「ムダ遣いは避けたい!」と思っていても、節約ばかりでは心がすり減ってしまうものです。そんなとき、自分をちょっと甘やかす「ごほうび買い」は、心のメンテナンスにつながる大切な出費になるかもしれません。


今回は、心のメンテナンスにつながる“ごほうび買い”のコツをご紹介します。

■「ムダ遣いしない」だけでは、心が疲れてしまう
節約や貯金は、将来の安心のためにとても大切です。しかし、「ムダ遣いをしないように」と、常に我慢を続けていると、イライラしたり、何のためにお金を使わないのかが分からなくなったりすることがあります。

そんなとき、自分を癒やすための「ごほうび買い」は、単なる浪費ではなく、気持ちを整えるための大切な投資と言えるかもしれません。

■ごほうび買いって、どんなもの?
ごほうび買いとは、目標を達成したときや、気持ちが落ち込んでいるとき自分を元気づけるために使うお金のことです。高価なものでなくても、自分が「うれしい」「元気になる」と思えるものであれば、それは立派なごほうびです。

例えば、

・読みたかった本をゆっくり選んで読む時間に使う
・推しのグッズを買って、眺めながら好きな音楽を聴く“推し活タイム”を満喫する
・自分好みの香りの入浴剤やバスソルトで、ゆっくりお風呂につかる
・自分にあった枕を奮発して、毎日の睡眠をグレードアップ
・着心地のよいリカバリーウエアやルームウエアで、体と心にリラックスを
・「見るだけでも癒やされる」花や観葉植物を部屋に置く
・使うたびに気分が上がるようなお気に入りのマグカップで、コーヒーやハーブティーを楽しむ

こんなふうに、「自分の気持ちが前向きになること」にお金を使うのが、ごほうび買いです。

■ムダ遣いとの違いは「自分軸」にある
ごほうび買いがムダ遣いにならないために大切なのは、「なぜこれを買うのか?」を自分で納得できているかどうか。

例えば、「みんなが買っているから」や「なんとなく衝動的に」買ってしまったものは、後から後悔しやすく、ムダ遣いになりがちです。

一方で、「今週、仕事を頑張ったから」「自分にとってこれが癒やしになるから」といった理由があるなら、それは自分軸に基づいた、ごほうび買いと言えるでしょう。

■ごほうびは“金額”より“満足感”
ごほうび=高額なもの、というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実際には金額より「満足感」が大切です。

例えば500円のスイーツでも、「今日は自分をいたわろう」と心から感じられれば、それは心を満たすごほうびになります。


逆に、3万円のバッグでも「買ったのに罪悪感が残る」と感じたら、それはムダ遣いになってしまうかもしれません。

■ごほうび買いを成功させる3つのコツ
ごほうび買いを成功させるには、次の3つを意識しましょう。

▼1:目的を明確に「疲れを癒やす」「達成を祝う」など、なぜそのごほうびが必要かを明確にしましょう。

▼2:予算を決める「ごほうび買い」を楽しむには、予算を決めておくのがコツ。例えば、月に2000~5000円までと上限を決めておけば、罪悪感なく楽しめます。

さらに「頑張り」によって使う金額の目安をつくっておくと、ムダ遣いを防ぎやすくなります。

・家の中をすっきり片付けた→月1000円以内
・外食をせず、自炊を頑張った→月2000円以内
・仕事が忙しくゆっくりする暇がなかった→月5000円以内

こんなふうに日々の小さな達成や工夫に対して、予算と回数(例えば月1~2回)を決めてごほうびを用意すると、気持ちが前向きになり、節約も続けやすくなります。

▼3:“買う”以外のごほうびも取り入れる散歩、好きな音楽を聴く、ゆっくりお風呂に入るなど、お金を使わないごほうびも意識してバランスよく取り入れましょう。例えば、ストレッチで体をほぐす、ヨガで呼吸を整える、ベランダや公園で空を眺める時間をつくるなども、心をリセットするやさしいごほうびになります。

■自分を大切にする“ごほうび買い”を味方にしよう
ごほうび買いは、自分を甘やかすだけの出費ではありません。ストレスをためず、前向きな気持ちでまた頑張るための“心の美容液”のようなものです。

「これは自分を大切にするための費用!」と自信が持てるような、納得できるごほうび買いを、これからの毎日に取り入れてみてはいかがでしょうか。


文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)

会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。3匹の保護猫と暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。
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