お笑いコンビ、紅しょうがの熊元プロレス(35歳)が、テレビ番組で「かわいい」と言われることへの違和感を話し、話題になっている。

「かわいいわけないっていうのは小3のときから感覚としてあった。
“強そう”とか言ってほしいです」とも述べている。

自分のキャラクターや希望を分かっている人間にとって、「かわいい」と言われたとき、どう返したらいいか分からなくなるものなのだろう。自虐がすぎると言われるかもしれないが、「かわいい」に違和感を持つ人は少なくない。

■「かわいい」より「かっこいい」を目指してきたのに
「1歳違いの姉は、見るからに『かわいい』女の子でした。両親も、フリフリの服を着せたりしていた。でも私はそういうタイプじゃないと子どものころから思っていた。空手を習っていて屈強な師匠のようになりたかったし、とにかくかっこいい人間を目指していたんです」

サヤさん(36歳)はそう言う。ショックを受けたのは大学生のときだった。バイト先の先輩から告白され、初めて「彼氏」と呼べる存在ができた。3回目のデートでの別れ際、彼が急にぎゅっと彼女を抱きしめてきた。

「強がっているけど、きみが本当はとってもかわいい女だってこと、僕は知ってると言ったんです。私にしてみれば、『はあ?』って感じ。
かわいいって何? と思わず聞いてしまいました。彼はそれには答えず、『僕のサヤちゃん』と言った。

気持ち悪いと言って逃げました。それきり会わなかった。彼は私を見ていない。自分の理想の女性を私に押しつけてきただけだった。そもそもかわいいと言われたら、女が全員喜ぶと思っている時点でアウトですよね」

■私はあなたのペットじゃない
その彼にとって「かわいい」女、というのはどういう意味があるのだろう。見た目のかわいさ、あるいは自分の言うことを聞く従順さ、もしくは人として「かわいげ」があるかどうか。恋愛において、多くは最初の2つだろう。

「女はかわいくなくてはいけないという価値観は今もあると思います。そのかわいいの中身が私にはよく分からないのだけど、女性はかわいくいたいと思っている人も多いんでしょう。かわいいという言葉を聞くと、ペットを想像してしまうんですよね。
どんなときも飼い主を待つペット、飼い主がいないとごはんも食べられない。

たとえわがままを言っても、最終的には飼い主から離れて自立できないのがペットです。男にかわいいと言われると、私はあなたのペットじゃないと言い返したくなります」

友人に話すと、「そんなに深く考えなくてもいいんじゃない?」と言われたそうだ。

■ようやく見つけた居心地のいい関係
社会人になっても「かわいい」には違和感を持ち続けた。同期の女性たちは、みな「かわいい新入社員」を目指しているように見えた。

「そんな中で、新入社員なのに妙にベテラン感があると私に言ってくれた女性の先輩がいて、すごくうれしかった。『落ち着いていていいよ』と他社に行く際など一緒に連れていってくれ、さらにはどんどん仕事を回してくれました。3年目でチームリーダーに抜てきされたのはその先輩のおかげです。

先輩に感謝の言葉を伝え、私のどこを気に入ってくださったんですかと聞くと、『打たれ強そうなところと、“かわいい”に逃げないところ』と言われ、飛び上がりそうになりました。先輩と私は同じ種類の人間だったんでしょうね」

ただ、サヤさんもその先輩も、「全てのかわいい」を拒絶しているわけではない。人として照れたときの先輩は「かわいいと思う」とサヤさんは言う。それは「いい意味でのかわいさ」を人として持っているということだ。


現在、彼女のパートナーである3歳年下の男性とは仕事で知り合って5年になる。彼の仕事のミスをさりげなく指摘、フォローしたところ、彼から「特別な目」で見られるようになった。ミスを指摘はしたが責めなかったこと、すぐにフォロー体制を作ってくれたことに彼は感謝しているそうだ。サヤさんの「かっこよさにほれた」と言ってくれている。

■「筋を通す」生き方
「筋が通らないことはやらないと職場で言ったことがあるんです。どんなに会社に得があっても、それをやったら人としてダメでしょうということはしたくない。うちは決して大きな会社ではないのだから、信頼関係をなくしたら終わりだと思うと、幹部に向かって言いました。社長がそれを聞いて感激してくれたそうです。今のパートナーも関連会社の人なので、その話は伝わったみたいですね」

筋を通すというと、古くさい言い方かもしれないが、人として大事なことだ。堂々と仕事をし、堂々と生きていきたいとサヤさんは常日頃から口にしているという。

「なんだか武士道みたいですけどね。でもいつでも前を見て、誰にも後ろ指をさされないようにしていきたい。
やっぱり私は“かわいい”とは真逆の人間だと思います」

“かわいい”が悪いわけではない。かわいいは最強だったりもする。だが、それとは一線を画して生きている女性も確実にいる。
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