老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に回答します。

今回は加給年金について説明します。

■Q:現在64歳の男性で、特別支給の老齢厚生年金を受け取っています。妻は63歳ですが、加給年金を自動的に受け取れるのでしょうか?
「現在64歳の男性で、特別支給の老齢厚生年金を受け取っています。妻は63歳で、私が65歳になったら加給年金を受け取りたいと考えています。この場合、加給年金を自動的に受け取れるのでしょうか? それとも、何か申請の手続きが必要なのでしょうか?」(ケンエイさん)

■A:65歳時点で要件を満たしていれば加給年金を受け取れますが、原則として65歳になる前に送付される「年金請求書(ハガキ形式)」を提出しなければ、加給年金は加算されません
加給年金とは、65歳以上で老齢厚生年金を受け取っている方が、65歳未満の配偶者がいるなどの一定の条件を満たす場合、年金に上乗せされる制度です。

加給年金の受給要件は以下のとおりです。

・ご本人が65歳以上で老齢厚生年金を受給している(※特別支給の段階では対象外)
・配偶者が65歳未満であり、生計を同じくしている(同居または仕送りをしているなど)
・配偶者の前年の年間所得が850万円未満(課税所得で655万5000円未満)

■加給年金の支給額の目安(令和7年度)
標準的な配偶者加給年金額:23万9300円(年額)
本人が昭和18年4月2日以降生まれであれば、特別加算(17万6600円)が上乗せされ、合計41万5900円となります。

なお、65歳到達時に加給年金が加算されるかどうかは、60代前半で特別支給の老齢厚生年金を請求した際に加給年金の対象となる配偶者の情報が届け出られていたかによって異なります。ただし、その時に届け出ていたとしても、65歳の誕生月に日本年金機構から送付される「年金請求書(ハガキ形式)」を返信しないと加給年金の加算手続きは完了しません。65歳の誕生月からなるべく早めに返送する必要があります。

このハガキの返送が行われなかった場合には、要件を満たしていたとしても加給年金は加算されませんので注意が必要です。


特別支給の老齢厚生年金の請求時に、加給年金額の対象者となり得る方が確認されていなかった場合には、「老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届」という書類の提出が必要です。

なお、「提出済みかどうか分からない」「書類が届いていない」といった場合には、年金事務所に確認することをおすすめします。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)

都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
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