数年間に及ぶ殺害予告を始めとした“ネット炎上”に巻き込まれるも、自ら公に立って情報発信を行うなど、懸命に戦い続ける弁護士・唐澤貴洋。いつしか彼は“炎上弁護士”と呼ばれ、また自称するようになった。

日刊サイゾーでは昨年末、初の著書『炎上弁護士 なぜ僕が100万回の殺害予告を受けることになったのか』(日本実業出版社)刊行に際し唐澤弁護士にインタビューを行ったところ、ネットを中心に大反響を呼んだ。

 今回は二冊目となる『そのツイート炎上します! 100万回の殺害予告を受けた弁護士が教える危機管理』(カンゼン)の発売を祝して、再び“炎上弁護士”を直撃した。

――早くも二冊目ということで、炎上弁護士もすっかりメジャーな存在になりましたね。

唐澤貴洋(以下、唐澤) いや、全然そんなことはないですよ。でも、サイゾーさんのインタビューはとても好評を頂いておりまして、その節は大変お世話になりました。おかげさまで体感的にですが、殺害予告も減りました。


――そうなんですか(笑)。自らMMDに言及、学生時代は「陰キャの中二病」など、他メディアではあり得ない内容でしたからね。前回はサイゾー編集部にお越しいただき、社内は騒然としていたのですが、今回は「恒心綜合法律事務所」にお邪魔させていただいております。

唐澤 「法律事務所Steadiness」です。

――はい。先ほど東京都港区三田の「日向坂」を通ってきましたが、やはり先生はアイドルとご縁があるようで。


唐澤 いきなりアイドルいじりですか。相変わらず“アイドルオタク”として見られているようですが、私は「48」と「46」の区別もキチンとついていないですよ。それこそテレビでもネタにされてしまったので、むしろ詳しくならないといけないのではないかと思っています。教えてくれる人がいましたらサイゾーまでご連絡ください。

――さっそく本について聞いてまいりましょう。「炎上弁護士が教える危機管理」ということなのですが、先生は「ブーメラン」という言葉をご存知ですか? 狩猟道具ではなく。


唐澤 西城秀樹の「ブーメラン・ストリート」は知っていますが(真顔)。で、この本はネット炎上に際してのHow toを、実在のケースや被害者の方との対談なども交えながら、分かりやすく解説する内容になっています。色々なところでお話させていただいていますが、一番大切なのは「そもそも炎上に巻き込まれない・起こさない」ことなのですが。

――……。おっしゃるとおりですね。

唐澤 本の中でも触れていますが、SNS、特にTwitterは『動物的』な危険性が含まれているサービスです。
どういうことかというと、スマホの普及もあって、日常での怒りやふと思ったことについて、一瞬の疑問も抱かぬまま直感的に投稿をするという行為が、ごくありふれたものとなりつつある。これは非常に危険なことで、ほんの1分、数十秒でもいいから、投稿内容が全世界に配信されることについて、考えてほしいんです。それだけでも世の中の炎上は相当減ると思います。いきなり結論ありきで、プロセスもなく直接的な言葉を無意識的に吐くという行為は、あらゆる意味で炎上の危険性をはらんでいます。

――なるほど。被害者側には、対談で登場しているスマイリーキクチさんのように「防ぎようがない」ケースもあるかと思いますが、炎上を根本から止めるには、むしろ加害者側の意識改善が最短ルートに思えますね。
ところで動物は好きなんですか?

唐澤 断然犬派ですね。これまでペットを飼ったことはないんですが、疲れて仕事から帰ってきた時にお迎えされたらと思うと、想像するだけで癒やされます。私が犬を好きになったきっかけは、中学生の頃、「少年ジャンプ」を読みながら下校していたのですが、ふと気付くと後ろから野良犬が、静かについてきていたんです。その時は驚きましたが、吠えもせず従順にただ後ろからついてくる犬を見て、なんて可愛いんだと……。

――(動物ネタ、めっちゃ食いつくな……)そういえば前回、YouTube鑑賞が趣味とおっしゃっていましたが、相変わらずですか?

唐澤 就寝前の唯一の癒やしですね。最近はケイタササグリさん、星野るりさんら競馬ユーチューバーにハマっています。



――また意外な趣味が。馬券も買われるんですか?

