「アニメ!アニメ!」では、5人全員に初となるインタビューを実施。先日公開した5人での座談会の次は、一人ひとりにスポットを当て、デビューのきっかけ、オーディションでの出来事などを聞きつつパーソナルに迫っていく。
ミュージックレイン3期生インタビュー連載
第1弾:ミュージックレイン3期生が遂にデビュー! 5人の素顔、声優としての展望に迫る座談会【独占インタビュー】
1人目は、相川奏多だ。
兵庫県のなかでも華やかな街で生まれ育った中学3年生。
そんな最年少の彼女が、年相応の明るい笑顔と大人びた語り口でこれまでのことを語った。
[取材・構成=松本まゆげ]
■アニメに出会い感受性が爆発
――まずは、声優に興味を持ったきっかけから教えてください。
相川:私、小さい頃は歌を歌うことが好きで、小学校低学年のときには「いつか歌を歌う職業に就きたい」と思っていたんです。
それからしばらくはそういう気持ちでいたんですが、5、6年生くらいのときにアニメを好きになって必然と声優さんの存在を知ったんです。
しかも、好きで観ていた作品では、メインキャストの方がエンディングの曲まで歌っていたんですよ。
――さらに興味をひかれたと。
相川:はい。「声優さんは歌を歌うこともできるんだ!」と知って、どんどん興味がわいてきました。
あと、同時期に読書が好きになって、声に出して読むのが日課になっていたこともあり、声で表現する演技というものも気になっていたんですよね。
――なるほど。それなら、演技も歌もできる声優は気になりますね。ちなみに、そのとき観ていたアニメって何なんですか?
相川:『七つの大罪』です。エンディングも歌っていた声優さんは、先輩の雨宮天さんなんです。
――なんという偶然。
相川:本当に! 子ども向けアニメを観ずに育ってきた私にとって、『七つの大罪』はほぼはじめて観たアニメでした。
しかも画面が目まぐるしく動く戦闘モノで、大声を出しながら闘う姿はすごく刺激的だったんです。そのうえ、「エンディングまで!」って(笑)。
――情報量が多かったんですね。
相川:そんな感じでした(笑)。そこから観るアニメが増えてきましたね。
じっくり内容を理解していかないと振り落とされちゃうような。
あと、現実を超越したようなお話も好きで。『Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-』はまさにそんなアニメだったんですよね。あとは、『黒子のバスケ』も!
――またちょっとテイストが違いますね。
相川:バスケがすごく上手な父の影響で、私もバスケをやっていて。だから『黒子のバスケ』も好きになりました。ちなみに、中学ではバスケ部に入りたかったんですけど、結局ほかの部活に入っちゃったんですよね。
――というと、どんな部活ですか?
相川:英語を使って演劇をする部活です。小さい頃から英語を習っていたので興味がありましたし、部活の中でもその部は花形だったんですよ。だからやってみたくて。
――バスケをやっていたとはいえ、どちらかというと文化系なんでしょうか。
相川:どうなんでしょう? 小学校の低学年の頃は休み時間のたびに外で鬼ごっこをしていたんですけど、高学年になって読書にハマってからは外より中で遊ぶようになったんです。
そのあたりに関しては文化系かもしれませんが、小学生のころはクラブ活動で陸上をしていたので体を動かすことも好きです。
■チャンスを掴み新しい道を切り開いた
――では、オーディションを受けたきっかけは何だったんですか?
相川:私の家は「勉強をしっかりやろう」という家で、私立の学校に行かせてもらってちゃんと勉強して、医学部に入ってお医者さんになる、という道筋があったんです。
――芸能のお仕事とはまったく違いますね。
相川:「歌を歌う職業」「声優」といったお仕事に憧れはあったものの、医者自体は昔から決まっていたことで、私にとっては「なるんだろうな」と当たり前のように思っていました。
「将来『あのときああしていればよかったと』後悔しないように」と、親から1年間だけ猶予をもらったんです。
「1年だけチャンスをあげる。1年で実らないなら、多分その先も実らない。だから今できるところまでチャレンジしてみなさい」って。だから、チャレンジすることにしました。
――そのタイミングで、ちょうどミュージックレインのオーディションが。
相川:そうなんです。このオーディションは親が教えてくれました。チャレンジの時期だから、応援してくれていたのかもしれません。
そうして応募したら、書類審査が通り2次審査に進めました。
――2次審査はどうでしたか。
相川:質疑応答や演技、歌の審査があったんですが、会場に行ったらまわりには「歌を習ってた」「演劇を習ってた」という人がたくさんいて不安になりました。私は、歌も演劇も習っていたわけではないので。
だけど、今できることをやるしかないから。まわりのことはひとまず置いておいて、自分にできることをやりましたね。……でも、歌の審査で緊張して声が震えて、うまく歌えなかったんです。質疑応答も、「これから身長伸びますか?」と聞かれて、はいもいいえも出ず(笑)。
――どうなるかわからないですからね(笑)。
相川:その受け答えもうまくできなかったので、3次審査に進めたときはびっくりしました。郵送で通知が来たときは「本当に私宛?」って、親と送り先を何度も確認したくらいです(笑)。
――緊張したとはいえ「まわりはまわり、自分は自分」と割り切れたのが功を奏したのかもしれませんね。ちなみに、歌は何を歌ったんですか?
