今回は、国民健康保険の扶養についてです。
■Q:65歳の私はパート勤めを始めたのですが、夫の国民健康保険の扶養に入るためには、年間いくらまで働いていいですか?
「夫は73歳、300万円の年金です。私は、65歳で70万円の年金です。私はパート勤めを始めたのですが、会社は週30時間以上働かなければ、社会保険に入らなくてもよいそうです。夫の国民健康保険の扶養に入れるためには、年間いくらまで働いていいですか? また、交通費もプラスされるのでしょうか? 教えてください」(ワタさん)
■A:国民健康保険には残念ながら扶養という考え方がありません。国民健康保険料は社会保険の扶養とは異なり、加入者の所得に応じて1人ずつ計算され、その合算額を世帯主が支払うようになっています
質問をされた「ワタ」さん、国民健康保険には残念ながら扶養という考え方がありません。国民健康保険料は社会保険の扶養とは異なり、加入者の所得に応じて1人ずつ計算され、その合算額を世帯主が支払うようになっています。ワタさんの場合、ご主人が国民健康保険になられた以降、ワタさんの分の国民健康保険料も負担されていたということです。
国民健康保険料の内訳は自治体にもよりますが、
①被保険者の人数などで計算される均等割
②それぞれの所得に対して保険料が計算される所得割
③1世帯ごとに負担する平等割
です。
②の所得割は、それぞれの所得金額(収入から給与所得控除・公的年金等所得控除を差し引いた金額)から基礎控除(43万円)を除いた金額で計算されます。
今後も所得割を0円にしたいということであれば、パートの収入は98万円(給与所得控除55万円※+基礎控除43万円)までに抑えるとよいでしょう。
※令和8年度分より65万円に改定されることが決定
ワタさんへの提案ですが、いろいろお考えがあってのパート勤務だと思います。もしも、老後資金のためということであれば、ご自身で社会保険料(厚生年金保険料や健康保険料)を負担する働き方を検討されてはいかがでしょうか?
そうすることで、ワタさんの年金額が増えます。すでに老齢基礎年金、老齢厚生年金を受給していても70歳までなら老齢厚生年金を増やせます。毎年10月に受給額が増加するので楽しみですよ。もちろん、厚生年金保険料や健康保険料は半分会社が負担してくれます。
ご主人が負担していた保険料もワタさん分だけお安くなります。
65歳からのパート勤務は、ご自身の健康状態や今後のご夫婦の暮らし方にもよると思いますので、ご夫婦でしっかり相談して決めることをおすすめします。
文:京極 佐和野(ファイナンシャルプランナー、キャリアコンサルタント)
FPオフィス ミラボ代表。CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、国家資格キャリアコンサルタントなどの資格を持ち、マネープランと働き方の両面から、20年以上「稼ぐ・使う・借りる・貯める・増やす」をアドバイス。FP向け継続研修、社員向けライフプラン・キャリアデザイン研修講師として活動する傍らJ-FLEC認定アドバイザーとして携わる。