2025年6月27日より、『名探偵コナン』最新劇場版「隻眼の残像」が中国大陸地区で公開を開始した。日本での公開日(4月18日)より約2ヶか月遅れの上映となった。


筆者は7月初旬に映画館で本作を鑑賞した。今回は本作についての中国での評判やこれまでの歩みについて振り返ろうと思う。

「隻眼の残像」に絶賛の声が続々!
本作『名探偵コナン 隻眼の残像』の公開を記念し、中国の多くの映画館では、観客に無料の劇場公開特典が配布されている。特典は、「隻眼の残像」オリジナルポスターと登場キャラクターステッカー各1枚となっており、ファンの間で話題を集めている。

今回、劇場版チケットの価格は時間帯によって30元~70元(約600円~1400円)と異なり、上映時間は1時間50分と日本と全く同じだ。

本作は、長野県警の大和敢助が謎の狙撃犯を追跡中に雪崩に巻き込まれ重傷を負い記憶を失う事件から始まる。10か月後、天文台襲撃事件に巻き込まれた大和刑事は、毛利小五郎と共に雪崩事件の真相に迫っていくというストーリーである。

劇中の推理プロセスが非常に見応えがあり、筆者としては、ここ数年で最高の劇場版作品と言っても過言ではないと感じた。

ネット上では、ファンたちによる本作への熱い議論が交わされている。ごく一部に不満の声も見られるのだが、大部分のファンは作品の内容を高く評価しているようだ。
「大衆点評」には「今作では毛利小五郎がまさかの活躍で、銃撃戦でコナンを救う情熱的な姿に感動した!特に諸伏高明が水中で景光の幻影を見るシーンは涙なしでは見られない」や「推理プロセスは圧巻で、観客から『ここ10年で最も推理要素が濃厚な劇場版』と絶賛されるのも納得だ!」、「毛利小五郎がついに変わった!従来の「コナンに麻酔銃を打たれ、眠りの小五郎として事件を解決する」というコミックリリーフ的な役割から脱却した。今作『隻眼の残像』では、警察学校時代のプロフェッショナルな素養と鋭い直感力を存分に発揮したね」などと、様々な感想が投稿されている。
(一部抜粋にて紹介)

『名探偵コナン』が中国における歴史と発展
1999年、『名探偵コナン』のTVアニメは初めて中国大陸のテレビ局(中国教育テレビと遼寧教育テレビを含む)で放送され、内容は第105話までだった。

2002年、『名探偵コナン』の漫画が長春出版社によって中国大陸に正式導入され、小学館との協力で出版された。
2009年7月には中国初のコナンファン交流プラットフォームとして「柯南中国フォーラム」が設立された。2010年の劇場版『天空の難破船』の情報発信や、2015年のTVアニメ日中同時放送プロジェクトなど、数多くの文化交流活動を推進してきた。

2011年に上海新創華文化発展有限公司が中国大陸地域における版権代理権を取得し、映像放送と商品化事業の運営を担当することになった。
2015年にはTVアニメが日本と中国でのほぼ同時放送を実現した。さらに2023年には公式ウェイボー(微博)のフォロワー数が100万人を突破し、変わらぬ人気を証明している。

2024年に上海で開催された「連載30周年記念 名探偵コナン展」は10万以上のファンが来場し、関連グッズの販売も大盛況となった。

現在、中国のファンはiQIYI(愛奇芸)やビリビリ動画などの有料会員サービスを通じて『名探偵コナン』のアニメを視聴することができる。また、漫画単行本は中国全国の書店やアニメショップなどで購入可能だ。

近年、名探偵コナンの中国での人気が高まると共に、その関連グッズも多様化している。アクリルスタンド、バッジ、フィギュア、ぬいぐるみ、文房具など直接購入できる商品のほか、一番くじのような抽選形式の販売方法もある。
購入経路は主に実店舗での購入とオンラインショップでの購入の二つある。実店舗は実際に商品を確認してすぐに入手できるメリットがあるが、値段がやや高い。ネットショップの場合は値段が安いというメリットがあるが、郵送での販売となるため、商品到着まで3日ほど待たなければならない。

『名探偵コナン』は日本の代表的なアニメとして中国市場に導入されて以来、そのミステリアスな推理ストーリーと個性が豊かなキャラクターによって、広く中国の視聴者を魅了し続けている。近年では、中国市場における商業的成果と文化的影響力がますます高まっており、日中文化交流の重要な架け橋の一つとなっている。
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