毎年、誕生日の月に届く「ねんきん定期便」は、これまでの年金の納付状況や、将来もらえる年金額を確認できる大切なお知らせです。しかし、なんとなく目を通すだけで、詳しくチェックしていない……という方も多いのではないでしょうか? 実は、ねんきん定期便は50歳未満と50歳以上で記載内容が異なります。


「将来、年金はいくらもらえるの?」「どこをチェックすればいいの?」そんな疑問を解決するために、ねんきん定期便の違いを解説します。

■50歳未満のねんきん定期便の見方
50歳未満の方に届くねんきん定期便には、「現在までの加入実績に応じた年金額」が記載されています。しかし、これは現時点での納付状況をもとにした額であり、将来もらえる年金額ではありません。

実際、30代・40代の方が見ると「え、これだけ? なんだか少ない……」と感じるかもしれません。しかし、これはまだ年金の加入期間が短いためです。今後、保険料を納付していけば徐々に年金額は増えていきます。

▼50歳未満の方がねんきん定期便で確認すべきポイント50歳未満の方が「ねんきん定期便」を受け取った際、確認すべき箇所は以下の2つです。

・「年金加入期間」をチェック
老齢基礎年金(国民年金)を受け取るには、保険料の納付期間や免除期間などの合計が120カ月(10年)以上必要です。119カ月(9年11カ月)納めただけでは受け取ることはできません。ねんきん定期便で、自分の加入期間が120カ月以上あることを確認しましょう。

・これまでの加入実績に応じた年金額(年額)をチェック
ねんきん定期便には、現時点での加入実績に基づいた年金額が記載されています。ただし、これはあくまで途中経過の金額であり、今後の加入状況によって増えていきます。

ねんきん定期便、50歳未満と50歳以上でどう違う?
出典:ねんきん定期便(ハガキ)サンプル 50歳未満

とはいえ「将来どれくらい年金がもらえるのか、大まかな目安を知りたい」という方は、「ねんきんネット」を活用するのがおすすめです。「ねんきんネット」では、「今の働き方を60歳まで続けた場合、年金額がどれくらいになるか」を簡単に試算できます。

まだ年金受給まで時間がある50歳未満の方こそ、早めに年金額を把握し、老後の資金計画を立てることが大切です。将来の安心につながる一歩として、一度チェックしてみましょう。


■50歳以上のねんきん定期便の見方
50歳以上になると、ねんきん定期便には「受取見込額」が記載されています。これは、「60歳まで今の状態で保険料を納めた場合」にもらえる年金額を示しており、これにより、より具体的に老後の生活設計をイメージできるようになります。

▼50歳以上の方がねんきん定期便で確認すべきポイント50歳以上の方が「ねんきん定期便」を受け取った際、確認すべき箇所は以下の2つです。

・「年金加入期間」をチェック
50歳以上の方も、受給資格(120カ月以上)を満たしているかを確認しましょう。

・老齢年金の種類と見込額(年額)をチェック
50歳以上のねんきん定期便には、「老齢基礎年金(国民年金)」と「老齢厚生年金(厚生年金)」の受取見込額が記載されています。これは、「60歳まで今の働き方と年収が続いた場合」の想定金額です。
ねんきん定期便、50歳未満と50歳以上でどう違う?
出典:ねんきん定期便(ハガキ)サンプル 50歳以上

現在と同じ条件で60歳まで働き続ける場合は、ねんきん定期便に記載された金額を受け取れる可能性が高いですが、60歳以降も働いて保険料を納め続ければ、実際の年金額はさらに増えます。

一方で、役職定年や早期退職などで収入が減る場合は、記載された金額よりも少なくなる可能性があります。
給与が下がると、支払う厚生年金保険料も減るため、将来の年金額に影響が出るのです。

つまり、今後の働き方によって、年金額が増えることもあれば、減ることもあるということ。そこで活用したいのが「ねんきんネット」です。

「ねんきんネット」では、収入が減った場合や、60歳以降も働いた場合のシミュレーションができるため、より実態に近い年金額を把握することができます。50代は老後が間近に迫る年代です。「ねんきんネット」を活用しながら、働き方や退職のタイミングに応じた年金のシミュレーションを行い、安心できる老後に備えましょう。


■まとめ
ねんきん定期便が届いたら、将来の年金について考えるタイミングと捉えましょう。まずは記載内容の確認が大事ですが、あわせて「ねんきんネット」を活用して収入や働き方の変化に応じた年金額をシミュレーションしてみましょう。早めに対策を立てることで、老後の不安を減らし、安心できる未来への準備ができます。

文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)

会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。3匹の保護猫と暮らす。
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