「もっといいものが欲しい」「あれもこれも手に入れたい」と思うのは、ごく自然な気持ちです。欲しいものを求めること自体は悪くありません。
ただ、必要以上に欲を追いかけ続けていると、「不足」の感情が強まり、焦りやむなしさにつながってしまうことがあります。

一方で、「なんだかいつも穏やかで満たされている」と感じる人たちもいます。彼らに共通するのは、“足るを知る”という価値観。今あるものに目を向け、大切にする暮らし方が、心のゆとりを育てているのです。

今回は、そんな“足るを知る”人たちが実践している5つの考え方をご紹介します。ものに振り回されず、自分らしく心地よく生きるヒントを一緒に探っていきましょう。

■物欲に振り回される人って、どんな人?
現代は便利な時代。スマホを開けば、次々と新しい商品やサービスが目に飛び込んできます。そのたびに「欲しい!」という気持ちが湧いてきて、気付けば買い物かごにポチッと……なんて経験、ありませんか?

物欲に振り回されてしまう人の特徴には、こんな傾向があります。

・新しいものを持っていないと不安になる
・SNSで他人の持ち物を見て焦る
・買った後すぐに飽きて、また別のものが欲しくなる
・「今よりもっと」を追いかけ続けて疲れてしまう

こうした状態が続くと、ものは増えても心は満たされず、家計も圧迫されていく一方です。

■“足るを知る”人の根っこにある5つの考え方
ここからは、物欲に振り回されずに心豊かに暮らしている人たちの価値観を紹介します。

▼持ち物の数と幸せは比例しない「たくさん持つ=幸せ」という時代は終わりました。
むしろ、ものが増えることで管理が大変になり、ストレスが増えることも。必要なものがそろっていれば十分、という考え方のほうが身軽で快適に暮らせます。

▼所有することが“自由”を奪う車、家電、高価な家具。持てば持つほど、手入れや修理、管理の手間がかかります。「持つこと」には「管理する責任」もついてくるのです。本当に必要かどうか、冷静に見極める目を養いましょう。

▼次から次へと新しいものは生まれる「今あるスマホで十分なのに、新しい機種が出ると欲しくなる……」という人も多いはず。でも、新製品は次から次へと出続けます。終わりのない物欲のレースに参加するより、「自分にとってこれでいい」と思える心の軸が大切です。

▼持つことにとらわれず、自分らしさを大切にする何を持っているかよりも、「どう生きているか」「どんな気持ちで毎日を過ごしているか」が人生の質を決めます。丁寧に暮らす、好きな人と時間を過ごす、自分のペースを守る。そんな“在り方”こそが、本当の豊かさにつながります。


▼買い物は、お金ではなく“自分の時間”を交換している行為ものを買うためには、お金が必要。そしてそのお金は、“時間”と“労力”で手に入れたもの。つまり、無駄な買い物をするということは、自分の大切な時間を切り売りしているということにもなるのです。

■自分の「幸せの物差し」を持とう
SNSや広告など、日々あふれる情報の中にいると、「これを持っていないと遅れている」「もっと手に入れなきゃ」と、無意識に人と比べてしまうことがあります。でも、本当に大切なのは、誰かの基準ではなく、自分自身が「心地よい」と思える生き方やものの選び方を大切にすること。

お金は、不安を埋めるための手段ではなく、暮らしを自分らしく整えるための道具です。無理なく貯めて、納得できる形で使う。そのバランスがあってこそ、安心感のある日々につながります。

そして何より、他人の目を気にせず「これが私にとっての幸せ」と言える、自分なりの“幸せの物差し”を持つこと。ものよりも心の満足感や人とのつながりに価値を見いだせるようになれば、お金に左右されず、芯から満たされる暮らしが見えてくるでしょう。

文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)

会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。
3匹の保護猫と暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。
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