身長治療のスペシャリスト・田邊雄さん(東京神田整形外科クリニック院長)は、「身長を伸ばすためには、子どもの栄養状態が大切」と語ります。特に必須アミノ酸が不足していると、成長に悪影響が及ぶ可能性があるのだとか。


卵は、そんな必須アミノ酸をすべて含む優秀なたんぱく源。子どもの食生活に摂り入れるといいそうです。今回は、卵の効果的な食べ方を田邊さんの書籍『身長先生式 子どもの身長が伸びる食事のルール30』(Gakken)から一部抜粋・編集してご紹介します。

■卵を1日2個食べる
卵には、子どもに食べさせたい栄養がふんだんに含まれています。

▼卵の栄養ポイント1. 卵1個(50g)で約6gのたんぱく質を摂れる
2. 食事で摂らなければならない必須アミノ酸をすべて含む
3. ビタミンB群、鉄、亜鉛、ビタミンDなどの栄養素も含む
4. ビタミンC、食物繊維は含まれていないので、ほかの食材から摂る必要がある

■卵の必須アミノ酸は消化吸収率が高い
「卵を毎日2個」食べれば、子どもの身長は伸びる! 身長専門医が教える「卵」の効果的な食べ方
食品別 必須アミノ酸の消化吸収率(DIAAS)(画像出典:『身長先生式 子どもの身長が伸びる食事のルール30』)
卵はMサイズ1個(50g)に約6gのたんぱく質が含まれています。ここでは、たんぱく質を構成するアミノ酸について解説しましょう。

人体を構成するアミノ酸は20種類。そのうちの9種類が必須アミノ酸です。必須アミノ酸は人体で合成できないため、食事で摂る必要があり、1つでも不足すると、体内でたんぱく質が十分に合成されなくなります。

そのため、栄養計算上ではたんぱく質が十分でも、必須アミノ酸が不足していると成長に悪影響が及ぶ可能性があるのです。

卵は必須アミノ酸をすべて含む優秀なたんぱく源。さらに、ビタミンC、食物繊維以外の栄養素をすべて含むことから、「完全栄養食」と呼ばれています。


さらに注目すべきは、必須アミノ酸の消化吸収率(DIAAS)。グラフは食品別のDIAAS値で、数値が高いほど消化吸収率がよいということです。卵の消化吸収率は動物性食品の中でもトップクラス。卵は非常に優秀な食材なのです。

■卵は1日1個じゃダメなの?
卵は1日に何個食べると身長の伸びに効果があるのでしょう? ウガンダの小学校で「卵が子どもたちの成長にどれくらい影響を及ぼすか」を調べた研究の結果を見てみましょう。

調査の内容は次のとおりです。

対象は6~9歳の小学生。週5日提供されている給食で、卵0個のグループ、卵1個のグループ、卵2個のグループに分け、これを6カ月間継続し、それぞれの身長の伸びを比較。

結果は、卵0個のグループは3cm弱、1個のグループは約2.5cm、2個のグループは3.5cm弱身長が伸びていました。明らかに卵2個食べたほうが身長が伸びていたのです。

つまり、卵を食べない、または1日1個食べるより、2個を毎日食べることで身長が伸びる可能性が確認されたのです。

たんぱく質が少なくなりやすい朝食で卵2個を食べてもいいですし、朝1個、夜1個でもかまいません。
ただし、卵には脂質も含まれているので、体脂肪率が高い子どもは食べすぎないようにしましょう。

■【身長先生レシピ】卵とチーズでたんぱく質をしっかり補給「レンチン!スパニッシュオムレツ」
「卵を毎日2個」食べれば、子どもの身長は伸びる! 身長専門医が教える「卵」の効果的な食べ方
「レンチン!スパニッシュオムレツ」(画像出典:『身長先生式 子どもの身長が伸びる食事のルール30』イラスト:かざまりさ)
卵を使って手軽にたんぱく質を補給できるメニューを身長先生がご紹介します。普段の食事に取り入れてみてください。

▼材料(1人分)卵…2個
ほうれん草…1株(約40g)
ピザ用チーズ…30g
牛乳…大さじ2
塩…少々
ケチャップ(好みで)…適量

▼つくり方1. 卵を溶きほぐし、長さ2cmに切ったほうれん草、チーズ、牛乳、塩を加えてよく混ぜる。
2. 耐熱ボウルにラップを敷き、1を流し入れ、ふんわりとラップをかける。
3. 電子レンジ(600W)で3分加熱する。
4. 器に取り出し、好みでケチャップをかける。

※具に汁気をきったノンオイルのツナ缶やしらすを加えるのもおすすめ。野菜は好みのものでOK。火がとおりやすいように刻んで加えてください。

▼POINT・体脂肪が多い子どもにはチーズをカッテージチーズにして脂質を減らす
・やせている子どもには塩の代わりにマヨネーズを使ってカロリーアップこの書籍の執筆者:田邊 雄 プロフィール
東京神田整形外科クリニック院長。金沢医科大学医学部を卒業後、順天堂大学医学部附属順天堂医院整形外科へ入局。
西新宿整形外科・院長職を経て、2020年に東京神田整形外科クリニックを開業。これまでの活動が評価され、『ウォール・ストリート・ジャーナル』にて、「Next Era Leaders(次世代のリーダーたち)」に医師として最年少で選出された。身長治療のスペシャリストとして、YouTubeチャンネルやInstagramなどのSNSでも積極的に発信している。
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