老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、70歳まで働き続けた場合、将来の年金額が増えるかどうかについてです。

■Q:1959年生まれ。遺族厚生年金は現在支給停止中で、老齢厚生年金を受給していますが、70歳まで働き続けたら将来の年金額は増えますか?
「1959年9月生まれの女性です。20年前に夫と死別しました。現在、65歳から自分の老齢厚生年金を受給しており、在職中で厚生年金に加入しながら働いています。遺族厚生年金は現在支給停止中で、このまま70歳まで働く予定です。この場合、70歳以降に受け取る老齢厚生年金額は増えるのでしょうか?」(マーガレットさん)

■A:在職定時改定により、老齢厚生年金は将来増額されます。ただし遺族厚生年金は、引き続き支給停止となる可能性が高いです
65歳以降も厚生年金に加入して働いている場合、在職中に支払った保険料に応じて、「在職定時改定」によって老齢厚生年金の金額が見直され、年金額が加算されます。この在職定時改定は、前年9月から当年8月までの1年間の保険料納付実績(在職期間と報酬)をもとに年1回実施される仕組みです。見直された年金額は、毎年10月分から自動的に反映されます。

このため、マーガレットさんが、70歳まで働いて厚生年金に加入し続けた場合、その期間中の厚生年金保険料納付に応じて、将来の老齢厚生年金額がさらに加算されることになります。


日本の年金制度では、老齢厚生年金と遺族厚生年金の両方の受給権がある場合、原則として金額の高いほうが支給され、もう一方は支給停止となります(これを「併給調整」と言います)。ただし、ご自身の老齢厚生年金のほうが遺族厚生年金よりも少ない場合には、その差額分の遺族年金が支給されることもあります。

現在、マーガレットさんの遺族厚生年金が停止されているのは、ご自身の老齢厚生年金のほうが金額的に上回っているためです。

マーガレットさんのように、70歳まで厚生年金に加入して働き続けた場合、前述した「在職定時改定」により年金額は加算され、最終的な老齢厚生年金の受給額は増えるでしょう。結果として、遺族厚生年金は引き続き支給停止となる可能性が高いです。

将来の年金見込額については、ねんきんネットや最寄りの年金事務所などで確認できます。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)

都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
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