事前の大寒波予報と当日の冷え込みにも関わらず、総来場者数57万人と大盛況に終わった「コミックマーケット95(C95)」(東京都・東京ビッグサイト開催)。平成最後の冬コミも大勢のコスプレイヤーが会場を彩りました。アニメ!アニメ!では、冬コミの全体レポートを3日間お届けしてきました。ここからは会場で見かけた素敵なコスプレイヤーをピックアップしたインタビューをお届けします。◆◆絵を描くことが大好きな大人しい学生の茶々丸さん。しかし、コスプレでは一転、華やかだったり、スタイリッシュだったりする衣装に身を包んで戦う女性に扮します。油絵を学んでいるため日々の課題で忙しいにもかかわらず、できる限りコスプレをしたいと意気込んでいます。『GANTZ』岸本恵※画像クリックまたはタップで他の写真を見るコスプレをするにあたっては、衣装やウィッグ、化粧品の準備、さらには本番に向けての試行錯誤など多大な労力を必要とします。多忙な日本の学生や社会人の中には、睡眠不足や疲労蓄積によって文字通り、「寿命を削りかねない」状況でコスプレをしている人もいるかもしれません。ここまで人を虜にするコスプレの魅力は何なのか、茶々丸さんに自身の体験に基づいて語ってもらいました。――コスプレを始めたきっかけを教えてください。茶々丸2014年の冬コミ(C87)に友達と一緒にコスプレをしたのが初めてでした。最初は一般参加の予定だったんですが、突然前日に「コミケに行くならコスプレしようよ!」となり、衣装を買いに行ったのを覚えています。会場にはとても素敵なコスプレイヤーさんがいるのを見て、コスプレの魅力に取り憑かれました。私は綺麗な衣装を着たり何かを表現したりするのがとても好きだったので、コスプレにハマったのも自分ではすごく納得しています。――年間でどれくらいコスプレイベントに参加していますか?コミケの魅力は何ですか?茶々丸東京開催のコスプレ参加型イベントには予定が合えば、できるだけ参加しています。年間だと10回前後でしょうか。スタジオやロケ撮影とは違って、イベントはコスプレイヤー同士が交流できたり、様々なコスプレイヤーさんやカメラマンさんが参加するのを見て向上意欲が高まったりと毎度驚きと感動を与えてくれます。なので、今後も沢山のイベントに参加して行きたいと思っています。――今回の冬コミではコスプレするキャラをどんな基準で選びましたか?茶々丸1日目は『GANTZ』岸本恵でした。私は『GANTZ』が本当に大好きで、2年以上にわたってコスプレをたくさんさせて頂いています。今回は光る“GANTZスーツ”を自作したんですが、1人でも多くの人に作品を知ってもらい、私の作品への愛を見てもらいたいと思って決めました。そして、コミケ1日目終了後に「となりでコスプレ博inTFT(となコス)」(※)に移動してからは、大好きな『Fate/GrandOrder』ジャンヌ・ダルク・オルタ(リリィ)のコスプレをやりました。前々からやりたいと思いつつも、なかなか出す機会が無かったの、決めました。『Fate/GrandOrder』ジャンヌ・ダルク・オルタ(リリィ)※画像クリックまたはタップで他の写真を見る3日目は、『からくりサーカス』しろがねのコスプレをしました。ちょうどアニメ放送中だったの、その間にコスプレをしたいと思っていました。そして、Twitterで「しろがねがしたい」とツイートした時に、「あるるかんのコスプレをするからコミケで併せをしましょう」と言ってくれた方と豪華な併せをすることができました。イベントで併せの機会が少ないので新鮮で楽しかったです。『からくりサーカス』しろがね※画像クリックまたはタップで他の写真を見るそして、コミケ3日目終了後に「となコス」に移動してからは、『幼女戦記』の主人公・ターニャのコスプレをやりました。幼い見た目なのに頭の回転が早い主人公が戦場で大活躍するとても独特な世界観の作品で、大好きなんです。