「涼しくなったら」「夏休みが終わったら」と考えているうちに混雑が激しくなり、大阪・関西万博へ行くか迷っている方、特に高齢者の方も多いのではないでしょうか。

「All About」で2025年6月に掲載した記事「【歩かない万博】80代両親と検証!大阪・関西万博を疲れず楽しむ、シニア向け3カ条」は今も多くの方に読まれていますが、最近は来場者が急増し、入場もパーク内のバスも混雑するなど、状況が大きく変化している部分もあります。


暑さがなかなか和らがず、閉幕が近づいている今、「大阪・関西万博を一目見てみたい」というシニアの方のニーズに応えるなら、「ちょこっと万博」がおすすめ。万博会場で少しだけ思い出を作り、会場外の万博関連スポットも訪れる……そんな体に負担が少なく満足度の高い「万博親孝行プラン」をご紹介します。

■万博の雰囲気を楽しむ「ちょこっと万博」。メインを決めて大屋根リングを散策
9月に入り、大阪・関西万博の混雑度は増しています。週末は満員の日が増え、平日も午後や夜でも入場ゲートが混雑するなど、入場のハードルも高くなっています。

このような混雑した状況の万博に、高齢者や体力に自信のない方が訪れる場合は、事前に予約できたパビリオンや、ナショナルデーのパレード、パビリオンのステージイベントなど、メインを1つ決めて、あとは無理をせず大屋根リングに登って個性的な建物の景色を眺めたり、散策を楽しむのがおすすめです(どこかで必ず並びが発生するので、携帯用の椅子も持参を推奨します)。

歩行に問題がなければ、ゲートからシグネチャーパビリオンのある「いのちパーク」まで行ってみるのもいいでしょう。ユニークな外観のシグネチャーパビリオンは眺めるだけでもワクワクします。

また、隣接するウォーターパークでは、大屋根リングをバックに11時から16時まで、毎時0分からは噴水ショー(5分ほど)も開催され、予約なしで鑑賞できます。道中には世界各国のパビリオンが並び、民族衣装に身を包んだスタッフなど異国情緒も満喫できます。

パビリオンの予約も取りづらくなってきているため、7日前抽選や当日予約の際には、比較的受け入れ人数が多いパビリオンを選ぶことも大切です(各パビリオンの収容人数や予約枠数は公式Webサイトで案内されています)。

筆者が高齢者でも楽しめると感じた、比較的収容人数の多いパビリオンとしては、東ゲート付近の「三菱未来館」(万人向け)やEXPOホールでのイベントがあります(ただし、人気のイベントは競争率が高いため、事前に内容が好みに合うかどうかも確認が必要です)。


西ゲートなら「ブルーオーシャン」(アート・建築好きの方)、「未来の都市」(技術者や関連企業に勤めていた方などに特におすすめですが、「未来の都市」は会場の端に位置しているため、移動距離にはご注意ください)です。

天候によっては中止となるリスクがありますが、夜のイベントである「水と空気のスペクタクルショー『夜のアオと虹のパレード』」の座席を狙うのもおすすめです(このイベントはパビリオンではなく、イベントカテゴリーでの予約となります)。予約不要で観覧できる座席もありますが、早めに場所を確保して。

思い入れのある特定パビリオンに並ぶという選択をする方もいるかもしれません。熱中症対策をしっかり行い、携帯用の椅子、日傘などはぜひご用意ください。

ただ人気のパビリオン、例えばイタリアは、平日の10時半時点で3時間以上の並びが発生していました。高齢者や体力に不安のある方は、待ち時間を考慮して、別の選択肢も検討した方がいい場合もあります。

なお、待ち時間を多めに伝えているパビリオンもあり、実際にはそれほどかからない場合もあります。SNSなどで実際に訪れた方の口コミを確認しておくことも大切です。

ちなみに万博では、代表者だけが並んで後で合流するのはNG。ただでさえ待ち時間が長く、「公平さ」の判断が難しい中で、現在は全員そろって並ぶように多くのパビリオンが案内・徹底をしています。

優先レーンが設けられているパビリオンでは、身体障害者手帳をお持ちの方や車いすをご利用の方は、スタッフに声をかけて優先レーンの利用が可能かどうか確認してみてください(ただし、時間帯や混雑状況によっては実施していない場合や、優先レーンでも長時間並ぶことがあります)。


猛暑の日中は、屋外にいるだけでも体力を大きく消耗します。50代の筆者自身も、日中の滞在は4時間が限界で、長時間いる場合は途中で1時間程度の休憩をするほど。

そのため、16時から入場できる夜間パスを利用して、夕方から出かけるのもいい方法です。料金も3700円と比較的手頃で、天気のいい日には大屋根リング越しのサンセットや、万博の美しい夜景を楽しむことができます。

