劇場版「グリッドマンユニバース」若山詩音×安済知佳インタビュー「アフレコの中で築きあげてきたものは間違っていなかった」

3月24日（金）全国公開となる劇場版『グリッドマン ユニバース』。本作は特撮ドラマ『電光超人グリッドマン』を原典に据え、TVアニメ化された『SSSS.GRIDMAN（グリッドマン）』と『SSSS.DYNAZENON（ダイナゼノン）』の世界観が奇跡のクロスオーバーを果たした完全オリジナルの新作となっている。アニメ！アニメ！では本作の公開を記念して、南夢芽役の若山詩音さん、飛鳥川ちせ役の安済知佳さんによる対談インタビューを実施。『SSSS.DYNAZENON』オーディション時の裏話から、今回のアフレコで感じた『SSSS.GRIDMAN』チームとの違いなど、たっぷりとお話をうかがった。［取材・文・撮影：吉野庫之介］まさしく『グリッドマン ユニバース』だと思える絵面――お二人が出演されていたTVアニメ『SSSS.DYNAZENON』の放送から約2年の時を経ての新作となりますが、制作決定を知った際はどのように思われましたか？若山：「ついにきたか！」という気持ちでした。TVアニメの収録当時から個人的にも『SSSS.GRIDMAN』と『SSSS.DYNAZENON』が一同に会するようなことがないかなと思っていたので、制作決定を知ったときにはガッツポーズが止まらなかったです！安済：私も両作品が交差する世界があったら面白いと思っていました。そしてなにより「この作品ならではの素晴らしいアクションシーンを大スクリーンの劇場で見てみたい！」と常々思っていたので、それが叶うことを知って本当にたぎりましたね。――『SSSS.GRIDMAN』『SSSS.DYNAZENON』は特撮が原典ということもあり、とくに男性ファンが多い印象ですが、女性目線から見たアニメシリーズの魅力を教えてください。若山：まず私たちが出演していた『SSSS.DYNAZENON』に関しては人間模様がすごく繊細に描かれていて、個性がバラバラのキャラクターたちが集まって何か一つのものを動かしていく感じが、ある意味「人生ってこういうものだよな」と思わせてくれるところがあって。特撮が原典ということで戦闘も多いのですが、人に寄り添って丁寧に心情を描いた作品でもあるので、初めてシリーズに触れていただく方も感情移入してご覧いただけるのかなと思います。『SSSS.GRIDMAN』はとにかく熱い演出がてんこ盛りになっているので、王道展開や特撮好きの方にはとくにお楽しみいただける作品だと思いますし、特撮に触れてこなかった方にもご満足いただけると思うので、ぜひご覧いただけると嬉しいです。安済：私もこれまで特撮にあまり触れてこなかった人間だったのですが、アニメの戦闘や登場シーンに少し昔のセル画時代のような懐かしさを感じたり、劇中で主題歌がかかるというお決まりの演出に「待ってました！」という感覚になったりと子どもの頃を思い出すように楽しめる作品だなと思います。あとは両作品ともに恋愛模様が魅力的で、『SSSS.GRIDMAN』のほうは「二人とも本当は好きなんでしょ!?」という、物語の主軸ではないからこその少しモヤモヤするような描き方によってより関係性が知りたくなりますし、『SSSS.DYNAZENON』では二人の馴れ初めからハッピーエンドまでがっつりと描かれているので、そんな学生時代を彷彿とさせるような要素はとくに女性に共感いただけるポイントだなと思いますね。――『グリッドマン ユニバース』では『SSSS.GRIDMAN』メンバーとの絡みもあったかと思いますが、お二人がとくに興奮したポイントを教えてください。若山：私は最初に六花（CV：宮本侑芽）と会話したときにめちゃめちゃテンションが上がりました！ 私が演じる&quot;夢芽”のオーディションでも“侑芽ちゃん”のお芝居を参考にして……ややこしい！（笑）――“ゆめ”繋がりだったわけですね（笑）。若山：本当に（笑）。そんないちファン目線からも興奮を覚えましたね。――六花と夢芽はキャラクターデザインや雰囲気も似ていますよね。若山：二人ともアンニュイな感じがありますよね。でもいざ話をしてみると意外と違うなと。安済：たしかにね。