All Aboutでは、読者のリアルな投資体験や疑問を取り上げ、専門家が分かりやすくアドバイスするコーナーをお届けしています。実際の投資家が資産形成にどのように取り組んでいるのかを紹介し、その考え方や悩みを専門家の視点でひも解いていきます。
あなたの投資に、新しいヒントを見つけてみませんか?

今回ご紹介するのは、東京都在住の専業主婦・Kさん(39歳)。家計の中で限られた余裕資金を活用しながら、安心して資産を育てていきたいと考えています。現在は100万円を日本株に投資しています。

▼プロフィールペンネーム:Kさん
年齢:39歳
性別:女性
家族構成:本人、夫(39歳)、子ども(8歳)
居住:東京都・持ち家(戸建て)
職業:専業主婦
世帯年収:約660万円(本人60万円、夫600万円)

▼資産と投資状況現金・預金:約600万円
リスク資産:約100万円
・日本株100万円
投資歴:3年
毎月の積立:なし

■不景気で将来が心配になり株式投資を開始!少しずつ資産を積み上げたい
「不景気で将来が心配になり……思い切って投資を始めました」と語るKさん。

現在は日本株100万円を運用。狙いは大きなリターンではなく、「マイナスを出さず、一定額を安心して資産として持っておきたい」という堅実な目標にあります。生活基盤を守りつつ、少しずつ資産を積み上げたいという思いが、投資への原動力になっています。

運用状況は月に一度確認する程度で、過度に市場に振り回されない姿勢を大切にしています。マイルールは「慌てない、焦らない。ただし状況次第では迅速に対応する」というもの。冷静さを保ちつつも柔軟な判断を心掛けています。

■勢いで買った株で失敗。
薄っぺらい情報を信じると痛い目に遭う、と実感
投資判断の際には、主に知り合いから得た情報を参考にすることが多いといいますが、その分「情報の取捨選択が重要だ」と日々実感しているそうです。

投資を始めたばかりの頃、知人に勧められた株を購入したところ株価が急騰し、一気に利益を得られた経験があるKさん。しかし、その後少し慣れてきた頃に「勢いで飛びついて買ってしまった株」が急落し、苦い思いをしたこともありました。

「薄っぺらい情報を信じると痛い目に遭う。ちゃんとした知識をつけないと、ただただ怖いギャンブルになってしまう」と痛感したそう。成功と失敗の両方を通じて、冷静な判断と学びの重要性を強く実感したといいます。

投資を始めてからは「つねに、資産形成を意識するようになった」とKさん。家計管理や日常の買い物でも、以前より計画的に考えるようになり、暮らしの中に“将来を見据える視点”が自然と根付いたそうです。

今後は「日本株の中でも成長産業や優良企業を長期保有し、配当の恩恵を受けながら資産を育てたい」と期待を語るKさん。一方で「やはり株価が急落するのでは……」という不安もつねに抱えています。

■専門家への質問
そこで専門家に投げ掛けたいのは、次のような問いです。

「私のように少額から始めた主婦でも、無理なく資産を増やしていける方法はありますか? また、損をしても生活に影響が出ないようにするための目安やコツがあれば知りたいです」

今回の「K」さんからの質問に、個人投資家の中原良太さんが回答します!

■個人投資家・中原良太さんからのアドバイス
Kさん、こんにちは。


経験的に、株式市場は3~4年に1度、20~30%下がることがあり、人生に2~3回、半分近くに下落する可能性があります。究極的な話をすると、「損しちゃいけないお金には手をつけない」という話になりますから、「半分になったら困るお金は投資に回さない」のが基本です。

Kさんはこの点は守っているでしょうから、その上で損を抑えるときのコツについてお話しします。

「損をしたくない」といっても、損にもいろいろあります。

トランプショックのように、関係のない会社も巻き込まれて下がる「ショック安」もあれば、粉飾決算が明らかになって株が実質的に紙クズになってしまう「オルツ」のようなケースもあります。

