10月17日(日)から23日(土)にかけて、Juice=Juice宮本佳林が初めてソロライブツアーを行った。これまでハロー!プロジェクトのメンバーがファンクラブイベントや卒業イベントとしてソロライブを行うことはあったが、現役メンバーがライブツアーを行うというのはほとんど例がない。
そんなかつてない偉業を成し遂げた宮本佳林とはどんな人物なのか、紐解いていきたい。
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◆研修生では異例のソロ曲をリリース

宮本は2008年、9歳でハロプロ研修生(当時のハロプロエッグ)に加入。小柄で愛らしいビジュアル、はつらつとしたパフォーマンスでメンバーからもかわいがられる存在だった。

仲間たちがデビューしたり辞めていく中で、彼女はいつしか研修生の中心メンバーに。宮本のデビューもすぐだろうと思われていたが、Juice=Juiceに加入するまでモーニング娘。
スマイレージ(現アンジュルム)のオーディションを4度経験し、落選している。

そんな状況をファンがやきもきしながら見守っていたなかで、宮本の魅力が存分に発揮された場が静岡で放送されていた『ピンクス』と『コピンクス』という番組だ。そのイメージキャラクター・コピンクとしてソロで歌った曲は、疾走感のある曲調、児玉雨子が手がけた軽やかな歌詞、そして愛らしい宮本の歌声で、今もファンのあいだで語り継がれる名曲。

研修生がソロで楽曲をリリースするということ自体めずらしく、先が見えない状態での活動を続ける中で、ファンそして彼女にとって、一筋の光になった出来事ではないだろうか。

◆努力で身につけた高いパフォーマンス力

そして2013年、宮本は研修生から誕生した新グループ・Juice=Juiceのメンバーに選ばれ、エースとして活躍。当時はまだ中学生だったが、研修生活動の中で着実に経験を積んでおり、ファンも納得のデビューだった。


もともとのポテンシャルが高い上にとにかく努力の人で、歌やダンスはもちろん、自らのビジュアルを保つことにも力を入れる彼女。その徹底したストイックぶりに“アイドルサイボーグ”と言われることも。そんな現状に満足せず、常に切磋琢磨しているから彼女だからこそ、今回のソロツアーにつながったのだろう。

そしてグループとしてもメンバー同士が高め合い、現在ではハロプロ随一の歌唱力と言われる実力派に。最近ではNHKの「うたコン」でのパフォーマンスや、最新曲『「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?』が話題になっている。

◆観客の心を掴み、揺さぶる表現力

彼女が好きな80年代アイドルの影響もあるだろうのか、「初めてを経験中」や「Vivid Midnight」など、思いっきりかわいらしい楽曲での宮本はまさに“THE アイドル”。
コロコロと変化するその表情を見ていると、まるで隣に並んで話しているかのように感じてしまう。

そして彼女の表現力の真骨頂は、切なさの表現にあると思う。「微炭酸」やドラマ『武道館』の劇中ユニット・NEXT YOUとしてリリースした「大人の事情」などエモーショナルな楽曲でこそ、歌声と表情で私たちを惹きつける。曲の世界観に入り込み揺れ動く彼女の瞳は、いつのまにか私たちの視線を釘付けにしてしまうのだ。

◆ちょっぴり抜けた部分もあるからこそ、愛される

そのストイックさやパーフェクトなパフォーマンスとは裏腹に、大胆にステージで間違えたり、タイツの上にスカートを穿くのを忘れて出かけたり(上にはロングコートを着ていたそう)、メンバーの金澤朋子からいじられるのを喜ぶドMな面があったりと、ユニークすぎるエピソードもメンバーから語られる。

努力家でまっすぐすぎる人だからこそ、メンバー内やステージの上でそんな素の一面が見えてくると、喜ばしいと同時にホッとしてしまう。
トークも得意で明るいキャラクターでありながら、人見知りな部分があったりと、ちょっぴり不器用な性格も彼女をより魅力的に見せるのだろう。

絶え間ない努力でソロツアーを成功させ、ひと回り、いやそれ以上成長した彼女。その姿は同じJuice=Juiceのメンバーだけでなく、ハロー!プロジェクトの全体にとって大きな刺激となるだろう。

そして今回のツアーは、これまで数々の壁を越えてきた彼女にとっても、非常に大きな挑戦だったに違いない。ここまでのステージをひとりで魅せるというのは難しいことだろうが、今後宮本だけでなくほかのメンバーたちにもぜひチャレンジしてほしい。