黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)にNPO法人J-Win理事長の内永ゆか子が出演。女性が組織のなかでキャリアアップするということについて語った。

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NPO法人J-Win理事長 内永ゆか子

黒木)今週のゲストはNPO法人J-Win理事長の内永ゆか子さんです。働いていると、男性ならば「会社のなかで将来はこうなりたい」という思いがあるけれども、「女性はそういうことを思ってはいけないのかな」という壁もあるのかも知れません。

内永)女性たちにとって、いろいろなバリアがあります。そのいちばん大きなものが、将来像が見えない、チャレンジしたいと思わないということです。

黒木)チャレンジしたいと思わない。そういう方には、どういう言葉をかけるのですか?

内永)チャレンジしたくないのならば、しなくてもいいと言います。

でも、「あなたが会社にいてずっと仕事をしたいと思っているのならば、自分の一生をかけて仕事をするときに、1人だけの仕事として残るのか、それとも会社の金看板を背負って、たくさんの人を使って大きな仕事をして、死ぬときに“私は会社の名前を使って大きな仕事をして達成感があった”と思うのと、どっちがいいと思いますか?」と聞くと、みなさん「わかりますがそんな能力はない」と言います。「上の人がいいと言うのだから、チャレンジしてみればいいじゃない」と言うと、「失敗して、できなかったときに申し訳ない」と。それは上司の責任であり、あなたの責任ではないと私は言います。一言で言うと、組織のなかで役割、ポジションがどういう意味を持つのかわかっていないのです。男性は自分のポジションが上がることによって「人、もの、金」が自由になり、部下と大きな仕事ができる仕組みだと思っています。しかし、女性は学校の級長さんのように思っていて、「自分が頑張らなければいけない」と思うのです。
組織はそういうものではないと、いろいろな形でお話しすると「いいんですかね」と言うので、「やったら」と言います。最後にダメ出しで言うのは、「もしあなたがやりたくないと言うのであれば、受ける必要はありません。でもその代わり、あなたの部下だった女性があなたの上司になるわよ」と。でも「それは嫌です」と言うのですね。

黒木)わかりやすいですね、そうだと思います。ただ女性には仕事、家事、育児などのライフバランスもありますよね。

その辺りのことと、キャリアアップのバランスはどう考えていますか?

内永)ある女性が「女性は人生のフルコースを楽しめる」と言いました。キャリアもできるし、子どもを産み育てて家庭を持つこともできる。これはポジティブに、プラス思考に言っていることです。そう思えればいいのですが、なかなか難しい。そのときに私は「世界中の女性が仕事をしながら、子どもを産んで家庭を持って頑張っているけれども、日本の女性だけができない」と言うと、みんな「ウッ」となります。はっきり言って、それは大きな負担になると思います。

でも、それにはいろいろな解決策があるのです。パートナーにやってもらうというのも手です。自分でメリハリをつけて仕事をやり、子どもの面倒を見るときは保育士の方やいろいろな人の手を借りて、それをうまく活用する。場合によってはお金を払ってお掃除もしてもらいます。私は、いろいろな解決方法があると思います。すべてをパーフェクトにやろうとするのは女性の悪い癖なので、自分でプライオリティをつけて、「お金で解決できること」、「パートナーに頼んで解決できること」、「これだけは自分がやらなければいけないこと」を自分のなかで持てば、十分にやって行けると思います。
日本の女性だけが子育てしながら仕事をしているのではなく、世界中の女性がやっているわけだから、賢く考えて自分の人生を豊かにしようよ、と言うのですが、そこはぜひ考えて欲しいことです。

女性のキャリアアップとは、“人生のフルコースを楽しむ”ということ

内永ゆか子

内永ゆか子(うちなが・ゆかこ)/NPO法人J-Win理事長

■1946年生まれ。東京大学卒業後、日本IBM入社。女性初の取締役に就任。常務取締役、専務執行役員などを経て2007年に退職。
■2008年よりベネッセホールディングス副社長、ベルリッツコーポレーション会長兼社長兼CEO、2013年にベルリッツコーポレーション名誉会長を退任。


■2007年よりNPO法人J-Win理事長として、企業におけるダイバーシティ・マネジメントの支援に尽力。
■2013年に企業に応じた個別のダイバーシティ及び企業戦略に関するコンサルティング業務を行う株式会社GRIを設立。
■社外取締役として、ソニー株式会社、イオン株式会社、HOYA株式会社、そしてDIC株式会社を務める。
■2013年には男女共同参画社会づくり功労者内閣総理大臣表彰受賞。

【NPO法人J-Win】
■J-Win=ジャパン・ウィメンズ・イノベイティブ・ネットワーク。
■ダイバーシティ(多様性)マネジメントを推進。社会・企業における女性の活躍推進。
■企業が女性をJ-Winに派遣。合宿や海外研修などを経て、女性リーダーになるためのスキルを身に付ける。
■設立13年。現在110社が会員企業。