読者に人気のアニメ作品から、期待の声優に作品や役柄について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2025年8月号では、TVアニメ『追放者食堂へようこそ!』より、アトリエ役・橘茉莉花のインタビューをお届け。
本稿では、本誌で紹介できなかった部分も含めたロングインタビューとなっている。

アトリエの成長を声でも表現したい

――『追放者食堂へようこそ!』という作品の最初の印象を教えてください。

オーディションを受ける前に原作を読ませていただき、個性豊かなキャラクターに引かれました。そんな彼らがどんどん成長するところも魅力的でしたし、何より料理が美味しそうなんです。アニメでは料理がどう描かれるのかが楽しみで、ワクワクしていました。

――アトリエは、元奴隷ということもあってか、かなり口数が少ないキャラクターですね。

そうですね。でも、オーディション用のセリフには、後半の少し口数が増えたところもあって、アトリエちゃんも成長していく子だと感じ取れたんです。きっと、その成長も彼女の魅力なんだろうなと感じました。

――無表情なようでいて、じつは表情豊かな面もありますね。

第1話の後半から、そのかわいらしさが見えてきます。デニス様と出会ったときは、誰も信じないような暗い目をしていたのですが、デニス様と出会っていろいろな表情を見せるようになっていく。
時々拗ねてぶすっとするところもかわいいですし、徐々に彼女のさらなるかわいさを感じてもらえると思います。

――そんなアトリエを演じる際に、どんなことを大切にしていますか?

冒頭はとくに「あ」や「う」といった短いフレーズでのリアクションが多かったので、台本に状況を書き込んで、その時々のアトリエちゃんの考えをイメージできるようにしていました。じつは、最初はもう少し明るめの声を出していたんです。そうしたら、スタッフの方から「すべてをあきらめたような感じで、ポツポツと話してください」とディレクションをいただき、第1話は表情をほとんど出さないようなお芝居を心掛けました。とはいっても、アトリエちゃんにもちゃんと感情はあるので、それをどのくらい出すのかは悩みました。自分なりに試行錯誤をしたのですが、第1話のアフレコ後に、原作コミックのつむみ先生が「かわいかったです」とおっしゃってくださったので、それで自信を持つことができました。

――アトリエを演じるときに、とくに難しかったところは?

どうしても感情を入れたくなってしまうところです。その都度、スタッフの方から「いつものように淡々とした話し方にしてください」と言っていただいたんです。その調整は、いつも難しいなと思っていました。

――ほかに、スタッフのディレクションで印象的だったことは?

物語が進むと、アトリエちゃんがあるキャラクターに思いを伝えるシーンが出てくるんです。スタッフの方から「決めるのはあなただよ、という気持ちを込めてください」とお話があり、そこで自分の思いを伝えつつも相手にそれを押しつけないという、アトリエちゃんの本質がつかめたような気がしました。

――アトリエの印象は、だんだんと変わっていきますか?

そうですね。
冒頭は無口ながらもやさしさがにじみ出ている印象が強いですが、自分の芯をしっかり持っているところや、デニス様のように自分よりも人のことを思いやって動けるところが出てくるなと感じています。嫌なことは嫌と言えるところは、彼女の素敵なところだと思いますし、そのよさに気づいていないところもいいですよね。それでいて得意ポーズがピースという、子供らしい部分もあって。年相応のかわいさのある子だなと感じています。

――そんなアトリエに共感できるところはありますか?

私もアトリエちゃんほどではないのですが、自分よりも家族や大切な人を思ってがんばろうと思えるタイプなので、そこは似ているかなと思います。

――アトリエにあこがれるところは?

とにかく一挙手一投足がかわいいところです。同性として羨ましくも思いますし、学んでいきたいとも感じます。

――アトリエを助けてくれたデニスの印象は?

頼りがいがあってカッコいい。アトリエちゃんにとってはお父さんのような存在にもなりつつありますが、それでいてかわいらしい面もあるんですね。そのギャップが素敵です。

――デニスとアトリエ以外で、気になっているキャラクターはいますか?

