「音」と「声」で熱量の伝わり方は変わる『マブラヴオルタネイティヴ』神木孝一・楠木ともりインタビュー

âge(アージュ)が企画・製作したアドベンチャーゲーム『マブラヴ オルタネイティヴ』を原作としたTVアニメの第二期が、フジテレビ「＋Ultra」ほかにて2022年10月5日より放送スタートした。 本作の主人公・白銀武は、幼馴染の鑑純夏らと共に楽しい学園生活を送っていたが、ある日、全く異なる並行世界で目覚めてしまう。その世界では、意思疎通ができない地球外起源種 ・BETAとの絶望的な戦いが繰り広げられていた。武はBETAの戦争が続く世界で兵士として3年の月日を過ごすも、あえなく戦死。しかし、再び目覚めたとき、並行世界に移動したあの日にタイムスリップしていた。前回のループで得た記憶と経験を活かし、今度こそ人類を救うために武は戦う。 今回は、白銀武役の神木孝一さん、鑑純夏役の楠木ともりさんにインタビュー。一期までの物語を振り返ってもらいつつ、二期の注目ポイントなどについてお話を聞いた。［取材・文：M.TOKU 撮影：吉野庫之介］主人公感とメインヒロイン感――帝都で起きた軍事クーデターがひとつの結末を迎えて幕を閉じた一期。改めて、物語を振り返ってみての感想をお聞かせください。神木 兵士として過ごした3年間の記憶と経験を引き継いでタイムスリップした武は、数々の成果を残します。記憶があるからこそ能動的に行動を起こしていきますが、一期の後半では彼の知らない出来事が起きて、自信をなくしてしまいました。何を元に行動すればいいのか分からなくなってしまったんですよね。ただ、クーデターのなかで出会った人々によって、彼にとっての立脚点に整理がつきました。一期では、人としてさらに成長していく武の姿が見られたと思っています。――二期ではそんな彼がどうやって絶望と立ち向かっていくのかがポイントになりそうです。神木 そうですね。二期は一期以上に「戦争」や「生と死」と向き合っていくことになります。武はタイムスリップしているとはいえまだ若い男の子。「生と死」に向き合うには少し幼さがあると思います。それでも向き合わざるを得ない状況で彼がどういう弱さを見せて、立ち直っていくのか。もがき苦しみながらも絶望に立ち向かっていく等身大の武を表現できればと思いながら、より一層気を引き締めて演じています。楠木 一期は、キャラクターそれぞれが、生と死を嫌でも考えなければいけない世界とどう向き合っているのかを掘り下げながらストーリーが展開していきました。私たちがいま生きている世界にはBETAや戦術機といった概念は存在していませんが、各キャラクターに感情移入できるシーンはたくさんあったと感じています。一期は純夏の登場シーンが少なかったということもあり、私は視聴者の一人として作品を客観的に見ることが多かったです。――客観的にというお話がありましたが、平和な世界で過ごしている純夏を演じるうえでは、もしかしたらそれがプラスに働いたかもしれないですね。楠木 そうだと思います。会話シーンを収録するとき、ふだんはやりとりするキャストさんの演技を聞いてレスポンスする形でセリフを紡いでいくのですが、本作の一期ではあえて神木さんのお芝居をあまり聞かないようにしていました。武ちゃんが並行世界で色々なものを見て、経験したうえでの価値観に引っ張られると、純夏にちょっと矛盾が生じてしまうと思ったんです。一期での純夏は「武ちゃんがおかしいな」というポジションでしかないんです。引っ張られ過ぎないように意識していたので、客観的に作品を見られたのはかえってよかったんじゃないかなと思っています。――続いて、お互いが演じるキャラクターの印象について教えてください。神木 純夏はいい子過ぎます。武の様子がおかしくても距離を置こうとしない。一途に思い続けてくれる彼女は、そりゃメインヒロインですよ(笑)！楠木 武ちゃんは一言では説明できない強さを持っています。年相応の学園生活を送っていたのに、ある日を境に絶望的な世界で戦いに身を投じることになる。私が同じ立場ならきっと途中で投げ出しちゃうか、気持ちがおかしくなっちゃうと思います。それなのに武ちゃんは、テンションの振れ幅はあれども、最終的には地に足を付けて絶望的な世界を救おうと奮い立つんですよ。その姿は男らしいなと思うし、すごく主人公らしいと感じています。強さも記憶も引き継ぎながら過去に戻ることに苦悩する彼を、思わず応援したくなるんですよね。苦しみながらも立ち向かっていく武とここからの純夏に注目――神木さんにとって本作は初レギュラー作品になります。