鼻ニキビの原因とは?過剰分泌する皮脂やメイク汚れに注意

鼻,ニキビ

鼻ニキビはニキビの中でも特に憂鬱でやっかいなニキビです。顔の中心部にある鼻に盛り上がった赤いニキビができると、鏡を見たり人に会ったりしても常に気になるもの。

鼻ニキビは作らせないことが大切ですが、できてしまった鼻ニキビは一刻も早く治したいですよね。

本記事では、主に以下の内容についてくわしく解説していきます。

  • 鼻ニキビの原因
  • 鼻ニキビの予防・対策法
  • 鼻ニキビの治療法

鼻ニキビを改善するには、まず原因を把握することが大切です。

【監修】女医によるファミリークリニック 院長 大井美恵子

難病指定医・キレーション認定医
小児慢性特定疾患指定医
子どもの心相談医
高濃度ビタミンC点滴療法認定医

大井美恵子のプロフィール

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1.鼻ニキビの原因とは

大人になってできる鼻ニキビの原因は、皮脂の過剰分泌だけではありません。鼻ニキビは、さまざまな原因が複雑に絡み合っていることも多いのが現状です。

まずは原因を把握し、当てはまるものはないかチェックして対策に備えましょう。

1-1.過剰な皮脂分泌やメイクの汚れ

Tゾーンである鼻は顔の中でも皮脂分泌が多い場所です。鼻は他の部分に比べると毛穴面積が大きく、毛穴にメイク汚れや老化角質、皮脂汚れが詰まりやすくなります。

過剰な皮脂分泌やメイク汚れが毛穴を塞ぎ、毛穴内部に皮脂が溜まりアクネ菌が増殖するとニキビが進行します。アクネ菌は酸素が入らない環境を好み、皮脂をエサにして増殖するため、鼻の毛穴内部は絶好の場所なのです。

1-2.手で触るなどの鼻への刺激

鼻を手で触ったり、鼻をかんだりする行為が刺激となりニキビへつながりやすくなります。特に鼻をかみすぎると、皮膚の角質層が剥がれ外的刺激を受けやすくなってしまいます。

鼻の毛穴は角栓や汚れが溜まりやすいのですが、ゴシゴシ洗うことや角栓を押し出すことはNGです。ニキビは刺激を与えると炎症し、赤ニキビや膿を持った黄ニキビへと変化しやすくなるため注意が必要です。

1-3.ホルモンバランスによるもの

体には多くのホルモンが存在しますが、鼻ニキビに影響を与えやすいのが女性ホルモンです。生理前になると鼻にニキビができる、鼻がべたつく、という人はいませんか?

女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があり、月経周期により増減を繰り返しています。

月経前の7〜10日間はプロゲステロンが増加し、皮脂が増えてニキビができやすい肌状態になります。月経が訪れプロゲステロンが低下し、エストロゲンが増加すると皮脂分泌が正常になってきます。

プロゲステロンが増加したときにニキビができ、触ったり雑菌による炎症を起こすと治りにくく、翌月の月経前まで持ち越してしまうこともあります。女性ホルモンの変動は病気ではないため、ある程度予測しておくと予防が可能になります

1-4.肌の乾燥

鼻は皮脂が多いからといって水分量も多いとは限りません。むしろ水分量が少ないほうが、皮脂が分泌されやすい傾向にあります。特に大人の鼻ニキビは、皮脂を取り除くことばかりおこなうと、皮膚の水分量が低下し乾燥を招いてしまいます。

過度な洗顔や皮脂を除去するパックの使用により、肌の乾燥を防ごうとする力が高まり、肌の皮脂分泌を促すためやりすぎには注意しましょう。肌が乾燥しないように保湿ケアをおこなうと皮脂分泌が増加しにくく、鼻ニキビの予防につながります

1-5.紫外線などの外的ストレス

紫外線は肌を酸化させる働きがあり、毛穴の皮脂が酸化すると毛穴が詰まりやすくニキビの原因になってしまいます。また紫外線による肌の乾燥やバリア機能の低下により、皮脂分泌が活発になります。

紫外線を予防するには、バランスのとれた保湿ケアとUVケアをおこないましょう。

1-6.マスクにより雑菌が繁殖

マスクが解禁になりしばらく経ちますが、まだまだ日常生活ではマスクをしている人が多いのが現状です。マスクを着用すると、マスク内は蒸れて雑菌が繁殖しやすくなります。また、口元は動きやすい部分になるため、マスクと皮膚が擦れて肌刺激になってしまいます。