劇場版も近日公開だったので、3日の予定にいれました。本当にギリギリまで決まっていなくて、前日や当日に決めたキャラクターばかりです。(※)東京ビッグサイトから徒歩数分のTFTホールで同日開催のコスプレイベント『幼女戦記』ターニャ※画像クリックまたはタップで他の写真を見る――ご自身が好むコスプレの傾向でいうと、戦う女性がお好きのように見えますが?茶々丸私は性格的に臆病な部分があるので、自分の意思があって恐れず戦う強いキャラクターの姿に憧れますし、カッコイイと感じるんです。女性は弱い立場として扱われて大切にされていた歴史もありますから、戦う強い女性が好きなのだと思います。私もコスプレを通じて、憧れるキャラクター達から何かを得られればと思っています。――ご自身は油絵も描いていますが、コスプレとは表現したいことは違いますか?茶々丸表現する事においては、コスプレと油絵はどちらも変わらない気がします。ただ、コスプレの場合は、作品からキャラクターをお借りしているので、自分の思う通りに表現できるわけではないので難しいです。でも、絵を描くこととコスプレで共通することもあると思います。人物画などではその人がどのような性格、何を考えているのかを、表情や仕草などから読み取って描きます。同じように、コスプレ撮影時にポージングをする際も、そのキャラクターの背景や生い立ちも考えて決めますので。そういう意味でも、絵を描いていたことがコスプレでポージングにも活かされています。最近ポージングを褒めて頂けるようになったのですが、2次元キャラクターのポージングは生身の人間には出来ないものが多いです。そこで、どこまで近づけられるかを考える時も、絵を描いていたからこそ、「この場所ではこのポーズがこのキャラクターに合う」と客観的な視点が持てている気がします。今後もコスプレと絵もの良い所を伸ばし、互いに活かせるようにしたいです。――絵の課題制作などでお忙しい中、コスプレを続ける理由は何ですか?茶々丸私はあまり華やかな顔立ちではなく、幼い頃から目立てるような性格でもありませんでした。そんな私でも、コスプレすることで、キャラクターの力を借りて、別の何かになれている気がします。普段、派手なメイクをしたり、可愛らしい服を着たりすることが少ないからこそ、週末のコスプレでは普段と一転して、華やかな衣装に着替えて派手なメイクをしてコスプレをする非日常感がとても楽しいです。何よりも同じ趣味の仲間達とコスプレを通じて仲良くお話できるのが嬉しいから辞められません(笑)。『邪神ちゃんドロップキック』ミノス※画像クリックまたはタップで他の写真を見る――コスプレするにあたって大変なことも吹き飛ぶ喜びがありますか?茶々丸夜中にふと、何でこんなにたくさんのお金を衣装代やウィッグ代に使ったり、徹夜で衣装を用意したり、「寿命を縮めながらコスプレをやっているのだろう?」と思うことがあります(笑)。だからこそ、ここまで私を虜にしてしまうコスプレは凄いものだと思います。コスプレはもう私を形成する一部になっています。始まりは軽いノリだったのに、ここまで、コスプレの世界に魅了されて抜け出せなくなるとは思いもしませんでした。そして、私の趣味に付き合ってくれるカメラマンさんやコスプレイヤーさん、たくさんの人々に支えられてコスプレができる喜びを感じています。本当にありがとうございます。もったくさんの方に、私の思いを詰め込んだコスプレを知って頂けるよう頑張りたいです!◆◆茶々丸さんはいくら語ってもコスプレの魅力は語りきれないそうで、「年々、新しくコスプレを始める人が増えているのも、私と同じ気持ちなのかな?」と考えることもあるとのことです。自分の中にない何かになりたいのか、自分の中にあったものに気付かせてくれるのか、人それぞれですが、コスプレが与えてくれる変化の大きさは、一度経験しなければ分からないのかもしれません。撮影:寒黙(Twitter:@nigellizhe)