政策アナリストの石川和男が3月7日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送Podcast番組「石川和男のポリシーリテラシー」に出演。データセンターの新設急増が招く知られざるトラブルについて専門家と議論した。

AIの普及や様々な分野におけるデジタル化が進み、急速に需要が伸びているデータセンター。高度な演算処理を24時間365日安定的に行うには、熱に弱いサーバーを冷却するなど膨大な電力が必要とされる。そんなデータセンター新設の足元で、表面化しにくいある問題が起きているという。

データセンター新設急増が招く“空押さえ”問題 「規制ルール整...の画像はこちら >>

データセンターを稼働させるためには、大量の電力が必要になる。電気は発電所で作られ、送配電網を通じて消費地へ送られるが「電線」には電気を流せる最大容量があり、容量をオーバーする場合は新たな電線を敷設するなどの対応が必要となる。

データセンターの大きさや種類にもよるが、AI用など高性能なデータセンターの電力使用量は一般家庭約3万世帯分の契約容量に及ぶと言われており、事前に発電所や送配電網を保有する電力会社との容量確認や調整が必要になる。電気を送ってもらう電線とデータセンターとの“接続”を電力会社へ依頼する「接続申込」という手続きから始めることが一般的だ。

その際、データセンターが稼働を始めるとどのくらいの電力量が必要になるかを試算し、電線の容量が足りるのか、そもそも電力量が足りるのかなどを計算し、足りない場合は新たに電線を敷設したり、場合によっては発電所を新設する必要性も出てくるという。ただ、この“試算”がネックとなる問題が起こっているというのだ。

番組にゲスト出演した東京電力パワーグリッド副社長執行役員・最高技術責任者の岡本浩氏によると、2026年 1月時点でのデータセンター新設に関わる「接続申込」は 約1500万kW分あり、東京電力管内の電力需要ピーク時の供給量5500万kWの3割弱に相当するという。ただ、1500万kWという数字はあくまでも試算であり、実際に稼働を始めてから使われる電力量が大幅に想定を下回るケースも多く見られると明かした。

電力会社としては停電などを招かないため、最大規模の容量を考慮した電線や発電所の増強を検討する。

それによって「接続」までに時間もコストも要することになるが、結果として“過剰投資”となるケースも増えていると言及。また、手続きに時間がかかることを見越して、過大な試算容量で「接続申込」だけを先に済ませ、接続可能との回答が出たあともなかなかデータセンターの建設に着手しないケースも増えており、限られた送配電網や発電容量の一部を「空押さえ」する事態が深刻化していると訴えた。

同様の問題は、これまでも太陽光など再生可能エネルギーによる発電所であまった電気を電力会社へ送り、買い取ってもらうために必要な送配電網への「接続申込」でも起こっていて、これらのケースでは「空押さえ」を規制するためのルール整備が進められてきた。しかし、データセンター新設に関わる分野では未だ事業者の“善意”に頼らざるを得ない状況が続いているという。

石川は「送電線は公共物。きちんと『空押さえ』を徹底的になくすようにルール化してもらいたいし、実際そうなると思うのでデータセンター事業でこれから申請する人はきちんと心得ないと、本当に厳しい規制になってしまう」と危機感を示した。

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