「かかりつけ医」と聞くと、「一人の医師だけにずっと診てもらう」というイメージがあるかもしれません。もちろん、信頼できる医師を見つけることは大切ですが、現代の子育てにおいては、1つのクリニックに縛られる必要はありません。


都心部では、日曜・祝日や夜間も診療する365日型の小児科クリニックも増加しています。

このため、日々の健康管理はメインの先生に、夜間や休日の急な発熱などは別のクリニックに診てもらうというように、「メイン(かかりつけ医)」と「サブ(365日型)」のチーム体制で考えるのがおすすめです。

▼メインのかかりつけ医お子さんの成長や発達を継続的に診てもらい、病気だけでなく成長・発達・育児相談・アレルギーなども相談できる信頼関係を築ける医師。クリニックは予約制でじっくり診てもらいやすく、予防接種や乳幼児健診の時間を一般診療と分けていることも多いです。

▼サブの小児科医メインが休診の日や夜間・休日に急な発熱などがあった場合、診てもらえる医療機関での医師。待ち時間は混雑状況によりますが、比較的遅くまで診療しており、休日も対応しているクリニックなどが該当します。

このように使い分けることで、普段はかかりつけ医に安心して任せつつ、いざというときにも慌てず対応できます。


■「理想のかかりつけ医」を見つけるための6つのポイント
それでは、「信頼できるかかりつけ医」はどのように見つければよいのでしょうか。

▼自宅から通いやすく、ライフスタイルに合う診療時間かまず、お子さんが急に体調を崩したときに、すぐに連れて行ける距離にあるかは、非常に重要なポイントです。徒歩や車で行ける場所がよいでしょう。

また、ご自身のライフスタイルに合う診療時間かも確認しましょう。仕事帰りでも間に合うか、土曜診療があるかなど、無理なく通えることが重要です。


▼​​​医師との相性やコミュニケーションの取り方はよさそうかこれが最も大切なポイントかもしれません。説明が丁寧で分かりやすいか、質問しやすい雰囲気か、育児の不安に寄り添ってくれるかなど、先生の人柄やコミュニケーションスタイルは、クリニック選びの鍵となります。

お子さんの病状だけでなく、親御さんの不安にも耳を傾けてくれる先生だと、心強いですね。

▼クリニックの雰囲気はよいか、感染症対策はされているか待合室の清潔さ、絵本やおもちゃがあるか、ごみは適切に処理されているか、隔離室など感染症対策が十分かをチェックしましょう。特に予防接種や健診の待合室が一般診療と分けられているクリニックは、感染リスクを減らせて安心です。

医師以外のスタッフの雰囲気や、診療の補足的な説明があるかといった点も、重要なポイントとなります。

▼子どもに持病がある場合、医師の専門性・得意分野は合うかアレルギーやアトピー、喘息などの持病がある場合や、発達麺で気になることがある場合は、その分野に強い医師を選ぶのも有効な方法です。クリニックのWebサイトや医師のプロフィールを事前に確認してみましょう。

必要に応じて、発達障害や不登校などの児童精神科の相談も対応可能かも確認することをおすすめします。

▼他科との連携や大人への配慮は行き届いているか子どもの症状・病気は、小児科以外の外科や耳鼻科などと関連することがあります。他の専門分野にも知見があり、必要に応じて適切な専門医を紹介してくれる先生だと安心です。

また、親御さん自身の体調やメンタル面についても配慮してくれる先生は心強い存在で、子育てのよきパートナーとなってくれるでしょう。


▼オンライン上の情報や口コミなどはよさそうかクリニックのWebサイトや口コミ、SNSなどを確認し、事前に情報を集めましょう。ただし、口コミは参考程度にとどめるのが無難です。可能なら予防接種や健診など、お子さんの調子がよいときに一度受診してみて、クリニックの雰囲気を知るのもよい方法です。


■複数の小児科にかかる際の注意点……意識すべきは「情報の一元化」
複数の小児科を利用することはメリットも多い一方、注意点もあります。最も重要なのは「情報の一元化」です。

複数の病院にかかると、病歴やアレルギー、服薬情報が医師間で共有されにくくなります。受診の際は必ず「お薬手帳」を持参し、飲んでいる薬やアレルギーの有無を正確に医師に伝えましょう。

さらに、スマホのメモアプリで受診日や症状を記録しておくのも有効です。


■小児科選びは「子育ての安心のしくみづくり」
お子さんにぴったりの小児科医を見つけることは、子育てにおける大きな安心材料になります。完璧なクリニックを探すのは難しいかもしれませんが、まずは「この先生なら安心して任せられる」と思える医師を探すことから始めてみましょう。

注意すべき点をしっかりをおさえた上で、2つの医療機関を組み合わせる体制を整えておくと安心です。

▼武井 智昭プロフィール0歳から100歳まで1世紀を診るプライマリケア医。
小児科・内科の2つの専門医として、感染症、アレルギー、生活習慣病まで、幅広い診療と執筆活動を行っている。
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