上映前には、高畑監督の妻・かよ子さんと長男・耕介さんも登壇。
上映後には、本作のアニメーター才田氏と現在オープロの現代表であるなみき氏が本作を述懐。
2人はまず本作制作の経緯から説明。オープロは元々、作画の下請け会社で20人ほどが所属する小さな会社だったが、自分たちの作品を持ちたいという意見が出てきて、まずは30分程度の短編ならなんとかなるのではと考え始まったそうだ。
当時のオープロ代表・村田耕一氏が、監督は高畑勲氏がいいと決めていたそうで、高畑氏も了承。才田氏は、下請け会社がオリジナル作品を作る時はテレビシリーズの元請けを狙うが、長編映画を作ることを考えたのは珍しかったと振り返る。なみき氏は、村田氏はオリジナル作品を作って売り込もうということではなく、とにかく自分たちの作品を作るということだけを考えていたと語る。
そんな風に始まった企画は、まず原作の版権獲得からスタート。才田氏は高畑監督と村田氏とともに、宮澤清六氏に会いに行ったとのこと。そこで村田氏は事務的な話をせずに農作物の話などをしていたという。そういう姿勢がかえってよかったのではと才田氏は振り返る。
その後は高畑監督の絵コンテ作業がなかなか進まず、缶詰にすることになったそうだ。
音楽を間宮芳生氏が担当することになった経緯は、間宮氏が『太陽の王子 ホルスの大冒険』も手掛けていることだけでなく、東ヨーロッパのチェロ曲などにも詳しいこともあったようだ。才田氏は間宮氏への音楽依頼にも同行したそうで、防音の部屋で音を立てずにクッキーを食べる間宮氏に驚いて、音を立てずに食べるように気をつかったそうだ。
また、才田氏の描いたイメージボードは無国籍風だったが、高畑監督が日本の風景にしようと言ったことで、才田氏は色々なところにロケハンに行ったという。美術の椋尾篁氏は水彩画風の背景をポスターカラーで一人で描いてみせたとのこと。才田氏は、この背景に合わせるために、キャラクターの輪郭線にちょんちょんとタッチをつけた。ギザギザのタッチで背景を馴染ませようと思ったとのこと。
本作の制作は、『母を訪ねて三千里』などと並行して行われたため、テレビシリーズ作品制作中の空いた時間に行われたという。
また、演奏シーンが数多く登場する作品のため、音楽をプレスコで録音したのできちんと画を合わせられたという。また、才田氏の知り合いのチェロ演奏家に、楽譜に弓の上げ下げや弦の抑え方を楽譜に書いてもらい、それをもとに作画したことで音と画がしっかりとあった演奏シーンを描けたのだという。また、本作は基本3コマ打ちだが、演奏シーンでは1コマや2コマを組み合わせて描いているという。最も大変だったのは、ドレミファソラシドを弾くシーンを全身ショットで描いたシーンだという。普通なら背中やアップで誤魔化すところを、引いた画で描くことで、実在感が強調されたとのことで、こういう演出が高畑監督の真髄だと才田氏は語った。
2人は演出家としての高畑監督について振り返る。ジブリ時代には厳しい監督というイメージで語られるが、本作制作時には緻密な計算をして、会社に対して無茶な要求はなく協力的な姿勢だったという。
なみき氏と才田氏は、90分に渡るトークでたくさんの裏話を語ってくれた。
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