今回は、東京都在住の「鹿」さん(41歳)。当初は病気で余命わずかと覚悟して投資を始めたものの、手術で助かり、その後は「サイドFIRE」を目指して資産形成に取り組んでいます。
■プロフィール
ペンネーム:鹿さん
年齢:41歳
性別:男性
家族構成:本人のみ
居住:東京都(賃貸)
職業:正社員
年収:400万円
■資産と投資状況
現金・預金:370万円
リスク資産:約1400万円
・投資信託:1000万円
・日本株:43万円
・ETF:370万円
投資歴:2020年から
毎月の積立:10万円
■原因不明の体調不良をきっかけに投資を開始!「サイドFIRE」を目指して積立
鹿さんが投資を始めたのは2020年。当時「原因不明の体調不良であと1~2年の命かもしれない」と思い、働けなくなる前に生活費を確保するため投資を始めました。失敗してもいいや、と割り切った気持ちで始めましたが、後に具体的な病名が判明し、手術で命をつなぐことができました。
そこからは「サイドFIRE」を目指すようになり、現在は投資信託を中心に、愚直に積立を続けています。投資スタイルは長期投資で、毎日運用状況を確認しながらも「テーマ株には手を出さず、積立を続けるのがベスト」との考えに至っています。
投資を始めた当初はコロナショックの時期。市場の大きな下落の中で投資を始めた経験は今でも忘れられません。一方で、ある銘柄を「ジャンピングキャッチ」してしまい、その評価額が3分の1に落ち込んだ苦い失敗もありました。
それでも「愚直に投資信託を積み立て続けることこそが最適」と確信。YouTubeで知ったサイドFIREの考え方に共感し、その実現を目標に資産形成を続けています。
投資を始めてから「いずれサイドFIREできるかも」という期待が生まれた一方で、「本当にできるのか」という不安も抱えています。
■専門家への質問
そこで専門家に投げ掛けたいのは、次のような問いです。
「高配当株投資をどう思うか? 投資信託以外に初心者でも始めやすい低リスクな資産運用方法や、リスクを抑えながら長期的に資産を増やす具体的な戦略について知りたいです」
今回の「鹿」さんからの質問に、ファイナンシャルプランナーの舟本美子さんが回答します!
■ファイナンシャルプランナーの舟本美子さんからのアドバイス
鹿さんは、心身がたいへん厳しい状況から投資をスタートされましたね。その後もサイドFIRE(完全に早期リタイアするのではなく、生活費を資産運用収益でまかないつつ、仕事も継続するスタイル)を目指してブレずに資産形成を続けておられることが素晴らしいです。
投資信託を中心に、テーマ株や一発狙いの銘柄に頼らず、毎月の積立を継続している点も堅実です。失敗も経験されていますが、それを学びに変えて、大きな損失を避けながら運用方針を整えてきたことは、今後のリスク管理にも大きく役立つ強みです。
株式投資の収益は大きく2種類あります。
・インカムゲイン:保有中の配当金などで得られる収入
・キャピタルゲイン:株価が上がったときに売却して得られる差益
【インカム重視(高配当株)の特徴】
配当収入が継続的に得られるため、生活費の補てんや再投資による複利効果が期待できます。売買を頻繁にしなくてもよい点も魅力です。
一方で、成長性が低い企業が多く、株価上昇は限定的。業績悪化で減配・無配になるリスクもあり、十分な収入を得るには大きな投資額が必要です。
【キャピタル重視(成長株投資)の特徴】
成長企業や好調な相場を捉えれば、大きな値上がり益を得られる可能性があります。
安定収入を求めるなら高配当株投資をして「インカム重視」、成長性を狙うなら成長株に投資する「キャピタル重視」と整理できます。どちらを重視するかは、ご自身の目的やライフプランに合わせて考えるのがポイントです。
■低リスクで資産運用したいなら個人向け国債や定期預金
低リスクで資産運用を始めやすい方法としては「個人向け国債(変動10年)」や「高金利の定期預金」などがあります。原則として元本保証ですから、資産の一部を安全に置いておくことで、リスク資産の値動きに安心して向き合えるようになります。外貨預金や純金投資などもインフレ対策になりますが、為替リスクや値動きがあるため、資産全体の数%程度にとどめるとバランスが取りやすいです。
資産形成の基本は「分散」「積立」「長期」、そして定期的な「見直し」です。
国内外の株式や債券・ETF(上場投資信託)を組み合わせて分散し、毎月一定額をコツコツ積み立てて値動きを平準化しましょう。さらに年1回ほどはコストや資産配分を確認し、必要に応じてリバランスすることが大切です。
鹿さんのようにコツコツと積立を継続できれば、こうした仕組みを取り入れることで、サイドFIREという目標に着実に近づくことができるでしょう。
教えてくれたのは……舟本 美子さん
会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。
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