『攻殻機動隊 GHOST CHASER』は2018年から「ダイバーシティ東京プラザ」のVRライド型アトラクション施設「hexaRide」にて稼動中のVR作品である。
物語の舞台はクザン共和国。次世代兵器の調整会議に出席する国防大臣が現地視察を強行することになり、草薙素子をリーダーとする公安9課に、護衛と視察ルートを確保するという任務がくだされるというストーリーだ。
本作は第76回ベネチア国際映画祭のVR部門コンペティションにて日本のVR作品として初めて正式招待された。9月6日開催のVR部門トークイベントには東弘明監督が登壇。ラザレット・ヴェッキオ島のVR部門会場では、映画祭に参加した世界中の観客が本作のダイナミックな映像を体験し、熱い熱気に包まれた。
VRを体験した観客からは「演出やディテールに対するこだわりが特に素晴らしく、今回上映されているVR作品の中で圧倒的に完成度が高いと思いました」といったコメントが届いている。
またイベントを終えた東監督に加えて、ベネチア国際映画祭VR部門担当者である、リズ・ローゼンタール、ミシェル・ライアックのコメントも公開。VR部門の傾向や可能性、『攻殻機動隊 GHOST CHASER』をコンペティションにノミネートした理由などについて語った。
<以下、コメント全文掲載>
【東弘明監督】
現代の科学技術にブレイクスルーがおこり、
「攻殻機動隊」が描いていた未来に現実が近づきつつある今この時に、
攻殻の世界をVR(バーチャルリアリティ)という表現で描くということに必然性を強く感じていました。
今回の映画祭で、世界の多くの方々に本作をご覧頂けたことは、自分にとって大きな喜びでした。
【リズ・ローゼンタール(ベネチア国際映画祭VR部門担当者)】
VRが登場したのはつい最近のことですが、一般的には単に“新技術”として思われがちですが、
我々は、VRが多くの可能性を含んだ“新芸術”だと思っています。
こうした思いから、世界的な権威を持っているベネチア国際映画祭がいち早くVR部門を設立し、
VR作品を一般の映画と同じような扱いをする決断に至りました。
【ミシェル・ライアック(ベネチア国際映画祭VR部門担当者)】
毎年世界中から200作品ほどを審査し、
最終的に最新のVRの動きを代表する作品として、約40本をセレクトいたしました。
『攻殻機動隊 GHOST CHASER』は、
ビジュアルデザイン、ストーリー展開のペース、音楽、
こだわりぬいたチェースの複雑な構成など、
様々な面から見て、素晴らしい完成度だと判断し、コンペにふさわしい作品だと決めました。
それに加えて、ベネチア映画祭のVR部門会場として使っている、
長い歴史を持っているこの16世紀の建物において、
未来のテクノロジーの世界を描いている『攻殻機動隊』を上映することこそ、
映画祭という枠の中で現実の過去と可能な未来が同じ場所と時間を共有することになり、
ベネチア国際映画祭ならではの感動的な体験を生み出していると思っています。
『攻殻機動隊 GHOST CHASER』プレミア上映
■日時:ベネチア現地時間 9月6日(金)17:30~17:45
■会場:ラザレット・ヴェッキオ島VR部門会場
■登壇者:東弘明監督 他
(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊 新劇場版」製作委員会