■家賃が高い、物価が高い
都内の古いワンルームに暮らしているトモコさん(43歳)。20代で結婚した経験があるが、約3年で離婚。新卒で入った企業で仕事を続けている。
「現在の収入は手取りで27万くらい。家賃は7万円です。田舎でわずかな年金を頼りに暮らしている母に3万、送っています。食費は1日1000円に抑えるようにしていますね。今年の新米は諦めました。私の食費5日分もかかるお米は買えない」
会社が福利厚生として契約しているスポーツジムがあるので、帰りはなるべくそこに寄って軽く運動をしてシャワーを浴びる。そうすれば自宅の風呂を使う必要がないので光熱費が抑えられる。
「それでもたまには服も買いたいし、友人や同僚と食事にも行きたい。
うちの課長、女性なんですが、夫がコンサル関係でかなりの高収入みたい。時々奢ってくれるので、私たちは『栄養補給』とありがたがっています」
笑いながらそう言うトモコさんだが、ときには「どうしてこんなに節約して暮らさなければいけないのだろう」と思うこともあるという。
■収入増を目指し毎晩勉強
「アニメが好きで、その関連である声優さんのファンになったんです。ファンはけっこう地方のイベントまで追いかけていくけど、私にはとても無理。自分のできる範囲で推し活するしかないと諦めています。推し活もお金次第だと思うと、ちょっと寂しいですが」
それでも夢がないわけではない。今までも社内の昇進試験を受けたり資格取得にチャレンジしたりしてきたが、成功してもあまり収入飛躍にはつながらなかった。だから今年からは、収入や立場がかなり変わる資格を取得するため勉強を続けている。
「3年計画ですね。関連のある資格を2つ取得するつもりで、毎晩、勉強しています。
気づけば入社20年、同期の男性たちとは収入差もある。自分の方が仕事をしているのにという思いも拭えない。
■それでも頑張るしかない
いつまでたっても男女の賃金格差はなくならない。同一の仕事をしているなら同一賃金を払うべきだが、なかなか実現しないのが現実だ。
「システムとしてきちんとしてほしいけど、私が一人でそう叫んでもどうにもならない。だからきちんと資格をとるのが早道だと悟りました」
この先、田舎の母親の介護も視野に入ってくるが、自分が仕事をやめたら食べてはいけない。どうすればいいのかと時々不安になるという。
「私は貯金もたいしてないし、母の介護も不安だけど、自分が病気になったらという恐れもある。今の生活は母も私も元気でないと成立しない。それに私が年金を手にできるのは、きっと70歳越えてから。あるいは75歳になっているかもしれない。そこまでどうやって生活すればいいんだろうと考えることもありますね」
日常のトモコさんの夕食は質素だという。
「肉は安い鶏肉を買って小分けにしておく。牛肉はせいぜい細切れを牛丼にするとか。魚はなかなか高くて買えないので、時々しらす干しを。洗い物が多いと水道代が上がるから、凝った調理はしません」
まじめに働いて20年。それなのに新米さえ買えない生活。何かが間違っていると思うが、日々、生活していかなければならないのが現実だ。
■もっと大きな喜びやチャンスがある人生に転換したい
「給料が上がるとか、もっと家賃の安い公立集合住宅を増やすとか、何か対策がほしいところです。
さまざまなポイント活用もしたいところだが、そこまでの手間暇をかける時間がないと彼女は言う。
「ボーナスが出たときくらいですかね、少しぜいたくができるのは。この年末年始もおいしいものを買って、実家で母と細々と楽しむ予定です」
一応、正規雇用ではあるし、職場でも私生活でも人間関係に悩みがないのはありがたいことだと彼女は言う。
「ただ、ネガティブなことがないからハッピーとするより、もっと大きな喜びやチャンスがある人生に転換したいとは思っています。なんだか私たち、みんな萎縮しているような気がするんですよね」
地道に頑張る人たちが報われる世の中になる日は来るのだろうか。
<参考>
・「令和5年賃金構造基本統計調査の概況」(厚生労働省)









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