若山：『SSSS.DYNAZENON』のオーディションでも最初は六花を踏襲するようなイメージで臨んだのですが、アフレコが始まってからはそれを忘れ、新しく夢芽を構築していったんです。だからこそ、今作で六花と会話をしたことで二人の違いがよりわかって「私はちゃんと夢芽を演じることができていたんだ」と改めて思うことができました。安済：アフレコの中で築きあげてきたものは間違っていなかったと。私は今回の現場で響裕太役の広瀬裕也くんやマックス役の小西克幸さんが居るのを見て「うわ～!! コラボレーション!!!」って実感しました。私は2回に分けて収録したのですが、2回目のメンバーが私の演じるちせと暦（CV：梅原裕一郎）とボラー（CV：悠木碧）という謎空間ですごく楽しかったです（笑）。あとは六花のお店にみんなが集合するシーンがあるのですが、まさしく『グリッドマン ユニバース』だと思える絵面で。始まるまではどのように二つの世界観が交わるのか想像がつかなかったのですが、あまりにも自然に馴染んでいたのが面白くて。六花と夢芽もそうなのですが、裕太と蓬が並んだときの対になっているような色合いも相まってテンションが上がりましたね。――あとは『SSSS.DYNAZENON』で残っていた伏線要素も回収されたりと、TVアニメから作品を楽しんでいるファンにはたまらない展開も待っていますよね。安済：台本を読んで本当に興奮しました！ 新しく登場するキャラクターのキャスティングも含めて最高だったので、ぜひご注目いただきたいですね。『SSSS.DYNAZENON』オーディションの裏話――『SSSS.DYNAZENON』オーディションでは、受けたいキャラクターの芝居のみならず、役とは関係のないフリートークや一人芝居も要求されたと伺っておりますが、当時お二人はどのようにオーディションに臨まれたのですか？安済：（若山さんは）歌ったんだよね？若山：私の歌よりも印象的なエピソードがあるでしょう！（笑）安済：私の実家で受け継がれし「ものもらいを治すおまじない」の話ね（笑）。榎木淳弥くんが母方の親戚なんですけど、榎木家に代々伝わる話なので彼は知っているだろうと思って聞いたら「知らない」と。そしてその質問をした次の日に榎木くんがものもらいになったというエピソードをオーディションのフリートークで話したんですよ（笑）。しかも彼が蓬役を受けていたことを知らずにその話をしていたので、まさかの噛み合いだったという……。若山：そのエピソード本当に面白いです（笑）。安済：でも1分間のフリートークで歌ったっていうエピソードも強烈だと思うよ！若山：そうですか……？安済：フリータイムだったらいいけど、フリー“トーク”だし。若山：あっ！ “トーク”じゃない!? たしかに！（笑）安済：でも夢芽の場合は役柄的に歌うことが鍵になっているキャラクターでもあるから、そこがうまくシンクロしたのかもね。若山：オーディションのときに歌った曲もよかったと雨宮監督からお聞きしました。安済：歌ってよかったね（笑）。若山：あとフリートークとは別に、電話で話している想定で「先輩の誘いを断るシチュエーション」と「付き合っている相手からの頼みを断るシチュエーション」を自分で考えてフリー演技をしてくださいというお題もありましたよね。安済：そうそう。それで私、そのどちらかを選べばいいと思っていてマネージャーさんに相談したんですけど「あの安済さん……両方です。」と言われたのを覚えています（笑）。そんな出来事も含めて面白いオーディションだったなと思いますね。――オーディションからすでにネタ満載だったんですね（笑）。また、『SSSS.DYNAZENON』や『グリッドマン ユニバース』の収録の中で「この作品ならではだな」と感じたことはありますか？安済：この作品ではガヤを録るときにお題が出されるんですよ。たとえば、『ボヘミアン・ラプソディ』を見たことがあるかないか、みたいな（笑）。若山：「でも作品名は出さずに」という縛りつきで（笑）。安済：「あれ最高っスよね！」「えっ！ 見てないんすか!?」みたいなことをみんなで言いながら（笑）。他作品の現場でガヤを録るときは「このシーンでお話しをしていてください」と言われるくらいで、物語の邪魔にならない当たりさわりのない会話をするんですけど、この作品では盛り上がっていいし、本当に役者さんが見たことがあるかないかをキャラクターの言葉としてアドリブで入れていくという選択肢のある感じもすごく楽しかったですね。