トランプショックのような急な下げを回避するのは無理だと思います。だから、このような損を避けたいのであれば「投資資金を抑える」のが筋でしょう。

一方、オルツのようなケースはしっかり企業を調べていれば避けられるし、分散投資などでもリスクを軽減できます。

粉飾決算はレアな例で、筆者の経験上、「競争に負けて業績が悪くなった」「競争が激化して共倒れになった」ことがとても多く、最も避けるべきリスクだと感じています。

最もよくあるのが「供給過剰」です。ありきたりな商品だったり、余っている商品を作っていたりする会社は、競争に巻き込まれて業績が悪くなりやすいです。だから、できるだけ競争から遠ざかりつつ、世の中に足りない、替えの効かないものを提供している会社を選ぶのがコツです。


供給過剰=リスク、供給不足=チャンスですね。

■独りよがりな考えによる「成長予想」には注意が必要?
次によくあるのが「独りよがりな成長予想」です。

僕自身、何度も痛い目に遭っているのですが、経験上、うまくいく投資は「すでに業績がよい会社への投資」が多く、逆に「これから業績がよくなりそうな会社への投資」では何度も失敗しています。

「いまは苦しいけれど、これから回復する!」と期待するときって、独りよがりになってしまいやすいんですよね。

結果として、そのまま立ち直れずにズルズルと損が膨らんでしまう……という失敗を何度も経験しました。

英語のことわざに「A bird in the hand is worth two in the bush.(手中の1羽は、藪の中の2羽の価値がある)」というものがあります。

手に入るか分からない2つのものより、確実に手に入る1つのもののほうが価値がある、というものですね。

「こうなったらよいな」で株を買うと痛い目を見やすいので、これも注意が必要です。

例えば、

・建設業者が人手不足(確定情報)
・だから建設業者に投資する

なのか、

・これからはエコが大事だ(トレンド)
・だからこれから水素燃料の材料が足りなくなる(憶測情報)
・だから材料メーカーに投資する

なのか、この2つには天と地ほどの差があります。

前者は投資判断の前提となる情報が「確定」しているのに対し、後者は「予想(憶測)」なんですよね。

前者は「成功するのが分かりきった」投資になり、あとはイレギュラーな失敗(例えば投資先企業が不祥事を起こしたりしてやらかす)さえなければうまくいきます。

一方、後者は「成功するためには、まず予想が正しいことが必要」なわけで、予想が外れたらズッコケることになります。


こういうのを「条件付き確率」ともいいますが、条件が増えれば増えるほど確実性は下がるんですが、それっぽいストーリーがあると過大評価しちゃうので気を付けたいところです。

■株式投資に大事なのは「リスク分散」
あとはリスク分散です。
39歳専業主婦が貯蓄700万円のうち100万円を日本株に投資!無理なく資産を増やしていける方法は?
筆者のNISA口座(2025年分)

例えば、画像のスクショは筆者のNISA口座(2025年分)です。今年は相場がよいので運よくプラスですが、これはどうでもよいです。

このスクショで注目してほしいのは「分散度合い」です。

株価が割安で、時間とともに強くたくましく成長していきそうな優良企業を選ぶのは当然として、成長投資枠の240万円の非課税枠を使いつつ、9銘柄に分散して、リスクを分散しています。

できるだけ関係ないセクターに分散しつつ、地理的に集中しないように、逆のリスク要因で相殺できるように(円安メリット+円高メリット)しています。

コインを投げて表が出たらAが勝ち、裏が出たらBの勝ち、というように、どちらに転んでも何かしらが勝つようなポートフォリオを目指すと、成績も安定して、安心できると思います。

以上、「競争から遠ざかる」「独りよがりな成長期待を持たない」「分散投資でリスクを分散・相殺する」という3点は、誰でも役立つかと思います。

Kさんの活躍を心より祈っています!

教えてくれたのは……
中原 良太さん

個人投資家、トレーダー、ブロガー、YouTuberとして活躍。主に株式投資とマネー(お金)について初心者向けに情報発信。IQ上位2%のMENSA会員。
18歳に株を始め、25歳でYahoo!株価予想達人で「ベストパフォーマー賞」を受賞。モットーは「地道にコツコツ」

※本記事で紹介している人物のプロフィールや数値等は、プライバシー保護のため編集部で一部改変している場合があります。
※記事の内容はあくまで個人の体験談および専門家の一般的な見解であり、特定の金融商品や投資手法を推奨するものではありません。
※投資には元本割れを含むリスクがあり、将来の成果を保証するものではありません。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。
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