第1話から登場する、雑貨商のポルボさんです。原作の特徴ある言葉をどうやって表現するのかなと思っていたら、すごくおもしろいんですね。
隣のマイクに立たれて、すごくおもしろい言い回しをされていたのですが、私はアトリエちゃんとして真顔で淡々と話さなければならないので、すごく大変でした(笑)。

――橘さんは、今回テレビアニメのレギュラーが初めてだそうですが、アフレコの思い出を教えてください。

第1話の収録からとても緊張していたのですが、デニス役の武内駿輔さんをはじめ、ほかのキャストさんがお話を振ってくださいました。じつは、掛け合いやマイクワークもほぼ経験をしたことがなかったんです。そんな私にも、皆さん丁寧に接してくださって、やさしさを感じました。また、ディレクションに対しての受け答えも、ほかのキャストさんのやりとりをそばで拝見できて、いい経験になりました。

――アニメの一番の魅力と言われたら?

やはり料理です。私はチャーハンが大好物なのですが、本編にも登場していてとにかく美味しそうなんです。アフレコ時に見せていただいた映像からもそれがわかって、思わずお腹が鳴ってしまったくらいでした(笑)。

――冒頭のアトリエの活躍どころも教えてください。

すべてをあきらめたようだったアトリエちゃんですが、どんどん気持ちが変化していきます。だんだんと明るい表情も見えていくので、その様子にも注目してほしいです。


MegamiにQuestion
Q.自分のチャームポイント
A.右目の下のほくろ
以前好きだった『オシャレ魔女ラブ and ベリー』のベリーちゃんが、同じところにほくろがあるんです。それもあっていまも気に入っています。

Q.自分のニックネーム
A.まーちゃん、シアン
家族からはまーちゃん、友達からは「茉莉花」と呼び捨てが多いです。シアンは、高校時代に演劇部に所属していたとき、みんなで決めた呼び名です。いまでも高校時代の友達と会うとそう呼ばれます。

Q.自分の声の特徴
A.高くて女性らしい声
いろいろな方からそう言っていただけるのですが、家族や仲がいい人からは「声が大きい」「よくしゃべる」と言われます(笑)。

Q.自分の性格
A.人見知りのマイペース
初対面の人とは全然話せないくらいの人見知りで、親友からも「こんなに仲よくなれると思わなかった」と言われます。それから、お出かけギリギリになっても焦らずにメイクをしたり服を選んだりしていて、よく家族に怒られるので、そこはマイペースだなと思います。

Q.いま、ハマっているものは?
A.お酒
ワインが好きなのですが、最近は日本酒にもハマりつつあります。もともと、週に1回お酒を飲みながらおつまみを食べるのが好きだったのですが、たまたま行ったお店で隣にいた方から、日本酒を勧められて飲んだらすごく美味しかったんです。その銘柄はすっかり忘れてしまったのですが……。地元の日本酒を楽しんでみようかなと思っています。
お酒は、家でもお店でもどちらで飲むのも好きですが、酒豪ではないです(笑)。

Q.得意技はありますか?
A.筋肉の名前を当てること
大学で医療を学んでいて、そのときに筋肉の勉強もしていたので、すぐに当てられます。

Q.デニスの食堂で食べたいものは?
A.チャーハンです!
いろいろな種類のチャーハンを、食べ尽くしたいです。希望を言っていいのなら、大きなえびやかまぼこが入ったチャーハンを作ってほしいです。

Q.本作のキャッチフレーズ
A.深夜に飯テロ?成長?戦い!
飯テロは作品の大きな魅力ですし、キャラクターの成長も大切なポイントです。物語として、戦いのシーンも出てくるので、食堂のみんなと力を合わせるところを見てほしいです。

Profile
たちばな・まりか/5月31日生まれ。静岡県出身。シグマ・セブンe所属。
主な出演作は、劇場アニメ『思い、思われ、ふり、ふられ』市原由奈役など。

作品Information
毎週木曜日深夜0時よりTOKYO MXほかにて放送中
https://tsuihosha-shokudo.com/
超一流の冒険者パーティーを、突然追放されてしまった料理人のデニス。それを好機と捉え、長年のあこがれだった自分の食堂を開店することに。
奴隷として売られていたアトリエを引き取り、いよいよオープンとなったが、なぜか食堂には問題を抱えたくせ者ばかりが訪れて……。
(C)君川優樹・オーバーラップ/「追放者食堂へようこそ!」製作委員会

●取材・文/野下奈生(アイプランニング)
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