マスクは同じものを1日着用するのではなく、午前と午後で替える、長時間同じマスクをしないようにすると、ある程度の雑菌繁殖を防げます。

大井先生
大井先生

疲れやストレス睡眠不足、マスクによる刺激なども関係しています。鼻は皮脂が多く、毛穴も開きやすいためニキビのできやすい条件が揃っています。温めた後には冷やすことによって毛穴が引き締まり、ニキビの発生を防ぐことができます。

2.鼻ニキビの予防・対策方法

鼻ニキビは一度できると治りにくく炎症しやすいため、予防や対策が必須です。予防対策は、すぐには結果が見えませんが、続けることで未来のニキビを予防できます。

2-1.生活習慣の見直し

睡眠や食事などの生活習慣を見直すことで、鼻ニキビの予防が期待できます。

睡眠不足が続くと自律神経が乱れ、リラックス状態のときに働く「副交感神経」よりも起きているときに働く「交感神経」が優位になります。

交感神経が優位になると、皮脂分泌を増加させる働きが強まるため鼻ニキビへのリスクが高まります。休むときにはきちんと休む、睡眠時間を確保する、などをおこなうことが自律神経を整えるコツです。

食事面では皮脂分泌を促し、ニキビの原因になりやすい乳製品の摂取を控えることも大切です。特にスキムミルクやホエイプロテインの摂取は、ニキビ増加の原因になると報告されているため注意しましょう。

2-2.洗顔・クレンジングを丁寧に行う

鼻に皮脂やメイク汚れが残らないように、洗顔とクレンジングを丁寧に行うことが必要です。朝はしっかり泡立てた洗顔料を肌にのせ、小鼻や鼻周辺を指の腹でやさしく洗いましょう。毛穴汚れを落とす効果のある酵素やクレイ、炭などが配合されたタイプがおすすめです。

鼻ニキビの予防には、メイクや下地に合わせたクレンジングを選ぶことも大切です。

石けんで落とせるファンデーションでも、皮脂崩れ防止の下地を使っていたり落としにくい日焼け止めを使っていたりする場合は、洗浄力の高いオイルクレンジングやバームクレンジングが必要になってきます。

メイクが薄いからといって下地を計算に入れず、マイルドなジェルやミルクタイプを使うと肌に残留する可能性があります。ベースメイクは、ファンデーションと下地をセットで考えてクレンジングを選びましょう。

2-3.刺激を与えない

鼻ニキビができてしまったら、手で触ったり潰したりせずに刺激を与えないようにしましょう。気になって手で触ると、手の雑菌から炎症ニキビへと進行してしまうことがあります

特にニキビを潰してしまうと、毛穴周辺の皮膚組織が炎症を起こし、ニキビ跡になりやすいため潰すのは避けてください。

2-4.ストレスや疲れを溜めない

1日働くとストレスや疲れがどうしても溜まってしまいます。疲れは睡眠で回復しやすいですが「ストレスを溜めない」ことは、現代女性には難しいものです。

また、忙しすぎてストレスや疲れが溜まっていることにすら気が付かないこともあります。ストレス解消には「ゆっくりお風呂に浸かる」「アロマでリラックス」などといわれますが、子育て中のワーキングママや通勤で時間のかかる人にはそんな時間は存在しません。1日のうち、もしくは週1回でも自分の心が喜ぶものを見つけることをおすすめします。

「子供が寝た後、好きなドラマを1話だけ見る」「おいしいコーヒーやお茶を飲む」「何もしない日を作る」など何でもいいのです。頑張らなくてもいいひとときや楽しめる時間があることが、ストレスを溜めないことにつながります

ストレスでニキビができる原因とは?できやすい箇所やストレス解消法も
繰り返すニキビの原因は、ストレスが溜まっているからかもしれません。この記事では、ストレスでニキビができてしまう理由や原因を詳しく解説していきます。記事の最後には、すぐにできるストレス解消方法までを説明しているので、参考にしてみてくださいね。

2-5.肌におすすめの栄養素を補給する

鼻ニキビの予防には、肌におすすめの栄養素を補給するのがおすすめです。体の不調はニキビとして肌に現れやすいのですが、気をつければ美肌に導くことができます。

肌に良い栄養素に着目して、食事に取り入れてみてくださいね。

食物繊維

食物繊維は腸内環境を整え、便秘予防や栄養素の吸収を高めてくれる第6の栄養素と呼ばれています。また、食物繊維は、ヒトの消化酵素で分解されない物質になります。

食物繊維には、水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維の2種類があります。

水溶性食物繊維水に溶けるとゼリー状に変化し、食後の血糖値を抑える働きがあります。
昆布、わかめ、芋、麦類などに含まれています。
不溶性食物繊維水に溶けない不溶性食物繊維は水分を吸収して便を増やし、
排便をスムーズにする働きがあります。
きのこ、ごぼう、豆類、甲殻類の殻などに含まれています。

