ヒロインのキャストを担当した、雪ノ下雪乃役の早見沙織さんと由比ヶ浜結衣役の東山奈央さんに、シリーズ終了後、あらためてお話を伺った。前編に引き続きアフレコのエピソード、ふたりが歌ったエンディング主題歌、そして作品の魅力などを語ってもらった。
[取材・構成=細川洋平]
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続』
http://www.tbs.co.jp/anime/oregairu/
■ 俺ガイルがくれたものとは?
―改めて『俺ガイル』はどんな作品だと思いますか?
東山
言葉にしてもらったという感じですね。
早見
うんうん、そうかも。
東山
自分の中で見て見ぬ振りをしていた部分に容赦なく触れてくる、本心を気づかせてくれる作品です。
自分のことを肯定してもらえたり、ダメじゃないんだって思えたり。価値観や物事の捉え方が変わるある種の“救い”を与えてくれる作品かもしれないです。
早見
私は“普遍的なもの”という感じです。作品の根底にある概念はたぶん誰もが思っていることだったり、共感を得られることだったりします。もし私がこの作品に関わっていなくて例えばどこかで『俺ガイル』を見たら「そうだなあ」って多分思うはずです。
■ エンディング主題歌『エブリデイワールド』で語られた“恋”
―お二人はエンディング主題歌も1期、2期と担当されてきました。今回2期の『エブリデイワールド』にでは、「恋」という言葉が出てきます。本編の中では、雪乃や結衣のセリフに「恋」って出てこないんですよね。
東山
『エブリデイワールド』の歌詞監修の時に渡先生も同じ事をおっしゃっていましたね。
1期のエンディング曲『Hello Alone』の時は「好き」とか「恋」と言わないような歌詞を心がけていたらしいんです。けれど『エブリデイワールド』ではあえて触れたと。
歌詞にある“もしも好きだと告げたら今見てる景色も夢と消えて”というところって、好き=本音を告げたら今まで懸命に保ってきた関係が無に帰してしまうかもしれないリスクを抱えながら、でも言わなきゃ『本物』じゃないという葛藤が書いてあって、すごく『続』らしいんです。
早見
うん、そうだね。作品を知らなくて曲だけを聞いても「いい曲だ」と思っていただけるはずですけど、『俺ガイル』に重なった瞬間、高級ダイヤモンドくらいの輝きになるんです。
それは歌詞に背景を思い浮かべられるからです。さらに『俺ガイル』を通して得られた自分の心や感情も一緒に乗ることでこの曲が自分にとってすごく響く曲になっているのかなと思っています。
東山
12話のエンディング曲にもなった『エブリデイワールド-Ballade Arrange-Yui Solo Ver.』も重要なんですよ。“真実よりやさしい嘘をプリーズ”というフレーズで、静かなサビになるんですが、ヒッキーは「“本物”をほしい」って言ってるのに、結衣は“嘘をプリーズ”って言っちゃうんだ?って。ただこの先にきっと何かがあるんだろうとは思っていました。
早見
“何か”はありましたね!
東山
最終回で「ゆきのん、それでいい?」と突きつけた結衣こそが「やさしい嘘」だと気づいて。この歌詞は聞かせたいところだったんだなって。
早見
結衣の言葉です、というのがすごく伝わってくるのでドキッとします。
東山
かなりドキッてしました。
■ 「何があっても私は味方だよ」/「一緒に鍋に行きましょう」
―お二人から最終回を迎えた奉仕部の三人にかけてあげたい言葉があれば、教えていただけますか?
早見
個人的には「由比ヶ浜さん、あなたすごいわ」ですね。
東山
(笑)。最初からずーっと、結衣にかけてあげたい言葉は変わらなくて「何があっても私は結衣の味方だよ」です。
早見
結衣は、最終回どんな思いだったのかな。
東山
私、12話まで読んでゆきのんの気持ちがわかってしまったから最終回の台本を読むのがすごく怖かったんです。ゆきのんは結衣の気持ちをわかってるけど、かと言って自分の気持ちすらコントロールできない状態だから。
だから12話までは「ゆきのんのことは守ってあげたい」って私は結衣と同じ気持ちでいました。
早見
私は初めから一貫して変わらなくて、みんなに「一緒に鍋に行きましょう」と告げたいと思います。
東山
(笑)。
早見
元々は雪乃に言ってたんですけど、なかなか実現しないようなので、三人に向けて(笑)。
東山
ヒッキーには、揺らがないでほしいなと思いつつ、もっといっぱい揺らいでほしい。
早見
お母さんですね……。
東山
やだ、なんか泣きそ~(笑)。
―いろいろなお話をありがとうございました。最後にファンのみなさんへメッセージをお願いします。
東山
私は『俺ガイル』という作品がとにかく好きで、ドラマCDを収録していた時から早くみなさんに見ていただきたい思っていました。1期放送後、みなさんの「この作品が好き」という思いが『続』に繋がったと思います。本当にみなさんに感謝しています。
「作品の中に生きるキャラクター」ではありますが、彼らの葛藤や恋心、揺れる気持ちを身近に感じていただけたのなら、それはフィクションではないんじゃないかなと私は思っています。この先の三人の関係性に注目しながら、これからも原作ともども応援よろしくお願いいたします!
ありがとうございました。
早見
ここまで応援していただいてありがとうございます。作品の中でひとつの区切りは付きますが、『俺ガイル』ワールドの人々が、これからどう過ごしていくかというのを、みなさんの心の中でいっぱい想像していただいて、どんどん俺ガイルワールドを肉厚にしていただけるとうれしいなと思います。
またどこかできっと、その俺ガイルワールドが自分の人生に何かをもたらしてくれることもあると思います。これからもぜひ楽しんでください。
よろしくお願いします。
―ありがとうございました。
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『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続』
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