目指すは"若手アニメ監督の登竜門"！東宝×丸井「そばへ」制作発表会で明かされたプロジェクトの今後

3月7日、東宝本社にてショートアニメ『そばへ』の記者会見が行われ、企画陣、石井俊匡監督、キャストの福原遥が本作にまつわるトークを展開した。丸井グループが製作、東宝映像事業部が企画をし、『宝石の国』で注目を集めたオレンジが制作したオリジナルショートアニメーション『そばへ』が3月7日より配信スタート。同日行われたマスコミ向け記者会見では、監督の石井俊匡、キャストの福原遥、丸井グループ執行役員の青木正久、東宝の大田圭二が登壇。本企画の経緯や、それぞれの作品への思いを語った。青木と大田が登壇した第1部では、コンペティションを経て東宝とのタッグを組んだ理由について、青木が「作品のクオリティもさることながら、（企画のテーマである）インクルーシブという考え方を石井監督と東宝さんに理解していただき、さらには東宝・武井克弘プロデューサーの熱い想いに共感、共鳴し、お願いをしました」とコメント。それに対し、大田は「候補の中から勝ち上がり、選ばれたということを本当に嬉しく思っています」と感謝を述べた。トークの中では本作が東宝アニメーションの武井プロデューサーと、オレンジの和氣澄賢プロデューサーがタッグを組んだプロジェクトの第1弾であることが明かされた。今後の展開について青木は「東宝とマルイグループの取り組みを、第2弾、第3弾と続け、若手アニメーション監督の登竜門的な存在に発展させたい」と語り、大田も「これまでも丸井さんには宣伝展開でのご協力や、ゴジラ・ストアを新宿マルイ アネックスにオープンしていただくなどしましたが、アニメにおいても共に才能を発掘し、面白いものを用意していきたい」と、それぞれが今後の展望を語った。第2部では、本作で声を担当した福原遥と、監督の石井俊匡が、作品の内容に言及したトークを展開。本作が初監督となる石井は、「インクルージョンというテーマをアニメにすることに難しさを最初は感じていましたが、監督としてアニメを作れるということで、頑張ってみようと思いました」と話し、「『そばへ』というタイトルに関しては、狐の嫁入りを表している響きの綺麗なこの言葉がこの作品に合っていた」と、タイトルの由来にも言及。福原の起用については、楽曲を担当している牛尾憲輔とのやりとりの中で曲の中に声を楽器として取り入れることになり、福原の「地に足のついたかわいさを感じる」声が予想以上にマッチしたことから、セリフも入れてもらうことになったという経緯を解説。それに対し福原は、「石井監督が携わった作品を拝見していたので、ご一緒させていただくのが嬉しかったです。作品の世界観がとても素敵で、絵と対話しつつ何度か録りながら監督と一緒に役を作り上げていきました」と制作当時を振り返った。また、作品のキーとなっている雨に関して、和氣プロデューサーから「CGの強みを活かすには自然現象が良いのでは」と提案されたことからテーマとして採用したことが語られると、司会者がふたりに対して雨に対して感じる思いについて質問。すると、福原は「雨は好きです。小さい頃は傘をささずに友達とビショビショになりながら走り回っていました」と笑顔で述べ、石井は「雨は嫌なものだったので、最初はそういう姿勢で作品に取り組んでいましたが、この作品に関わったことで、雨が降った際の光の変化などに気づき、綺麗なものと感じられるようになった」と心境の変化を語った。2部の後半では、雨の映像がフォトリアルなCGからセルルックな完成映像へと変化していく資料映像や、『ムーム』、『ダム・キーパー』に携わった長砂賀洋のコンセプトアート、『未来のミライ』の作画監督を務めた秦綾子によるキャラクターデザインの設定画が披露され、石井が制作の過程を解説。コンセプトアートから本編にフィードバックした要素も多いことや、本編に一瞬しか映らない靴のデザインまで細かく設定されていることを明かしつつ、スタッフ陣への感謝を述べた。最後に石井は完成した自身の監督デビュー作について「とても自由に、丁寧に作らせていただいたので、自分にとって名刺代わりの作品になるのは確実です」とコメント。今後の本プロジェクトのさらなる展開への期待感を持たせつつ、記者会見は幕を閉じた。丸井グループ製作、東宝映像事業部企画、オレンジ制作の『そばへ』はYouTubeにて配信中。劇場CMでも上映予定。『そばへ』（C）2019 MARUI GROUP CO., LTD.