一期の収録を経て、アフレコや現場の空気感など少しは慣れましたか?神木 初レギュラー作品という気負いも相まって緊張をすることが多かったですが、少しずつ肩の力を抜いてお芝居できるようになっている気がしています。現場の空気に関しては……実は一期と二期では収録スタイルが少し異なりまして。一期は他のキャストさんが収録された声の返しを聞きながら、僕一人で収録するということが多かったんです。対して二期からは先輩方と一緒に収録できる機会が増えました。――声の返しを聞きながら一人で芝居するのと一緒に収録するのでは、空気感なども違う?神木 全然違いますね。今も新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策として、仕切りがあったり、一定の距離を保ったりしながらの収録ではありますが、それでも臨場感や熱量が伝わってきます。特に盛り上がるシーンでは、みなさんの芝居に引っ張られて自分の芝居にも熱が一段と入った気がしました。直接お話を伺えなくても先輩方の背中を見て吸収できることも多いので、本当にありがたいことだなと感じています。――楠木さんも、これまで先輩方の姿を見て学ぶことは多かったですか?楠木 私は養成所に通っていないということもあり、現場で先輩方の演技を見て、聞いて学ぶことが本当に多くて。それに、先ほど神木さんもおっしゃっていましたが、「音」で聞くのと直接「声」として聞くのでは感じられる熱量が違うんです。直接「声」を聞いたからこそ力が発揮できたという経験を何度もしてきました。何より、神木さん本人が同じような気持ちを感じているということが、この問いに対する答えなのかなと思っています。――二期では、そういった熱量が一層乗ったお芝居にも注目ですね。ちなみに、声優として先輩である楠木さんから、神木さんにアドバイスなどされたことはありますか?楠木 神木さんから「こういうときはどうされていますか?」と聞かれることが多いので、私はそれに答えているだけです(笑)。神木さんって、収録前は面白いことを言って場を盛り上げてくださるムードメーカー的な存在なのですが、マイク前に立つと「武ちゃん」スイッチが入るんです。芝居や武ちゃんに没入しているな、という印象を受けました。神木 そうおっしゃっていただけてすごく光栄です！――最後に、それぞれが演じるキャラクターの二期における注目ポイントを教えてください。神木 一期でも様々な困難が立ちはだかりましたが、それでも武としてはまだ上手くいっている世界だったと思います。ここからはさらに重いテーマに触れていく展開になっていくので、武が苦しみながらも絶望に立ち向かっていく姿を見届けていただければと思います。楠木 一期では登場シーンの少なかった純夏ですが、二期でどういう存在なのかが明らかになっていきます。……まだ言えないことが多くてすみません(笑)。ただ二期から登場回数も増えて、大事な役回りになっていきますので、武ちゃんとの関係などと合わせて注目していただければと思います。『マブラヴ オルタネイティヴ』第二期作品情報＜放送＞フジテレビ「＋Ultra」ほかにて10月5日(水)より放送スタート【フジテレビ】毎週水曜24:55～【関西テレビ】毎週木曜26:25～【東海テレビ】毎週土曜25:45～【テレビ西日本】毎週水曜25:55～【北海道文化放送】毎週日曜25:10～【BSフジ】毎週水曜24:00～※放送日時は変更になる場合がございます＜配信情報＞FODにて独占配信毎話フジテレビ放送開始時間より最新話配信FOD・TVer・GYAO!にて、毎週1週間限定無料見逃配信毎話フジテレビ放送終了時間より最新話配信＜スタッフ＞原作：吉宗鋼紀（âge）/ aNCHOR監督：西本由紀夫シリーズ構成：浦畑達彦キャラクターデザイン：谷 拓也サブキャラクターデザイン：つなきあきプロップデザイン：星野浩一アニメーションメカディレクター：大河広行色彩設計：内林裕美美術監督：内藤 健美術設定：大平 司撮影監督：荻原猛夫CG監督：大矢和也編集：丹 彩子音楽：Evan Call音響監督：本山 哲アニメーション制作：FLAGSHIP LINE ゆめ太カンパニー×グラフィニカ＜キャスト＞白銀 武：神木孝一鑑 純夏：楠木ともり御剣冥夜：奈波果林榊 千鶴：伊藤美来彩峰 慧：佐伯伊織珠瀬壬姫：田中貴子鎧衣美琴：Lynnほか※「榊 千鶴」の「榊」は木へんに神が正式表記（C）aNCHOR / オルタネイティヴ第三計画