Gabは、炭化技術で再利用が困難だった有機系廃棄物(プラスチックを含む)を独自プロセスで炭化し、人工皮革などの“選べる素材(再資源)”へ変換する新循環ソリューション「.Garbon(ガーボン)」を始動したと発表した。トヨタ自動車のカーボンニュートラル推進活動「TOYOTA UPCYCLE プロジェクト」との実証も開始したという。
Gab、廃棄物を人工皮革など“選べる素材”へ変換する炭化ソリューション「.Garbon」を始動同社によると、.Garbonは焼却依存からの転換を狙い、衣類やプラスチック、食品残渣など分別が難しい有機系廃棄物を均質な炭粉末へ変換し、その炭を顔料・機能材として活用することで、人工皮革、建材、繊維など多様な用途の高付加価値素材に展開可能とする。
.Garbon炭化は無酸素加熱による熱分解で、燃焼に比べCO₂排出を約30~50%抑制できる可能性があるとしており、処理後はおよそ80%が熱エネルギー、約20%が炭化物(例:PETの場合)として資源化できるとのことだ。
炭化と燃焼の違い新素材の一つである「.Garbon Synthetic Leather(人工皮革)」は、炭粉末を樹脂に配合することで消臭・抗菌などの機能性を持たせ、遠赤外線効果の実証も予定しているという。国内の人工皮革メーカーと共同開発し、耐久・摩耗・引っ掻き・剥離強度などのテストをクリアする品質を有するほか、意匠性・アレンジ性、軽量性(本革の半分以下とする自社調べ)、撥水性、使用後に再炭化して再資源化できる点を特徴に挙げている。
.Garbonで作り出すことができる新素材技術面では、炭化技術のパイオニアとする大木工藝と独占ライセンス契約を締結し、炭化処理から素材開発・製品化まで一貫体制を構築した。これにより混合廃棄物でも安定的な炭化物供給と高機能素材への変換が可能になるという。
ビジネス面では、企業が「廃棄処理費用」ではなく「素材購入費用」として対価を支払うモデルを打ち出し、入口(廃棄物削減)と出口(素材活用)の両面を設計することで資源循環率を高める“Next Cycle(ネクストサイクル)”の実装を目指すとしている。今後は自動車に加え、ファッション、建材、日用品など幅広い業界に展開し、買い取り→炭化→素材化→再流通の循環インフラを社会に定着させる方針を示した。
ネクストサイクル実現へまた、本格展開に先立ち、炭化検証つきの「伴走導入プラン」を初回10社限定で募集し、企業ごとに最適な循環設計を行うとした。さらに、他の再資源化技術を持つ企業との横断連携による「ゼロウェイストコンソーシアム」構想も示し、自治体・企業の課題に網羅的に対応する枠組みづくりを進めるとしている。