■Q. 家族が統合失調症と診断されました。どう接すればよいのでしょうか?
Q. 「最近、妹が統合失調症と診断されました。
■A. 大切なのは「理解と共感」です。ただし希死念慮には十分な注意を
統合失調症は、人口の約1%が発症するとされる身近な心の病です。しかし、その実態が十分に理解されていないため、身近な人が統合失調症と診断されたとき、接し方に悩まれる方は少なくありません。
まず、統合失調症の家族に接する上で重要なのは、「病気に対する正しい知識」と「相手を思いやる姿勢」です。何気ない言動が本人を傷つけてしまうこともあるため、慎重な対応が求められることも事実です。
統合失調症は脳内の神経伝達物質に関連する医学的問題であり、それまでの生活習慣や本来の性格は病気の発症に関わっている可能性はゼロではないでしょうが、直接的な原因とは通常みなせません。
そのため、本人の性格が原因であるかのように責めたり、努力や工夫の問題だといった誤った認識で接することは避けるべきです。相手の立場に立って、理解を示して接することが、本人にとって何よりの支えになります。
特に家族が対応を間違えることが多く、注意したい問題が「陰性症状」です。陰性症状が出ると、はっきり動作が遅くなったり、感情が乏しくなる可能性があります。
何とか早く回復してほしいとサポートしている家族は、つい「そんなにのろのろしないで」「せっかく〇〇してあげたのに(少しは喜んでくれてもいいのに)」といった言葉が出てしまうかもしれません。
責める言葉を向けられることで、心が深く傷ついてしまう可能性があります。
また、本人から「死にたい」といった言葉が出た場合は、軽く考えてはいけません。統合失調症での自殺のリスクは、うつ病での自殺のリスクと同様にみるべきです。すぐに専門機関に相談することが大切です。病気への理解と思いやりが、本人の回復を支える大きな力となります。
▼中嶋 泰憲プロフィール千葉県内の精神病院に勤務する医師。慶応大学医学部卒業後、カリフォルニア大学バークレー校などに留学。留学中に自身も精神的な辛さを感じたことを機に、現代人の心の健康管理の重要性を感じ、精神病院の現場から、毎日の心の健康管理に役立つ情報発信を行っている。