老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に回答します。今回は在職老齢年金について説明します。

■Q:在職老齢年金の支給停止基準額が「62万円」に引き上げられると報道されました。年金支給額に反映されるのはいつから?
「現在の在職老齢年金の支給停止基準額『51万円』が、2024年5月中旬の閣議決定で『62万円』に引き上げられると報道されました。この変更が実際に適用され、年金支給額に反映されるのはいつからですか?」(減額してきた年金を返せさん)

■A:新たな基準額「62万円」が反映されるのは、2026年4月分の年金から。支給されるのは2026年6月からです
2024年5月に閣議決定された年金制度改正法案には、在職老齢年金の支給停止基準額の引き上げ(51万円→62万円)が盛り込まれており、すでに国会で成立しています。

この制度改正は、以下のように施行されます。

・現在~2026年3月まで
支給停止基準額:51万円
老齢厚生年金の報酬比例部分の月額+総報酬月額相当額(給与など+賞与など)の合計が月額51万円を超えると、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止になります。

・2026年4月1日以降
支給停止基準額:62万円

老齢厚生年金の報酬比例部分の月額+総報酬月額相当額(給与など+賞与など)の合計額が月額62万円を超えない限り、老齢厚生年金は全額支給されます。この改正により、働きながら年金を受け取る人の不利益が緩和される見込みです。

2026年3月までは、現在の「51万円」基準が引き続き適用されますので、支給停止の判定基準が変わるのは2026年4月分以降の老齢厚生年金から適用される、ということになります。

公的年金は、偶数月に前月・前々月の2カ月分がまとめて支払われます。
したがって、2026年4月分から新基準が適用されますが、実際に年金支給額へ反映されるのは2026年6月の支払い分(=2026年4月・5月分)からとなります。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)

都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
編集部おすすめ