達筆な字を書く先生ばかりではないはずなのに、授業はどうやって成り立っているのか。
大阪の現役小学校教員・松下隼司さんに、書き初め授業のリアルな裏側を聞きました。
(今回の質問)
書き初めの手本を書く練習って、家でやっているんですか?
(回答)
基本的に家で練習することはありません。教科書や動画教材にお手本が用意されており、先生が一から準備する必要はなくなっています。
どういうことなのか、以下で詳しく解説します。
■書き初めのお手本は「先生の自作」ではない
書き初めの授業と聞くと、先生が家でお手本を書き、何度も練習しているイメージを持たれることがありますが、実際はそうではありません。
書写の教科書には、最初から正式なお手本が用意されていますからね。授業はお手本ありきで組み立てられているため、先生が一から字を書いて準備する必要はないのです。
私自身、家で書き初めのお手本を練習することは、もう何年もしていません。若い頃は水書板に字を書いたり、子どもたちの前で実演したりしていた時期もありましたが、今は教材環境が大きく変わりました。
■動画教材の充実で、授業の形が変わった
現在は、教科書会社が用意した動画教材がとても充実しています。筆の運び方や「止め」「はらい」を解説した動画を、授業でそのまま活用できるようになりました。
あらかじめ動画で流れをつかんでおくと、「明日はこの字を書くんだな」と心の準備ができます。いきなり書き初めを始めるより、実際に筆を持つ時間をしっかり確保できますし、授業もスムーズに進みます。
■書き初めは「家でやらせない」選択へ
もう1つ、大きく変わってきているのが、書き初めを冬休みの宿題として出すかどうかです。私が教員になったばかりの頃は、半紙を持ち帰らせて、家で書いてくるようにしていました。
しかし、自分に子どもができてから、その大変さに気付きました。「なんていう嫌がらせをしてるんかな」って(笑)。年末年始はどの家庭も忙しく、スペースも限られています。墨で家を汚さないかと気を遣いながら、親が付きっきりで見る必要もありますよね。
今は書き初めを宿題で出さず、校内で行う学校や学級が増えています。体育館や多目的室にブルーシートを敷き、床に正座して書く「席書会」という形で実施することもあります。本来の書き初めに近い姿勢で取り組めるうえ、家庭の負担も減らせます。
書き初めの授業は、墨で床や机が汚れないか常に気を配る必要があり、準備や片付けにも神経を使いますが、学校でまとめて行う方が現実的だと感じています。
■大切なのは「先生が上手に書くこと」ではない
授業中、私が子どもたちの前で字を書くことはあります。ただ、それは完璧なお手本を見せるためではありません。筆の動かし方や、止めるタイミングを伝えるためです。多少うまくいかないことがあっても、それも含めて学びになります。
書き初めの授業で一番大切なのは、先生が達筆であることではなく、子どもたちが集中して取り組み、自分なりの成長を感じられることです。その環境をどう整えるかが、今の先生の役割だと思っています。
松下隼司さん
大阪府公立小学校教諭。令和4年度文部科学大臣優秀教職員表彰受賞。令和6年版教科書編集委員。第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクール文部科学大臣賞、第69回(2020年度)読売教育賞 健康・体力づくり部門優秀賞などの受賞歴を持つ。「先生を続けるための『演じる』仕事術」(かもがわ出版)など著書多数。
この記事の執筆者: 地子給 奈穂
編集・ライター歴17年。マンガ、小説、雑誌等の編集を経てフリーライターに転向後、グルメ、観光、ドラマレビューを中心に取材・執筆の傍ら、飲食企業のWEB戦略コンサルティングも行う。









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