“家電俳優”として人気を集めていた俳優・細川茂樹。前所属事務所との契約問題を扱ったTBSの報道に、BPO(放送倫理・番組向上機構)が「放送倫理上問題がある」と決定を下して注目が集まっている。
前事務所から一方的に契約を解除されたことをめぐり細川は、2017年1月に契約解除の無効確認を求めて東京地裁に申請。2月に前事務所側に契約続行を命じる仮処分が決定され、その後、5月に契約終了となった。
しかしTBSは同年12月放送の『新・情報7days ニュースキャスター 超豪華! ランキング2017決定版』で、この仮処分の内容に触れないまま「所属事務所からパワハラを理由に契約解除を告げられた」「契約終了というかたちで、表舞台から姿を消した」などと放送。細川が過去に発した「誰に何を言われようと、やんちゃに生きていきますね」というVTRも流れるなど、細川のパワハラを印象づけるような報道がなされたのだ。
放送を受けて細川は2018年1月、「名誉・信用を侵害する悪質な狙いがあった」としてBPOに申立書を提出。審議の結果、「当事者の主張が食い違う紛争・トラブルを扱いながら仮処分決定に触れなかったこと、使用したVTR素材が申立人の名誉や名誉感情に対する配慮に欠いていたことの2点について、放送倫理上の問題がある」と結論づけた。
BPOの判断が下されると、細川はブログで「BPO決定のご説明」と題して代理人弁護士のコメントを投稿。さらに以下コメントを掲載している。
「審理の過程をふまえて我々が至った結論は、番組側は『裁判決定を放送したくなかった』ということ、それが明確になりました」
「この放送は『裁判決定を伝えていないこと』に『意図』があります」
前事務所との契約終了直前、インターネット上などで執拗な嫌がらせを受けていることをブログで告白していた細川。2018年5月には脅迫コメントを投稿したとして無職の男が逮捕されており、細川は今年3月3日にブログで改めて誹謗中傷に対する警鐘を鳴らした。
●細川を脅迫した犯人に有罪判決
細川といえば、前述のとおり2016年に前事務所スタッフへのパワハラを理由に前事務所から契約を解除され、メディアでも大きく取り上げられた。だが、結果的に東京地裁が前事務所側に契約続行を命じる仮処分を下したことで、細川の汚名は晴れたことになる。
では、なぜ前事務所は細川との契約を解除するに至ったのか。現在、細川の連絡窓口となっているウェール法律事務所に取材を申し入れたところ、以下の回答が寄せられた。
「皆様方にお伝えできることは、その都度、細川茂樹さん(以下、本件俳優と言います。)の公式サイト、及びオフィシャルブログにて既に配信され、お答えしている内容であります。そちらをご参照いただきたく存じます。
東京地方裁判所は、芸能プロダクション株式会社サムデイに司法の判断を下し、警視庁は、本件俳優を脅迫した犯人を逮捕し、有罪判決となり、BPO人権委員会は、本件俳優を扱った番組に関して、『放送倫理上問題がある』番組内容であると、委員会決定を通知、公表しました。
本件俳優が上記の事案の被害者であるということを、正確にお伝えいただきたく存じます。今後もご支援の程、よろしくお願い申し上げます」
タレントと芸能事務所の契約問題が注目されるなか、この事案が持つ意味は重い。
(文=編集部)