実際に訪れてみて強く感じるのは、大阪・関西万博が、まさに「旅育」の絶好の機会であるということです。
今回は、すでに8割方のパビリオンを巡った筆者が、「旅育」の観点から特におすすめしたい大阪・関西万博のパビリオンやスポットをご紹介します。
■多様性を感じ好奇心を刺激する大阪・関西万博は、旅育にもってこい!
大阪・関西万博は、子どもたちにとって普段なかなかできない貴重な体験であふれています。世界の広さや多様性を肌で感じたり、未来を生きる上で欠かせない最先端テクノロジーに触れたりできる、またとない機会です。
会場では、趣向を凝らした展示はもちろん、各国のパビリオンでその国ならではの文化に触れることができます。来日したスタッフの方々は、見た目も服装もそれぞれの国の個性が光り、まるで世界旅行をしているかのよう!
さらに、日本語を話せるスタッフが大勢いるので、気軽にコミュニケーションを取れるのもうれしいポイントです。
気になったことは、どんどん質問をしてみるといいですよ。現地での生活など生の声を聞くことで探究心や好奇心が刺激されますし、海外の方と話した経験は誇らしい成功体験にもなります。
■夏休みはお得なチケットでGO! ねらい目は夜、夏パスは2回分の料金でお得
夏休み期間中に万博を訪れる際は、熱中症対策に十分配慮しましょう。飲み物や塩飴を用意するだけでなく、朝から夜まで終日万博で過ごす場合には、日中に屋内の涼しい場所で座って休む時間を設けることをおすすめします。
「夜間券」は16時から入場でき、大人3700円、中人(12~17歳)2000円、子ども(4~11歳)1000円とお得。夜の万博は、昼間とは異なる幻想的な風景が広がります。特に、6月上旬から中止になっていた人気の噴水ショー「アオと夜の虹のパレード」も7月11日に再開されたので、これを見るだけでも訪れる価値があります。
パビリオンに並ぶ際も、日中と比較して日差しがない分、体力の消耗が少なく楽に過ごせます。日中の万博会場は日陰が少ないため、大屋根リングのありがたみをひしひしと感じるはずです。
お住まいが会場近くの方なら、7月19日~8月31日まで何度でも入場可能な「夏パス」で、無理なく複数回に分けて訪れるのもいいですよ。大人1万2000円、中人(12~17歳)7000円、子ども(4~11歳)3000円と平日2回分の価格なので、期間内に2回以上来場を予定している方には、こちらのパスが最適です。
■事前予約なしでも楽しめる! 旅育観点からおすすめのパビリオンは?
入場者数も増えて事前予約も取りにくくなっていますが、当日の入りやすさも加味した「旅育観点でおすすめのパビリオン」をご紹介します。ぜひ参考に出かけてみてくださいね。
▼旅育おすすめパビリオン:EARTH MART(アースマート)未就学★★★ 低学年★★★ 高学年★★★
事前予約に加えて、当日予約枠が13時ごろに開放されることが多く(※7月21日現在)、ゆっくり入場しても予約のチャンスがあります。このパビリオンは食を通じて命を考えるテーマで、小さな子どもでも視覚的、体感的に食の問題について考えることができます。
▼旅育おすすめパビリオン:国際連合パビリオン未就学- 低学年★ 高学年★★★
予約をしていなくても、比較的待ち時間が短く入りやすいパビリオン。「国連」という言葉はよく耳にするものの、具体的にどのような活動をしているのかご存じない方も多いのではないでしょうか。この機会にぜひ、国連の役割や活動について親子で楽しく学び、理解を深めてください。(※子どもに書籍のプレゼントも!2025年7月現在)
▼旅育おすすめパビリオン:シンガポール&オーストラリア未就学★★★ 低学年★★★ 高学年★★★
どちらのパビリオンも、入館の列が長くても比較的進みが早く、見た目より待ち時間は少なめです。
シンガポールパビリオンは、赤い球体の部分がドームになっており、中に入ると、最後には子どもたちの未来を感じさせるすてきな演出が待っています。
一方、オーストラリアパビリオンでは、圧倒的な海や陸の大自然をダイナミックな映像で体感できます。パビリオン前ではさまざまなイベントも開催されており、こちらも見どころの1つです。
▼旅育おすすめパビリオン:アラブ首長国連邦未就学★★ 低学年★★ 高学年★★★
異国情緒あふれる中東のパビリオンは人気がありますが、長い待ち時間がネックとなることも少なくありません。そんな中で、比較的スムーズに入場しやすいのがアラブ首長国連邦のパビリオンです。
