お正月もあっという間に過ぎて、きょうは1月7日、『春の七草』ですね。七草粥は「1月7日の朝」に食べるものとされていますが、これはあくまで習わしなので、今夜でも、あす、あさってに食べても、なんの問題もありません。

今回は、その七草を生産する農家のお話です。

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岩崎ファーム代表・岩崎泰樹さん 写真提供:三浦はねっ娘会(岩崎ファーム)

それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ。これぞ七草……。

「春の七草」を一番良い状態で栽培 三浦半島から「春の七草」120万パックを全国へ
春の七草と米、水、塩を入れて30~40分炊くだけで七草粥が完成 写真提供:三浦はねっ娘会(岩崎ファーム)

春の七草と米、水、塩を入れて30~40分炊くだけで七草粥が完成 写真提供:三浦はねっ娘会(岩崎ファーム)

そもそも、「七草粥」の由来は、中国から伝わったとされています。年の初めに「若菜摘み」という野の草を摘んで食べたという風習が、江戸時代には「七草粥」にして、一年の無病息災と五穀豊穣を祈る、そんな習わしとして定着したといわれています。今では、正月のご馳走で疲れた胃を休め、冬場に不足しがちな栄養素を補う働きがあるとされます。

そんな七草を摘んで集めるのは、都会ではなかなか難しいものです。最近では、正月明けのスーパーなどに『七草パック』が並んでいます。七草には「二大産地」があり、「西の横綱」と呼ばれているのが、愛媛県西条市。「西条の七草」は、京阪神を中心に出荷されています。

一方、「東の横綱」は、神奈川県の三浦半島です。

三方を海に囲まれていることから、一年を通じて気候の変化が小さく、「冬は暖かく、夏は涼しい」という温暖な気候を生かして、冬は大根やキャベツの産地で知られています。ところが、こういった大型野菜は、年によって価格の変動が激しく、安定しないという課題がありました。

「春の七草」を一番良い状態で栽培 三浦半島から「春の七草」120万パックを全国へ
「かながわブランド」に登録された『春の七草』 写真提供:三浦はねっ娘会(岩崎ファーム)

「かながわブランド」に登録された『春の七草』 写真提供:三浦はねっ娘会(岩崎ファーム)

そこで1989年(平成元年)に、三浦半島の農家で栽培が始まったのが「春の七草」でした。5万パックの出荷から始まり、年々出荷量は増えていきましたが、その裏では、手間も気苦労も増えていきました。

現在、3軒の農家が「三浦はねっ娘会」という名で、共同出荷をしています。「はねっこ」とは、地元の言葉で「風で飛ばされた地面の泥」のことで、この言葉の響きに「食べて元気になってほしい」という願いが込められています。

「はねっ娘会」のメンバー、岩崎ファーム代表、岩崎泰樹さんに連絡を取ると、「ああ、ごめんなさい。いま忙しくて、あとでまた!」「三が日が勝負!」というほど、元日を挟んだ1週間は、まさに、猫の手も借りたいほどの忙しさです。

「春の七草」を一番良い状態で栽培 三浦半島から「春の七草」120万パックを全国へ
ピーク時、300人を超えるアルバイトさんが作業 写真提供:三浦はねっ娘会(岩崎ファーム)

ピーク時、300人を超えるアルバイトさんが作業 写真提供:三浦はねっ娘会(岩崎ファーム)

11月中旬から短期の求人募集をかけ、高校生から主婦、さらには地元の野球部やサッカー部など、部活のグループまで人員を増やし、各農園、ピーク時に300人を超えるアルバイトさんが、栽培から収穫、泥落とし、パック詰めまで、ほぼ手作業で行われています。

1月4日夕方、最後の出荷を終えてホッとする岩崎さんにお話を伺いました。「七草は鮮度が命なんです。出荷時期に合わせて栽培していますが、この短い期間に7つの作物をいい状態で集荷するのがとても大変です。

大きく育ち過ぎたり、小さいまま成長が遅れたり、必ず7つをうまく育てることに、長年苦心してきましたね」

『七草パック』のサイズは、縦10センチ、横18センチ、厚さ5センチほど。「すずな(かぶ)」や、「すずしろ(大根)」は、大きく育ちすぎるとパックからはみ出してしまいます。また、セリは、長さを15~20センチに揃えなければなりません。一度収穫したセリを、根元から5センチほど残してカットして、それを水耕栽培で、新芽を出してから、あらためて出荷できる状態まで育てるそうです。試行錯誤の末、こうした手法や栽培時期・規格の調整にたどり着きました。

それでも、地球温暖化の影響もあり、栽培の時期が、年々早まるなど、環境の変化への対応も求められています。

「春の七草」を一番良い状態で栽培 三浦半島から「春の七草」120万パックを全国へ
首都圏・関東を中心に、東北、北海道へも出荷 写真提供:三浦はねっ娘会(岩崎ファーム)

首都圏・関東を中心に、東北、北海道へも出荷 写真提供:三浦はねっ娘会(岩崎ファーム)

「三浦はねっ娘会」の『七草パック』は、今年120万パックを、日本各地に向けて出荷しました。

この『七草パック』には、年末年始も作業を続けてきた農家の皆さんと、アルバイトさんたちの時間が詰まっています。七草粥と一緒に、味わってみてはいかがでしょうか。

*岩崎ファーム(七草の情報はこちら)
https://iwasakifarm.jp/item/nanakusa
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