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自覚症状のないまま進行する「脂肪肝」。放置すれば肝硬変や肝臓がんにつながることもあり、“サイレント・キラー”とも呼ばれています。


そもそも脂肪肝とはどのような病なのでしょうか。


女性が特に注意すべき理由や今からできる予防方法などについて、がんの発生や進展メカニズムについて知見の深い、犀星の杜クリニック六本木院長・川本徹先生に話を伺いました。


アルコール起因以外の脂肪肝もある

気づかぬうちに「脂肪肝予備軍」に!? 40代以降のリスクを減らす手軽な対策


「脂肪肝」は肝臓に脂肪が過剰に蓄積された状態ですが、自覚症状が現れにくく、じわじわと進行していく恐ろしい病です。


肝臓の病気と言えば「アルコールをたくさん摂取する人がなりやすいもの」と思う方も多いのではないでしょうか。しかし脂肪肝は、アルコール以外にも原因があるようです。


「脂肪肝には、アルコールを多く摂取する方に多い『アルコール性脂肪肝』のほか、アルコール以外の原因で脂肪が蓄積してしまう『非アルコール性脂肪性肝疾患』があります。


国内の脂肪肝の患者数は約3,000万人と言われていますが、非アルコール性の患者数はそのうち1,000~2,000万人と推計されており、脂肪肝は決して“アルコールを飲む人だけがなるもの”ではありません」(川本先生)


脂肪肝は放置すると肝硬変や肝臓がんに進行することもあるほか、脳卒中や心筋梗塞、動脈硬化などさまざまな病気を誘発する可能性もあるそう。


また、脂肪肝という名称から肥満体型の人をイメージするかもしれませんが、標準体重の人でも脂肪肝になることがあるといいます。


「アジア人など小柄な体系の人は、中性脂肪の貯蔵先である皮下脂肪や内臓脂肪のストックが少ないんです。そのため、本来溜まるはずのない肝臓などの臓器に脂肪が溜まりがちで、脂肪肝になりやすいと考えられています。


特に女性の場合、注意したいのは閉経後。女性ホルモンは内臓脂肪を蓄積しにくい状態を保ってくれますが、閉経後は女性ホルモンが急激に減少します。


閉経前と同じように甘いものをたくさん食べたり、夜遅くに食事をしたりする生活習慣を続けると、肝臓に脂肪が溜まり、気づけば非アルコール性脂肪肝になっていたというケースが少なくありません」(川本先生)


あなたは大丈夫!? 脂肪肝のセルフチェックリスト

脂肪肝は定期健診などの血液検査だけでは診断がつかないため、早期発見が難しい現状があります。肝機能の数値が悪くなって、腹部超音波検査などを受けて初めて判明することがほとんどなのだそう。


そこでチェックしたいのが、川本先生が作成した「脂肪肝のセルフチェックリスト」。どれくらい当てはまるかどうかを見てみましょう。


気づかぬうちに「脂肪肝予備軍」に!? 40代以降のリスクを減らす手軽な対策


脂肪肝のセルフチェックリスト

【体格チェック】
□BMIが25以上
□腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上
□20歳時より体重が10kg以上増えている
□最近10年以内で体重が5kg以上増えた


【生活習慣】
□毎日お酒を飲む
□食事の過剰摂取・高カロリー食の摂り過ぎなどがある
□糖質(炭水化物)の割合が多い
□塩分を摂り過ぎている
□魚や野菜をあまり食べない
□夕食後、夜遅くに何か食べる習慣がある
□早食いである
□間食が多い
□甘いものが好き
□絶食などの極端なダイエットをしている
□運動をほとんどしない
□座っている時間が多い
□ストレスの多い生活が続いている
□いつも睡眠不足である


【年齢・病歴など】
□男性である
□女性で50歳以上である
□II型糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病がある


仕事に趣味に多忙な30~40代女性なら、上記の大半が当てはまる…という人もいるのでは。


定期的に健康診断を受けて、肝機能の状態を示す項目(ALT/AST、v-GTP)をチェックしてみましょう。どの項目を見るべきか医師に確認しながら、毎年の数値の変化をきちんと把握できていると安心です。


閉経前からできる脂肪肝対策

気づかぬうちに「脂肪肝予備軍」に!? 40代以降のリスクを減らす手軽な対策


20代や30代の女性にとっては、“閉経後”はまだまだ先の話かもしれません。しかし「閉経前から中性脂肪を減らす働きを体に取り込むことはとても大切」と川本先生は話します。


食事のバランスを整え、週3回以上の定期的な運動習慣を取り入れるなど、基本的な生活習慣を見直すこと。食事では良質な油を使って中鎖脂肪酸(MCT)を摂るのもおすすめだそうです。


「例えばココナッツオイルは中鎖脂肪酸が多いため、脂肪として蓄積されにくく、代謝を改善する油です。

また、ほとんどのスーパーでも置いている純度100%の『MCTオイル』も無味無臭で使いやすくおすすめです。


MCTオイルは一般的な菜種油などよりも短時間でエネルギーになって分解されるため、内臓脂肪として肝臓に蓄えられにくく、脂肪肝の予防にもつながるのです」(川本先生)


MCTオイルの注意点は、加熱に適していない油だということ。ドレッシングに混ぜたり、スプーン1杯をコーヒーや紅茶などの飲み物に入れたりするのが良いそう。直接加熱しなければ成分が変質することはないので、あたたかいスープもOK。


定期検診や運動習慣、食事バランスの改善と合わせて、まずは日常に取り入れてみてはいかがでしょうか。


気づかぬうちに「脂肪肝予備軍」に!? 40代以降のリスクを減らす手軽な対策
犀星の杜クリニック六本木 院長 川本 徹 先生
87年に筑波大学医学専門学群卒業。2010年よりみなと芝クリニック院長を務め、22年11月より現職。
著書に『死肪肝』や『結局、腸が9割』などがある。
過去に日本テレビ「カズレーザーと学ぶ。」やテレビ朝日「林修の今でしょ!講座」など、多数TV出演の経験がある。

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