自分の一面を地続きで見せている感覚――『SSSS.DYNAZENON』やお二人が出演されている他作品でも感じることで、人間の素の部分から出てくるようなお芝居が魅力的かつ特徴的だなと思うのですが、役作りの段階や現場で意識されていることなど、この機会にぜひ演技論を聞いてみたいなと。若山：演技論だって！安済：頑張れ！若山：ええ!? 二人に聞かれてるのに！（笑）まず私の場合は素でやっている部分が大きくて、私の中にある一部を膨らませたものがキャラクターになっているので、自分の一面を地続きで見せている感覚というか。だからこそ素に近いように感じていただけるのではないかと思います。安済：わかる～！（拍手）若山：よかった！（笑）――とくにアニメの場合は「お芝居に聴こえないお芝居」がある意味で究極というか、ドラマを見ているような感覚でスッと作品やキャラクターに向き合えるので、より世界観に没入できるのかなとお二人の出演作品を見て感じています。若山：嬉しいです！ ありがとうございます！安済：私は台本やキャストのみなさんに引っ張っていただいている部分があり、掛け合いの中で出来上がっていく感覚が強いので、逆にゲームなどで一人で収録していて「あれ？」となることが多いんです。3月10日から上映される劇場総集編『SSSS.DYNAZENON』の新規パートをちせと暦で録ったのですが、久しぶりだったのですごくドギマギしながら現場に行って。でも暦役の梅原さんは「いや、全然。」という感じですごく心強くて（笑）、アフレコの中でちせとしての感情を導いていただいたなと感じました。今回の『グリッドマン ユニバース』でも時を経てキャラクターが成長していることや、『SSSS.GRIDMAN』メンバーとの絡みの中での新しいちせの感情が見られた気がして、すごく嬉しかったですね。若山：劇場総集編といえば、特典ボイスドラマが夢芽と暦だったんですよ。安済：そこも暦!? でもたしかにキャラクター的にどこにでも馴染みやすいというか。夢芽と会話しているシーンはちょっと想像がつかないけど（笑）。若山：それは私も想像できない！（笑）――聴いてみるのが楽しみです（笑）。最後に、本作の上映を楽しみにされているファンのみなさまへメッセージをお願いいたします。若山：『グリッドマン ユニバース』を楽しみにしていただきありがとうございます！ 私たちもみなさんにお届けできるのが本当に楽しみで待ちきれません。とくに最初の3日間で劇場へ行かれると“いいこと”があるそうなので、ぜひ50回くらい見ていただいて……。安済：最初の3日間では無理じゃない？（笑）若山：そんな心意気で（笑）、『SSSS.GRIDMAN』『SSSS.DYNAZENON』を楽しまれていた方、特撮から応援してくださっている方、もちろんまだ見たことがない方も楽しんでいただける作品となっておりますので、よろしくお願いいたします！安済：演じている身としても夢の共演ができて、一つの作品を作り上げられたことが幸せです。そして制作に関わっていただいたTRIGGERさんや円谷プロダクションさん、監督をはじめとするスタッフのみなさんのお力で素晴らしい作品に仕上がっています。さまざまな方の愛が詰まったこの『グリッドマン ユニバース』を大きなスクリーンでご覧いただき、みなさんとポジティブな感情を共有できる日を楽しみにしております。何度でも劇場へ足をお運びいただき、その想いをスタッフのみなさんへ届けていただけたら幸いです。ぜひお楽しみください！「グリッドマン ユニバース」2023年3月24日（金）全国公開■スタッフ原作：グリッドマン監督：雨宮哲脚本：長谷川圭一キャラクターデザイン：坂本勝音楽：鷺巣詩郎アニメーション制作：TRIGGER配給：東宝映像事業部■キャストグリッドマン：緑川光響裕太：広瀬裕也内海将：斉藤壮馬宝多六花：宮本侑芽麻中蓬：榎木淳弥南夢芽：若山詩音山中暦：梅原裕一郎飛鳥川ちせ：安済知佳レックス：濱野大輝キャリバー：高橋良輔マックス：小西克幸ボラー：悠木碧ヴィット：松風雅也六花ママ：新谷真弓なみこ：三森すずこはっす：鬼頭明里ナイト：鈴村健一2代目：高橋花林（C）円谷プロ （C）2023 TRIGGER・雨宮哲／「劇場版グリッドマンユニバース」製作委員会