相川:2次では、松任谷由実さんの「卒業写真」を歌いました。ジブリ好きで、(『魔女の宅急便』主題歌の)「やさしさに包まれたなら」をきっかけにユーミンさんを聴くようになったんです。
竹内まりやさんの「元気を出して」とどちらを歌うか最後まで悩んでいたんですが、当日母親とカラオケに行って歌ってみて、その日歌いやすかったほうに決めました。
そして、3次は伊藤由奈さんの「Precious」を歌いました。今度は自分なりにうまく歌えたので、その後の質疑応答も自信を持って受けられました。
――そうして3次審査にも受かり、最終審査の合宿がありましたよね。
相川:全国から選ばれてきた人たちだから、ここでダメだったらもう一生会えないかもしれない。だから、ライバルというよりは仲良くなって帰ろうという気持ちでした。
もちろん審査もありましたけど、とにかく楽しく過ごすようにしていましたね。
それから数日して、全員受かったことがわかって、すごく嬉しかったです。
――相川さんにとっては、医者以外の道ができました。
相川:14年間医者になるという道しかなかったですからね。唐突過ぎて現実味がなかったです。私の人生に、突然もう一つの道が出来た瞬間でした。
――かなり大きな決断です。覚悟も相当必要だったかと。
相川:うーん、この道(医者)から逃げたかった気持ちも少しはあったのかもしれません。現実は医者だけど、別の夢もある。そんな夢の道が開けたので、覚悟が出来ました。チャンスがあるならやるしかない!って。
――ご家族には、お祝いしてもらえました?
相川:「おめでとう!」ってすごく喜んでくれました!
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■目指すは歌って踊れる声優
――次に、相川さんご自身のことも教えてください。ずばり趣味は何ですか?
相川:歌うことはもちろんですが、やっぱり読書も好きです。特に好きなのはミステリーで、伊坂幸太郎さんや東野圭吾さんの小説をよく読みます。
ひとり気になる作家さんを見つけたらその方の作品を全部読むという感じで、時期によっては1日に2~3冊読むこともありますね。
――かなりの読書家ですね! きっかけは何だったんですか?
相川:それもバスケ同様父親の影響です。はじめて読んだ小説は、父が持っていた西村京太郎さんの『夜の狙撃』でした。テーブルに置いてあったので、気になって読んでみたらハマっちゃったんです。
子どものころに自分で絵本を読んだ記憶もなくて、たぶん、それがはじめて自分から進んで読んだ本でした。
あとは、文芸同好会に入っているので物語を書くのも好きです。
――そこではどんなことを?
相川:文化祭に向けて短編集を作るんですよ。毎回、お題に沿った内容の短編をみんなで作るんですけど、私は恋愛系をよく書きました。ちょっとひねくれた恋愛ものなんですけど(笑)。
――では特技はなんでしょう?
相川:どこでも寝られることです。立ったままでも寝られます!
あとは縄跳び。二重跳びは最高157回跳んだことがあります。はやぶさもできますし、三重跳びも3回くらいならできます。あ、「できます」じゃなくて「できました」かな? 小学校6年生のときの記録で、中学に入ってからは1回もやっていないので(笑)。
――それでもそれなりの記録が出そうですね。では次に、最近ハマっていることも教えてください。
相川:今受験生なので読書から離れていたんですけど、また活字中毒が再発していて、ちょこちょこ読んでいます。
これまでは自分が好きなジャンルを読みつくそうと思っていたんですけど、最近はこれまであまり手を出してこなかったノベライズを読むようになりました。
『天気の子』は映画を5回観たんですけど、それでも飽き足らずノベライズを100回くらい読みましたね(笑)。『天気の子』以外にも新海誠さんの映画のノベライズにはハマっています。
――では趣向を変えまして、自分にキャッチコピーをつけるならなんとつけますか?