唐澤 いえ、いまユーチューブで勉強しています。馬券師の方々が様々な予想を展開して、いざレースを見ると「全然間違ってる!」という流れがものすごく面白くて。こんなに競馬アツくなったのは、学生時代にダビスタ(ダービースタリオン、競馬シミュレーションゲーム)をプレイして以来ですね。

――深夜ベッドでYouTubeを観ている先生の姿は、想像するだけで面白いです。

唐澤 あまりにも真剣に観ていると、あっという間に朝になってしまうので、なんとか“ながら観”を意識しています。

――夜中、無音が寂しいので、テレビをつけっぱなしにするみたいな。

唐澤 いや、ラジオ感覚ですね。ここで初めて申し上げますが、実は私、大のラジオファンで。憧れの人は伊集院光さんです。

――またぶっこんできましたね。『馬鹿力』(伊集院光 深夜の馬鹿力、TBSラジオ)ですか?

唐澤 その前にニッポン放送でやっていた『オーデカ』(伊集院光のOh!デカナイト)からのリスナーです。伊集院さんを尊敬するあまり、学生時代ニッポン放送に行って、ノベルティグッズをもらったこともありました。ご本人とはすれ違ったくらいですが、本当に体が震えましたね。「荒川ラップブラザーズ」(伊集院と久保こーじのユニット)のCDも買いました。

――近頃はピエール瀧が騒動になっていますが、電気グルーヴも聞いていた?

「電気グルーヴは、伊集院さんのラジオのつながりで聞いていました。ピエール瀧さんは俳優としても素晴らしいし、復帰してほしいですね。伊集院さんの“トーク一本勝負!”というスタンスが、一番琴線に触れていたんです」

――ラジオ詳しいんですね……。

唐澤 ラジオネタならいくらでも話せますよ! 伊集院さんがテレビのゴールデンに出演し始めた時には、なんか自分の親戚がテレビに出ているくらいの気持ちで、いつも応援していました。この間、大竹まことさんの『ゴールデンラジオ!』(文化放送)に出させていただいたのですが、この番組も受験時代に聞いていて、出るときとても緊張しました。大竹まことさんは、ラジオの印象と同じでとても知的で素敵な方でした。

――今日イチ笑顔が輝いています。ところで先生、ちょっと痩せました?

唐澤 ………(数秒の沈黙後)あれ、気付きました?

――いや、そういうのマジで要らないです。

唐澤 サイゾーの影響か炎上も大分落ち着きがあるものになりまして、そのことからくる精神面の安定からか、過食がなくなりました。以前は深夜にラーメンを食べてしまうこともありましたが。

――事務所の近くには「ラーメン二郎」もありますが、ジロリアンだったり?

唐澤 二郎は神保町の二郎とインスパイア系しか食べていないので、語っちゃいけない気がします。自分は家系派ですね。六角橋にあった「六角家」とか。あ、最近は蒲田にある「ニュータンタンメン」にも通っています。

――カロリー自体はあまり意識していないようですね。では最後に、読者の方に伝えたいことはありますか? マウスの持ち方(※「唐澤 マウス」でご検索ください)についてとか。

唐澤 マウスネタを引っ張りますね……。実はサイゾーは、愛読書の一つなんです。そこで、恐れ多いですが、次はサイゾーさんから本を出したいです! そのためには、是非、連載をいただけましたら幸いです。

――むむ、そうきましたか。サイゾーで連載をするということは、どういう覚悟が必要だか分かっていますか。本を出すとなれば、握手会やトークイベント、サイン会をしたりとか、なんでもやってもらいますよ?

唐澤 ということは、OKということですか。

――(会場に殺害予告がきたらどうしよう……)えー、こちらが「ブーメラン」になりそうなので、要検討とさせていただきます。そして今回もありがとうございました! またのご登場に期待しております!!
(取材=編集部)

●唐澤貴洋(からさわ・たかひろ)
1978年1月4日生まれ。法律事務所Steadiness運営。
法律に関するご相談、お問い合わせはオフィシャルサイトへ。
https://steadiness-law.jp/