漢方薬は、内服薬で効果が出ない人や、月経周期のホルモンバランスによってニキビができる人などに処方される場合があります。

3-2.外用薬でも治療可能

ニキビの外用薬は、抗生剤、過酸化ベンゾイル、アダパレンなどが処方されます。

抗生剤アクネ菌に働きかけて、赤みや炎症を抑える
過酸化ベンゾイルアクネ菌殺菌、毛穴詰まりを解消
アダパレン毛穴詰まり、抗炎症作用、ニキビ跡の改善

市販のニキビ治療薬も販売されていますが、毛穴詰まりを解消する薬は医療機関でないと取り扱いできないため、市販薬で治らない場合は受診しましょう。

顔の場合は、さまざまな美容医療が受けられますが、頭皮は治療法が限られてくるため、まず保険診療からおこなうことをおすすめします。

田澤先生
田澤先生

生活習慣や使う商品を変更しても頭皮のニキビが治らない方は、早めに皮膚科を受診しましょう。自分ではなかなか確認できない頭皮の状態を診てくれますし、症状に合わせた外用薬や内服薬を処方してもらえます。

4.頭皮ニキビにしてはいけないこと

頭皮ニキビができているときに「してはいけないこと」も合わせてチェックしていきましょう。

4-1.汗をかいたら放置しない

頭皮は汗をかきやすい部分で、汗で湿った状態が続くと頭皮ニキビの悪化を招きます。

蒸れた状態が長くなるほど、雑菌やアクネ菌が繁殖しやすくなります。汗をかいたあとは、軽くタオルで拭き取り、風通しを良くしましょう。

帽子をかぶっているときに汗をたくさんかいたら、一度外して汗をタオルでおさえ、頭皮が乾くまで脱いでおくと雑菌の繁殖を防げます。

4-2.頭皮に触らない

頭皮ニキビは、汗や皮脂の蒸れにより悪化しやすく、痛みやかゆみが伴いやすい部分です。頭皮をかいたりニキビの箇所を触ったりすると、ニキビがつぶれて炎症を起こしやすくなります

ブラシなどがあたってニキビがつぶれることもあるため、ブラッシング時は頭皮にあたらないようにおこないましょう。

4-3.何度もシャンプーをしない

頭皮ニキビや頭皮のべたつきが気になるからといって、1日に何度もシャンプーをするのはNGです。

頭皮が乾燥するだけでなく、シャンプー剤や摩擦の刺激により悪化しやすくなってしまいます

シャンプーは基本1日に1回まで、なるべく夜におこなうようにしましょう。朝シャンプーが習慣の人は、夜にシャンプーをおこない、頭皮をきれいにしてから寝るようにするだけでも頭皮ニキビの予防につながります。

ヘッドスパは血行を良くさせますが、頭皮ニキビには刺激になりやすいため要注意です。

ヘッドスパ用のトリートメントでも、陽イオン界面活性剤(カチオン界面活性剤)や油分が配合されているため、頭皮ニキビや敏感肌の人はおこなわないようにしましょう。

田澤先生
田澤先生

シャンプーは1日に1回が良いでしょう。べたつきが気になって何度もシャンプーをすると、頭皮が乾燥し、更にべたついてしまうこともあります。予洗いをしっかり行うと、一度のシャンプーでも地肌の汚れを落とすことができます。

5.まとめ

頭皮は皮脂腺が多く、蒸れや汗からニキビにつながりやすいため、日頃から頭皮ニキビができにくい生活習慣を心がけることが大切です。

頭皮ニキビは、食べ物やストレスなどの影響を受けやすく、睡眠とバランスの取れた食生活が必須になります。

また「ニキビ治療は美容医療でないと受けられない」と思っている人も意外に多いのですが、保険診療が可能です。

頭皮ニキビは基本的に外用薬、内服薬での治療が受けられるため、早めの治療で治しましょう。

  • 肌トラブル大全/小林智子著/P87ニキビの治療薬/WAVE出版