相川:「ポジティブ」! たとえ苦手なことでも、やってみようというチャレンジ精神は大事。それを自分に言い聞かせるために「私はポジティブなんだ!」と言っている節があって。
――ポジティブでいるために、気合いを入れるというか。
相川:そうです。だからキャッチコピーとしていい切ってみます。
変な言い方になるんですけど、自分の中に私が2人いるんです。1人は今みたいなテンション高めの私で、もう1人は特定の相手じゃないと出ない普通の私。普通の時とは違い、スイッチが切れたようにおとなしくなります。
なので、一定ラインより上のテンションを保てるように、「ポジティブなんだ!」って気合いを入れています。
――なるほど。じゃあ、「自分はどんな性格だと思う?」という質問も聞きたいんですけど、相川さんはご自分でどう思いますか?
相川:「猫」ですね。気まぐれな部分があって、その日の気分で好き嫌いが変わったりこだわりが強くなったりします。仲良くなるとスキンシップが激しいし、かと思えば急にスキンシップを止めることもあって。
――確かに猫ですね。振り回されてしまいそう。
相川:顔も猫っぽいとよく言われます。家でも猫を2匹飼っているんです。
でっぷりした子と小柄な子なんですけど、大きいほうは8kgもあってとにかくでっかいんですよ。だからギュッとするとすごく気持ちよくて落ち着きます。
それが私のリラックス法ですね。小柄な子は怖がって触らせてくれないんですけど(笑)。
――これからの忙しい毎日の癒やしになるといいですね。ちなみに、もしアニメ!アニメ!で連載企画を持つとしたら、どんなことにチャレンジしたいですか?
相川:そうですね……資格取得を目指す企画、やりたいですね。今、受験生なこともあって、専門的な知識よりは受験勉強に直接関係ある漢検や英検を受けてみたい。「みんなで一緒に頑張ろうぜ!」みたいな。
――では最後に、これからどんな声優になりたいか、理想像を教えてください。
相川:声優さんは、お医者さんの道しかなかった私の人生に新しい道を作ってくれました。それもこれも、「すごい!」と思わせてくれる声優さんたちがいたから。なので、いつか私もそんなふうに思ってもらえるような声優さんになりたいですね。
――では、今後やってみたい役ってありますか?
相川:私、感情を大きく出す役が得意ではなくて。100出さないといけないのに、出しているつもりでも20くらいしか伝わらない。だから狂気的な役とか、変わった役に挑戦して、振り切る勇気を手に入れたいです。
――ミュージックレインでは、声優はもちろんマルチに活躍できる人材を求めていました。声優として役を演じる以外で挑戦するとなると、やはり歌でしょうか?
相川:そうですね! 一番はやっぱり歌。あとはダンスも好きなので、歌とダンスを組み合わせたパフォーマンスもしてみたいです。
――つまり、アーティストデビュー。CDデビュー。
相川:そうなれたらいいなと思います。CDを出してみたいです! 割と激しい曲調も好きなので、ロックやシンセサイザーのような楽曲にも挑戦したいです。
あとは、Little Glee Monsterさんを聞いて、みんなで歌うことの魅力に気づきました。それまでは「歌うなら1人でしょ!」という意識がありましたが、「みんなで声を合わせて一つの曲にするってなんて美しいんだ」と感動したんです。そんな機会もこれからつくっていけると嬉しいです。
◆◆◆
「落ち着いているってよく言われます。仲良くなったらうるさいんですけど(笑)」と、笑いながら話した彼女。まだ15歳にもかかわらず、自己分析し未来の自分に思いを馳せる姿からは、確かな自信が滲んでいた。新たな道を作り、覚悟が決まった。あとは夢へ突き進むのみ。
ミュージックレイン3期生インタビュー掲載スケジュール
第3弾 橘 美來 :12月18日(水)
第4弾 夏目ここな:12月20日(金)
第5弾 日向もか :12月25日(水)
第6弾 宮沢小春 :12月27日(金)