水溶性食物繊維は血糖値の上昇を抑え、不溶性食物繊維は便通に良いため、両方の食物繊維を摂取すると、より鼻ニキビの予防に効果的です。

ミネラル

カリウムやマグネシウム、亜鉛などを含むミネラルは、ホルモンバランスを整えたり肌のターンオーバーを促進したりする働きがあります。

ミネラルミネラルは男性ホルモンを抑えるため、皮脂の過剰分泌を抑制します。
魚介類、海藻類、肉類、果物、豆類などに含まれています。

ビタミンA・B・C・E

ビタミンA、B、C、Eは、それぞれが鼻ニキビ抑制に役立つ重要な栄養素です。

ビタミンA肌のターンオーバーを促進し、皮膚や粘膜を健康に保つ働きがあります。
レバー、うなぎ、にんじん、ほうれん草などに含まれています。
ビタミンBビタミンB群のうちビタミンB2とビタミンB6は、皮脂をコントロールする重要な栄養素です。
皮脂分泌が多い鼻ニキビの予防には積極的に摂りたい栄養素です。
レバー、納豆、鶏ささみ、玄米などに含まれています。
ビタミンC抗酸化作用を持つビタミンCは、肌のコラーゲンを合成する働きがあります。
いちご、レモン、パプリカ、ブロッコリーなどに含まれています。
ビタミンE抗酸化作用や血行促進効果があり、鼻ニキビができにくい肌に導く栄養素です。
アボカド、うなぎ、ナッツ類などに含まれています。

どれも重要なビタミンですが、特にビタミンB群は皮脂の代謝にかかわる栄養のため、意識して摂り入れることをおすすめします。

ニキビに効果的な食べ物とは?気をつけたい食生活とスキンケア法を解説
ニキビは意外に、普段食べている物が原因でできてしまう場合があります。今回は、自分の食べているものがニキビに影響しているのか知りたい方や、ニキビを予防する食べ物が知りたい方のために、ニキビに効果的な食べ物をご紹介します。
大井先生
大井先生

ニキビの原因は毛穴の詰まりです。毛穴の詰まりを防ぐことで、ニキビの予防ができます。温かいスチームをかけた後、冷水や冷却で冷やしメリハリをつけて、肌を引き締めていくことが大切です。

3.鼻ニキビの治療方法

鼻ニキビは、皮脂分泌が多い場所のため、あっという間に悪化してしまうことがあります。ニキビが治ってもニキビ跡やクレーターになると、セルフケアでは難しいのが現状です。

スキンケアでは予防までしかできず、生活習慣もできてしまったニキビには即効性がありません。スキンケアと生活習慣は、ニキビ予防には欠かせませんが、きれいに治すためには医療の力を借りることをおすすめします。

3-1.保険診療で受けられるニキビ治療

ニキビを治す治療は保険診療で受けられ、薬を処方してもらうことができます。日本の医療ではニキビは「尋常性ざ瘡」といわれる皮膚疾患のため、保険診療が可能です。ニキビの診療には「ニキビ治療ガイドライン」に沿った診療になるため、クリニックにより内容が異なることが少ないといえます。

外用薬や内服薬は、ニキビの程度に応じて処方されます。ただし、保険診療で受けられる治療は「ニキビを治す」ことが目的となります。

「ニキビ跡」や「レーザー治療」「ピーリング」などは、美容クリニックでおこなう自費診療となります。美容皮膚科では、一般皮膚科の保険診療もおこなっているクリニックもあります。

3-2.ケミカルピーリング

ケミカルピーリングは、酸の薬剤を肌に塗布して角質を薄く剥がし、ターンオーバーを活性化させる施術です。古い角質が除去されると同時に、毛穴の奥まで洗浄され、毛穴詰まりが解消されやすくなります

鼻のニキビ改善はもちろん、いちご鼻や角栓ケアにも効果的です。ダウンタイムはほぼなく、1回の施術でも肌のトーンアップやキメなどが整いやすくなります。

価格は使用する薬剤により異なりますが、1回5,000〜20,000円で受けられることが多いです。

3-3.レチノールピール

レチノールピールは、レチノールを使用したピーリング治療です。レチノールは化粧品でもおなじみのビタミンA誘導体の一種で、ターンオーバーを整えニキビやハリケアに効果的なことで知られている成分です。

