■Q. 「グラグラする歯を放置すると、命にかかわることがある」って本当ですか?
Q. 「2~3カ月前から、少しグラグラしている歯があります。特に痛みもなく、今のところは特に支障がないので、そのまま様子見をしています。
■A. 放置して悪化すると、命にかかわる「顎骨骨髄炎」になるリスクがあります
痛みがないと「歯が少しグラグラしているだけ」と軽く考えてしまうかもしれませんが、歯のグラグラは危険信号です。通常、歯は骨に固定されていますが、歯周病が悪化すると、歯を支える顎の骨が溶け、歯のグラつきが出てきます。
多くの場合は、放置していると歯は自然に抜け落ち、炎症も自然と治まります。しかし歯周病が進行し続け、炎症が骨にまで達してしまうと、「顎骨骨髄炎(がくこつこつずいえん)」という重篤な病気につながるおそれがあります。これは命にかかわるリスクもあるため、十分な注意が必要です。
「顎骨骨髄炎」は難治性の病気で、歯が抜けた後も骨から膿が出るなど、長期にわたる治療が必要になります。症状が深刻化する前に、歯科医の判断に従って適切な治療を受けることが、この重篤な合併症を防ぐ第一歩です。
「抜歯をすすめられるかもしれない」と思っているうちに、歯を失うばかりでなく、命にかかわる合併症のリスクまで増えてしまうのです。まずは一度、歯科医を受診することをおすすめします。
▼丸山 和弘プロフィール1995年より臨床一筋の現役歯科医師。歯科大学卒業後、仙台市東邦歯科診療所を経て地域密着型の歯科医師に。小さな子どもの虫歯予防から歯のホワイトニング、お年寄りの入れ歯の相談まで、数多くの症例と日々向き合いながら、虫歯、親知らず、口内炎、歯周病など、歯の健康を守るための情報を数多く発信している。