『ロング・リリイフ』(航思社)著者:松本 圭二Amazon |honto |その他の書店

◆そぎ落とされた詩の言葉
松本圭二のセレクションが刊行中だ。松本は詩人であり、小説を書き、映画についての犀利(さいり)な論考を発表してきた。


セレクションは全部で9巻に及ぶが、第1詩集『ロング・リリイフ』、自伝的な要素をちりばめた小説『さらばボヘミヤン』、そして圧倒的な存在感を示した『詩篇アマータイム』が3冊同時発売された。

やはり『ロング・リリイフ』が忘れがたい。極端にそぎ落とされた詩の言葉はしかし、読者を少しも拒むことなく、その固有の世界を作っていた。

松本は書いている。その詩集は「一回きりの跳躍」だった、と。長く入手困難だった、老成や成熟と無縁な詩人の仕事が、また読めることが何より嬉しい。

【書き手】
陣野 俊史
1961年長崎生まれ。文芸評論家、フランス文学者。ロック、ラップなどの音楽・文化論、現代日本文学をめぐる批評活動を行う。最新作に『戦争へ、文学へ 「その後」の戦争小説論』(集英社)。その他の著書に『フランス暴動 - 移民法とラップ・フランセ』『じゃがたら』(共に河出書房新社)、『フットボール・エクスプロージョン』(白水社)、『フットボール都市論』(青土社)など。

【初出メディア】
日本経済新聞 2017年9月21日

【書誌情報】
ロング・リリイフ著者:松本 圭二
出版社:航思社
装丁:単行本(107ページ)
発売日:2017-09-01
ISBN-10:4906738257
ISBN-13:978-4906738250
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