中に入ると、ナツメヤシの木を模した90本もの柱が織りなす圧倒的な空間が広がります。親切なスタッフが丁寧に説明してくれたり、質問に答えてくれたりするので、ぜひ積極的にコミュニケーションを楽しみましょう。
またアラブ首長国連邦を含めて、近隣パビリオンはステージがあるところが多く、さまざまなイベントを楽しむ手もあります。
▼旅育おすすめパビリオン:関西パビリオン未就学★★ 低学年★★★ 高学年★★★
当日予約の開放回数が多い関西パビリオンには、都道府県ごとに個性あふれるブースがあります。筆者のイチオシは、福井県、滋賀県、鳥取県。混雑時はパビリオン内でさらに並ぶ必要があるので混雑具合で所要時間が変わります。
▼旅育おすすめパビリオン:番外編時間をあわせることで予約なしで楽しめるイベントも多くあります。ウォタープラザでは、11時から16時の毎時0時から「水と空気のシンフォニー」を開催。時間は5分と短いですが夜のショーと違い比較的ゆっくりと楽しめます。
また、万博会場の中心部にある「いのちパーク」では、暑さ対策のため9時から15分おきに霧の噴射がありますが、これが半端ない迫力。前が見えなくなるほどで、子どもたちには夢中に。
一帯はシグネチャーパビリオンがあるスポット。それぞれオリジナルの建物は外観からもたのしめますし、「いのちの遊び場クラゲ館」は地上部分は自由に入場可能です。
■予約が取れれば訪れたい「企業パビリオン」。年代別のおすすめは?
企業パビリオンは事前予約が基本です。当日予約枠や、並べば入場できるパビリオンもありますが、かなりの激戦だと心得て。所要時間も1時間程度と長めのパビリオンが多く見応えがあります。
子どもの年齢を問わず大人まで楽しめる「住友館」は大人気。ここではランタンを手に、自然との共存をテーマにしたパビリオン内の森を冒険気分で楽しめます。
当日予約に加え、並んで入場もできましたが、あまりの人気ぶりに7月25日からは、列に並ぶための抽選式整理券が必要になりますので注意して(詳細は住友館のホームページを確認のこと)。
また、「ガスパビリオン」や「電力館」は、エンターテインメント要素を取り入れつつ、エネルギーを身近に感じられる工夫が凝らされています。また「ガスパビリオン」は予約不要で入れる展示スペースがあり、お土産も買えますので通りかかったら訪れてみるのもいいですね。
未就学児から低学年の小さなお子さんには、パナソニックの「ノモの国」がぴったりです。子どもの興味や関心を時間をかけてじっくりと育む内容となっています。
また予約が難しい大阪ヘルスケアパビリオンは、ミライ人間洗濯機やiPS細胞などの展示がある1階部分は予約なしで入れるので、立ち寄ってみるのもいいでしょう。
IT技術を肌で感じられる「PASONA NATUREVERSE(パソナネイチャーバース)」や「三菱未来館」は、高学年のお子さんにおすすめです。また、「NTTパビリオン」は本来のすごさを実感するには、技術に関するある程度の知識がある方がよさそう。そのため、中学生から高校生くらいの年齢層に最適です。
「未来の都市」パビリオンは、12の団体や企業が誇る技術を結集し、2035年の未来をシミュレーションした体験型の展示が数多く楽しめます。日本の先進技術を肌で感じ、子どもたちが成長した未来の世界を垣間見られる、特に筆者がおすすめのパビリオンです。
当日予約も可能で、予約なしで並んで入場することもできます。大屋根リングからは少し離れた場所にあり、キャパシティも大きいため、比較的スムーズに入場しやすい穴場のパビリオンと言えるでしょう。
■知って得する情報~子ども向けのツール活用&万博からハガキを投函してみよう
大阪府のホームページでは、子どもの年齢別(低学年・高学年・中高生)に万博についてまとめた小冊子「大阪・関西万博の見どころガイド」を公開しています。事前に子どもと一緒に眺めることで、子どもの意外な興味を知ったり、当日も積極的に楽しみ、学ぶこと間違いありません。
万博会場の東西ゲート付近にはそれぞれ郵便局があり、万博オリジナルの消印(風景印)で手紙やはがきを投函できます。
筆者が提唱する「旅育メソッド」では、思い出を形に残すことを推奨しています。各パビリオンではオリジナルポストカードの販売や、記念スタンプの用意があります。
訪れたパビリオンのスタンプを押印し、思い出をしたためて万博の郵便局から投函すれば、かけがえのない記念となり、見るたびに当時の記憶が鮮やかによみがえる宝物になるでしょう。
お子さんと相談しながら旅を計画し、ぜひまたとない日本での万博開催に足を運んでみてはいかがでしょうか。