TAKURO(GLAY)、次の時代に向かう“決意”を感じさせたソロインストツアー初日
撮影/岡田裕介

2月27日に自身2作目となるソロインストアルバム『Journey without a map II』を発売したGLAYのギタリストTAKURO。今作を引っさげてのツアーが3月14日(木)、Zepp Fukuokaよりスタートした。


GLAYの骨太ロックサウンドとは一線を画す、ジャジーでブルージーなサウンド、そしてビンテージギターの芳醇な音が心地良い楽曲が詰まった『Journey without a map II』。ライブも座席に着席して楽しむスタイルであり、ここもまたGLAYと違った風景である。

ゲストメンバー、そしてTAKUROが静かに登場し、ライブはスタート。1曲目はTAKUROが「今回のアルバムではどうしてもトランペットを入れたかった」と語った気持ちが色濃く出ている「SOUL FRIENDLY」からスタート。1stアルバムでは「ギターのインストアルバム」としての面が強かったが、今回はギターだけでなく、その曲に合った楽器が主旋律を取っており、より「インスト」としての完成度を高めた楽曲揃い。その代名詞と言える「SOUL FRIENDLY」では、力強い、現地福岡出身のトランペット奏者が主旋律を取り、プレイヤーの息吹が感じ取れるサウンドがZepp Fukuokaに響き、会場に静かではあるが“熱”が伝播してくのが感じ取れた。


MCでは、現在メンバーのHISASHIがACE OF SPADESでツアーを敢行中で先週福岡に来ていたことや、先週イタリア・ヴェネツィアにてTERUとJIROがライブを実施していたことを報告しつつ、ここまでメンバーがバラバラに動いていることは今までGLAYにはなかったことであり、デビュー25周年を目前にメンバー各々が精力的に活動していることを話した。

ライブの中盤では今回のアルバムプロデューサーであり、盟友でもあるB'zのTak Matsumotoより提供されたブルースナンバー「北夜色 Port Town Blues」を披露。TAKUROはこの曲について「松本さんとギタリストとして向き合わされた曲であり、そして自分のギタリストとしての将来像を見させてくれた曲」と語っており、彼のビンテージのレスポールからは、一人のギタリストとしての覚悟のような気概が感じられた。

TAKURO(GLAY)、次の時代に向かう“決意”を感じさせたソロインストツアー初日
撮影/岡田裕介


1stアルバムの曲なども披露していきながら、今作の中でも一番のアップテンポナンバー「SARAH 派手にやれ!」を披露。サックスの米澤美玖が猛烈に畳みかける、まさに派手な曲である。TAKUROもサックスに合わせてGLAYを彷彿させるようなハードなプレイを披露したりと、会場はこの日一番の盛り上がりを見せた。
その中でもTAKUROが自分が好きな遊びと紹介したハンドクラップを披露するが、まさかの自分で間違えるというツアー初日っぽさが出てしまった。

そして、ボルテージの上がったところでラストナンバー「鼓動」が始まった。この曲はGLAYのカバー曲でありメロディはすでにお馴染みではあるのだが、ギターのインストとして聞いてみると、これがまた全く別の曲にも聞こえてくる。元々「鼓動」は夕張の財政破綻をきっかけに生まれた曲であるが、TAKUROが「平成が終わる前に、あらためてこの曲に向き合いたかった」といった想いからインストバージョンとして今回のアルバムに収録。TAKUROの歪んだギターからは、GLAYのリーダーとして、そして一人のギタリストとして激動の時代を駆け抜け、次の時代に向かう“決意”のような想いすら感じることができた。

アンコールでは、ライブの前に福岡の中心街の天神を散歩しに出掛けた時に、晴れ着の方を見かけて自分の卒業式のことを思い出したと語り、そこからGLAYメンバーとの思い出話も聞かせてくれた。


会場の雰囲気を和やかにすると、アンコール1曲目にはアルバムのリード曲「やすらぎのチセ」を披露。TAKUROの地元北海道を彷彿させるこの曲では、会場がとても暖かい空気に包み込まれていった。