会場内での滞在をコンパクトにした分、会場外でも万博を楽しんでみてはいかがでしょうか。ここからは、万博気分が盛り上がるスポットをご紹介します。

■会場の外で楽しめる! 駅で「大阪ヘルスケアパビリオン」の体測定にチャレンジも!
「大阪ヘルスケアパビリオン」は大変人気があり予約が難しいですが、複数のセンサーやカメラを使って7つの項目を測定できる「カラダ測定ポッドStation版」が、JR西日本の駅5カ所に設置されており、無料で利用できます。1人5分ほどの所要時間で、利用時間は11時から17時半です。

【設置場所(5カ所)】
・大阪駅:中央コンコース「DotHealth Osaka」内、うめきた地下口(改札内)
・新大阪駅:在来線コンコース(改札内)
・天王寺駅:阪和線こ線橋1、2番線階段付近(改札内)
・岸辺駅:改札口外

■EXPO'70の記憶も蘇る! 色褪せない魅力いっぱい重要文化財「太陽の塔」の内部を見学
シニアの方の中には、EXPO'70を体験した方も多いのでは? EXPO'70の会場は万博記念公園として整備されており、関西在住者にとって憩いの場になっています。

先日重要文化財に指定されたEXPO’70のレガシー「太陽の塔」を見れば、当時の記憶も蘇り、より万博を楽しめるはず。

太陽の塔は内部見学が可能です(前日までの事前予約制)。太陽の塔の内部には、高さ約41メートルの「生命の樹」があり、大小さまざまな33種183体の生物模型群があります。


1970年に作られたとは思えないほどモダンで色褪せない魅力にあふれており、親世代には懐かしく、初めてみる子ども世代も岡本太郎氏の偉大さを実感できます。過去と現在2つの万博を体験することで、思い出もさらに膨らむこと間違いなしです。

<施設概要>太陽の塔(万博記念公園内)
営業時間:10:00~17:00 
休館日:水曜日
入館料:万博記念公園自然文化園の中にあり別途入園料が必要です。ネットで予約の場合は、両施設に入れるセット券での購入となります。
 ・大人720円(※別途入園料260円)、小中学生310円(※別途入園料80円)
  ※当日空きがある場合は、当日券の販売があります。
 ・セット券 大人 930円(※入園料含む) 小中学生380円(※入園料含む)
その他注意事項などは公式Webサイトでご確認ください。

■ホテルで楽しむ万博。空飛ぶクルマに、万博博士の話を聞けば楽しみ広がる
遠方なら宿泊をして万博へ……という方もいるでしょう。万博や大阪の雰囲気を楽しめるホテルを選べば、ホテルに戻ってからも万博気分を味わえます。

「OMO7大阪 by 星野リゾート」では、大阪・関西万博をテーマにした多彩な企画をホテル内で楽しめます(9月8日現在、土曜日をのぞき空室あり)。筆者も両親も関西在住ですが、万博気分を盛り上げるために前日に宿泊して翌日ゆっくりと出掛けました。

館内に展示されているのは、SkyDriveの空飛ぶクルマ「SD-03」。
日本で初めて公開有人デモフライトに成功した機体で、実際に座席に座って記念撮影も可能です(時間限定)。

夜には宿泊者向けイベント「ほれてまうわ、EXPO LIVE!」を開催。クイズを交えて万博でも展示のある「空飛ぶクルマ」の魅力を学び、未来社会を体感できます。

さらに毎週水曜日の夜には「マニアが語るEXPOの世界」を実施。12カ国で開催された万博を訪れた二神敦氏らが、海外パビリオンの見どころや万博の楽しみ方を解説してくれます。

館内ではEXPO'70へのきっかけとなった「第5回内国勧業博覧会」の資料を展示した「EXPOつながって展」も開催。「EXPOサポート」では、パビリオンの予約がなくても万博を満喫できる楽しみ方を万博に詳しいスタッフが3分間で紹介してくれるプログラムもあり人気です(日帰り利用も可能ですが、宿泊者が優先となります)。

ホテル内のカフェは日帰りでも利用でき、万博期間限定メニューも提供されています。新旧の万博や、それを見守ってきた大阪の街の歴史に思いを馳せながら、ゆったりとした空間でくつろぐのもいいですよ。

夜には、ホテル壁面を覆う外装膜に「ミャクミャク」が登場する特別なナイトタイム演出も毎晩実施されています。宿泊者には「たこやき」や「上方ビール」の無料サービスもあるので、ゆったりと万博談義に花を咲かせながら過ごすのもいいのでは?

OMO7大阪には、万博や大阪ならではの滞在を楽しめるサービスが他にもあります。関西に住んでいても新たな発見があり、両親も大満足でした。


イベントの詳細や実施時間は、公式Webサイトのアクティビティよりご確認ください。

日本で国際博覧会が開催される貴重な機会です。「ちょこっと万博」と周辺観光を組み合わせた、万博親孝行の旅も検討してみてくださいね。
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