今回は、制度を初めて知る方にも分かりやすく、保険料の支払い方法について解説します。
■後期高齢者医療制度とは?
「後期高齢者医療制度」は、75歳以上の方を対象とした医療制度で、2008年に始まりました。それまでの「老人保健制度」に代わり、高齢者の増加に対応し、社会全体で医療費を支えるために作られた制度です。
この制度では、75歳の誕生日を迎えると、自動的にそれまで加入していた健康保険(国民健康保険や会社の健康保険など)から切り替わり、新たに後期高齢者医療制度の保険証が交付されます。65歳以上でも、一定の障害がある方は申請によって加入することも可能です。
ただし、本人が75歳になって制度に加入すると、それまで会社の健康保険に「扶養家族」として入っていた75歳未満の配偶者などは、別途「国民健康保険」への加入手続きが必要になります。家族全体の保険の切り替えについても、忘れずに確認しておきましょう。
▼2024年12月2日以降、紙の保険証の新規発行は終了2024年12月2日以降、紙の保険証の新規発行は終了し、マイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」が基本となります。
その際、2024年12月1日時点でお手元にある有効な保険証は、2024年12月2日以降も住所などの記載事項に変更がなければ、2025年7月31日まで使えます。
今後、マイナ保険証の利用が難しい方には「資格確認書」が交付され、受診時に提示することで医療機関を利用できます。また、マイナ保険証を利用している方には「資格情報のお知らせ」が届きますので、内容を確認しましょう。

■保険料の支払い方
後期高齢者医療制度の保険料の支払い方法は、大きく分けて以下の2通りがあります。
▼特別徴収(年金からの天引き)一定の条件を満たす方は、年金から保険料が自動的に差し引かれます。
【対象となる方】
・年間の年金受給額が18万円以上の方
・介護保険料と後期高齢者医療保険料の合計が、年金額の2分の1以下の方
【支払い方法】
これらの条件を満たす場合、年6回の年金支給時(偶数月)に、2カ月分ずつ保険料が天引きされます。
▼普通徴収(納付書または口座振替)特別徴収の条件を満たさない方や、希望により特別徴収を選択しない方は、普通徴収となります。
【対象となる方】
・年金受給額が年額18万円未満の方
・介護保険料と後期高齢者医療保険料の合計が年金額の2分の1を超える方
・年度途中で75歳になった方や他市町村から転入した方
・特別徴収から普通徴収への変更を希望された方
【支払い方法】
・納付書を使用して、金融機関やコンビニエンスストアで支払う
・口座振替を利用して、自動的に口座から引き落とす(事前に手続きが必要)
口座振替を希望する場合は、金融機関での手続きが必要です。また、以前に国民健康保険で口座振替を利用していた場合でも、後期高齢者医療制度では新たに手続きが必要です。
保険料の支払い方法について詳しくは、お住まいの市区町村の担当窓口に問い合わせください。
文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。3匹の保護猫と暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。