炊飯器に装着して使用する内ぶた。ゴムパッキンが変色した場合、そのまま使い続けても問題ないのでしょうか。「All About」ガイドで、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演する安蔵靖志が解説します。 (今回の質問)炊飯器の内ぶたのゴムパッキンが変色してきました。これって放置しても大丈夫ですか? (回答)黄ばみや薄い茶色程度であれば、そのまま使っても問題ありません。どういうことなのか、以下で詳しく解説します。■経年劣化するほか、食材の色素が沈着する場合もゴムパッキンが「黄ばみ」や「うっすらとした茶色」に変色している程度であれば、多くの場合、そのまま継続して使用しても問題ありません。この程度の変色は、主に以下の理由で発生します。▼経年劣化ゴム素材は時間の経過とともに徐々に変色していく性質があります。▼食材の色素沈着ごはんのでんぷん質や、炊き込みごはんの調味料(醤油など)の色素が長時間触れることで、パッキンに色素が沈着し、黄ばみや茶色に変色することがあります。これは、食器やタッパーがカレーの色に染まるのと似た現象です。▼熱による影響炊飯時の高温に常にさらされるため、素材が少しずつ変質し、変色として現れることがあります。これらの変色は、パッキンとしての「密閉性」や「弾力性」に直ちに影響を与えるものではありません。変色していても、パッキンがしっかりと密着し、蒸気が漏れてこないようであれば、基本的には安心して使い続けられます。■放置してはいけない変色とは?しかし、以下のような状態にまで進行している場合は、放置せずに汚れを取るか、交換を検討しましょう。これらは、パッキンの劣化が進み、密閉性が損なわれ始めている危険なサインです。▼カビの発生(黒ずみ)黄ばみとは異なり、黒っぽい点々や広範囲に黒ずみが目立つ場合、カビである可能性が高いです。カビは不衛生であるだけでなく、ゴム素材を劣化させてパッキンの弾力性を奪い、ひび割れや密閉不良の原因となります。発生した場合は、除菌用アルコールスプレーや酸素系漂白剤などを用いて除去しましょう。頑固なカビの場合、塩素系漂白剤を用いるのがおすすめです。▼ひび割れや亀裂が入っているパッキンの表面に目に見えるひび割れや亀裂が入っている場合、密閉性が大きく損なわれています。ここから蒸気が漏れ出し、正常な炊飯ができなくなる場合があります。▼弾力性が低下、硬化しているゴム本来の弾力がなくなり、触るとカチカチに硬くなっている場合、内ぶたがしっかりと密着せず、密閉性が保てません。蒸気が漏れるだけでなく、パサついたり、芯が残ったりするなど、炊き上がりのごはんの質にも悪影響が出ます。▼蒸気が漏れている炊飯中に内ぶたの隙間から蒸気が漏れてきたり、ごはんが炊き上がった際にパサついたり、美味しく炊けないと感じるようになったら、パッキンの密閉性が低下している証拠です。変色の有無にかかわらず、交換が必要です。これらの状態が見られる場合は、炊飯器の取扱説明書を確認し、ゴムパッキンの型番を調べてメーカーや家電量販店、オンラインショップなどで購入、交換してください。早めの対処が、炊飯器を安全に、そしておいしく使い続けるための秘訣です。この記事の執筆者: 安蔵 靖志ビジネス・IT系出版社で編集記者を務めた後、フリーランスに。記事執筆のほか、テレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。ラジオ番組の家電コーナーの構成なども手がける。