レチノールピールには主に以下の効果があります。

  • 皮脂を抑制しニキビを改善
  • シミ、肝斑の改善
  • バリア機能の改善
  • コラーゲン産生

クリニックでレチノールピールを肌に塗布してもらいそのまま帰宅します。4〜6時間経過したら洗い流すだけなので患者側には負担が軽い治療です。

ダウンタイムは2〜10日間ほどあり、赤みやヒリヒリ感が出たのち皮が剥けてきます。ニキビ改善には、レチノールピールを4〜5週間おきに数回受けることを推奨されています。

価格は1回あたり20,000円前後で受けられるクリニックが多いです。

3-4.エレクトロポレーション

エレクトロポレーションは、ニキビやシミに有効な美肌成分を肌内部に届ける治療です。

イオン導入は表皮までしか届かないのに対し、エレクトロポレーションは真皮まで届けることができる画期的な治療法です。エレクトロポレーションには、肌悩みに合う導入薬剤を選ぶことができます。

  • ニキビ・ニキビ跡・美白:ビタミンC
  • シミ・肝斑・くすみ:トラネキサム酸
  • 美白、エイジングケア:成長因子
  • 美白・肌再生:プラセンタ
  • ハリ・乾燥:ヒアルロン酸

例えば、ニキビとハリを与える治療をしたいなら、ビタミンC+ヒアルロン酸など組み合わせも可能です。ダウンタイムはほぼありませんが、赤みやヒリヒリを数日感じる場合があります。価格は1回10,000〜30,000円でおこなうクリニックが多いです。

3-5.光線治療

光線治療は、肌に複数の波長の光を照射し、ニキビの炎症を抑える治療です。アクネ菌を殺菌できるため、炎症ニキビや繰り返し起こる鼻ニキビにも効果を発揮します。

また、コラーゲンを活性化させる働きがあり、ニキビの改善だけでなく美肌へも効果が期待できます。ダウンタイムはほぼありませんが、赤みや熱感が出る場合があります。

クリニックの取り扱い機器により価格は異なり、1回あたり15,000〜40,000円で受けられます。

3-6.フォトSR(AC)

フォトSRは、アクネ菌を殺菌する青色の光と、抗炎症作用のある赤色の光を照射するニキビ治療です。炎症や赤みを改善する効果があり、鼻の赤ニキビや炎症ニキビの治療にも使われています

2〜3週間に1回のペースで4〜5回継続することで、ニキビ治療だけでなく肌質改善が目指せる治療です。ダウンタイムはほぼありませんが、施術後に熱感や乾燥を感じる場合があります。フォトSRは、1回あたり20,000〜40,000円で受けられます。

3-7.ダーマペン

ダーマペンはペンタイプの美肌治療機器で、肌に無数の穴を開け、自然治癒力を促し真皮のコラーゲンやエラスチンの生成を高めます。

小回りのきくペンタイプなので鼻のニキビ治療にも使用できますが、アクネ菌が増殖した赤ニキビや黄ニキビには施術できない場合があります。

ダーマペンはどちらかといえばニキビ跡や軽度のニキビ向けの治療になるため、鼻ニキビの改善に合うかどうかは医師と相談してみましょう

ダーマペンは皮膚に穴を開けるため、針が長いと出血やかさぶたができやすく、ダウンタイムは1週間程度かかる場合があります。ダーマペンは1回あたり20,000円〜で受けられるクリニックが多いです。

3-8.イソトロイン・ロアキュテイン

イソトロイン・ロアキュテインは、重度のニキビ治療薬として開発された飲み薬です。アメリカのFDAでは認可されていますが、日本の厚生労働省では認可されていないため、保険適用外となります。

イソトロイン・ロアキュテインは、レチノイドが主成分で、ニキビの炎症や皮脂分泌を抑制する作用があります。治療期間は1クール(16週〜24週)が目安となっています。

副作用は、粘膜の乾燥や鼻血、頭痛などが見られることがあります。妊娠中や授乳中は使用できず、服用中と服用終了後半年間は避妊が必要です。

大井先生
大井先生

鼻ニキビは急激に大きくなったり、膿んだりすることが多いため、抗生剤の概要だけでなく、内服や漢方の併用をして治療していくことが多いです。最近はピーリング効果のある薬なども非常に効果が高いと認められているため、抗生剤と併用して使うことが多いです。

4.まとめ

今回は、気になる鼻ニキビを予防する方法と、治す方法についてお伝えしました。

おでこやフェイスラインのニキビは目立ちにくいですが、鼻ニキビは非常に目立つため深い悩みに突入しやすいです。一刻も早く治すためには医療も視野に入れ、正しいスキンケアと生活習慣で鼻ニキビを予防しましょう。